すごい物理学講義 の商品レビュー
ループ量子理論に基づく最新物理学の素人向け解説 物だけでなく、空間も場もすべて粒子であって、無限に小さくは分割できない、だから、無限という概念は消滅する、というあたりまでは、わかりやすいのだが、最後のほうは、理念的になって訳が分からなくなる。
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うーむ、これよりもうちょっと簡単な方が当方にとってはありがたい。当方レベルからすると、ちょっと飛躍度合いが、、、 だからか、科学者の人柄が垣間見えるエピソードばかりに目が行ってしまった、情けなし。でもちょっと良い話が満載ってな感じで、これはこれでありかな、と思ったりして。
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前半で物理史を概観し,特に20世紀に生み出された相対性理論と量子力学を解説した後,後半で両者の統合を目指す仮説の中でも,著者の支持するループ量子重力理論について,丁寧かつ平易に解説した一冊.科学的思考の魁であるミレトス人の哲学を始めに置いて,Democritusの原子論を通底した...
前半で物理史を概観し,特に20世紀に生み出された相対性理論と量子力学を解説した後,後半で両者の統合を目指す仮説の中でも,著者の支持するループ量子重力理論について,丁寧かつ平易に解説した一冊.科学的思考の魁であるミレトス人の哲学を始めに置いて,Democritusの原子論を通底したテーマに掲げ,独自の直観を兼ね備え,既存の考え方を異なる視点から見つめた人々が,新たな理論と分野への道を拓いてきた系譜を辿る.相対性理論における時空の歪みの説明はこれまでいろいろと読んだ中でもよく納得できたし,多次元球とダンテの神曲の関係は興味深かった.量子力学についても,肝心なところはまだどうもという感じがあるが,大雑把な枠組みについての理解は多少進んだ.後半の内容として,有名な超弦理論は,重力場を形成している時空間を無限小に分割することが可能だとする一方で,著者の支持するループ量子重力理論は,時空間がそれ以上分割されえない有限小の要素で構成されるとしていて,上述した原子論のテーマと調和しており,全体としては淀みなく理解できた.ただこの本自体はループ量子重力理論に入れ込んでいる内容なので,超弦理論については改めて勉強したいところ.最後の情報の話はほぼ置いてけぼりだったが,時間の不可逆性と熱の不可逆性の関連については目から鱗だった.物理に明るくない人や,大学などで必要に迫られて何となく勉強したことはあるが,イメージの構築が上手く行っていない人(私)にとっては楽しめる内容だと思った.実際個人的にはいくつかの物理的概念について,見方を構築する/かなり変えることができた.参考文献にも良さそうな本があったので読んでいきたい.
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文学的読み物として、量子力学までの章も面白かったけれど、第12章がいちばん面白かった。 ・事物はつねに「統計的な状況下にある」 ・時間の起源は、温度の起源と同質 15歳ごろ、読んだ本にあった現実世界をたとえ表す言葉「シーツの下にある手。それはみえないがシーツの上に手のようなかたち...
文学的読み物として、量子力学までの章も面白かったけれど、第12章がいちばん面白かった。 ・事物はつねに「統計的な状況下にある」 ・時間の起源は、温度の起源と同質 15歳ごろ、読んだ本にあった現実世界をたとえ表す言葉「シーツの下にある手。それはみえないがシーツの上に手のようなかたちが浮かびあがるのを観測できる。」 これに加えて、上記2つを知っていれば、物理を履修しながら感じたいろんなもやもやした疑問がすっきりとして、それはそれ、として学校での古典物理を学べたかもしれない。 なお、シーツのたとえは、この本のさいごのほうで語られた「網についてずっと述べてきた」という表現とリンクする。 それと、『太陽の塔』の本でも感じた「熱」について、世界を記述し感受するうえで、軸となる概念であることを再認識した。 ・熱を発散し、その必然的な帰結として、時間を生み出す (P252) 熱の発散、生命の進化(時間の経過)、生命における進化とは情報量の移動であり、生命が現実世界と「こすれるとき」の摩擦が熱と躍動を生む。いつかみんな遠ざかり離れていく、さようなら。(エントロピーが増大するのを観測するとき。)地球を守る母なる月ですら潮汐の摩擦熱を因として少しずつ離れていくという。 * 量子力学で単純な経験的に知ってる・見えてる現実とは感覚的に異なる記述が現れるのは、まず初めに1を1とした記述する言語問題ではないか、平面上での計算や解釈から発展していった描述がベースであるゆえではというところが、やっぱりもやもやはする。
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自分たちのいるこの世界はどのようにしてあるのか。ヒトもモノも、すべては素粒子でできており、その素粒子に働く力もまた素粒子である。かつて、ニュートンは「万有引力」を発見したが、離れた物体同士が、どうやって引力=重力を伝えているのかは分からなかった。やがて、ファラデーが「力線」を発見...
自分たちのいるこの世界はどのようにしてあるのか。ヒトもモノも、すべては素粒子でできており、その素粒子に働く力もまた素粒子である。かつて、ニュートンは「万有引力」を発見したが、離れた物体同士が、どうやって引力=重力を伝えているのかは分からなかった。やがて、ファラデーが「力線」を発見して、離れた物体同士の間に「場」という実体があることが分かった。今日ではその「場」も素粒子でできていることが一部分かっている。例えば、電磁「場」なら、それは光子の「場」となる。通信が通じるのも、磁石が引き合うのも、離れた物体同士の間で、光子がやり取りされるからである(なお、光子の「場」の振動が電磁波であり、その一部波長が可視光となる)。つまり、物質も、力も、すべては素粒子なのである。また、再びさかのぼって、ニュートンは「運動方程式」を発見したが、その際、「空間」と「時間」が、本当に絶対的であるのかは分からなかった。やがて、アインシュタインが「特殊相対性理論」を発見して、「空間」と「時間」が、実際には相対的であることが分かった(地球の今この瞬間が、火星では15分相当である)。そして、今日では「一般相対性理論」によって、「時間」と「空間」が、重力の「場」であることが示されている(=ループ量子重力理論)。残念ながら、重力「場」をつくるとされる素粒子「重力子」はまだ発見されていない。が、このことは、もしかすると「空間」と「時間」もまた、素粒子のような実体であり、粒の集まりなのかも知れないということである。いわれてみれば、これまで自分たちが「何も無い空間が有る」という不自然を、当たり前に信じてきたことに気付かされる。「連続的」ではなく「離散的」な「空間」の衝撃。原題は『現実は目に映る姿とは異なる』。筆者は元ヒッピーという異色の物理学者。より易しく書かれた本『世の中ががらりと変わって見える物理の本』が世界的ベストセラーとなった。
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数式が少なく、とても読みやすい本でした。 二千年前からの物理の歴史が分かりやすく書かれていて勉強になった。特に以下の項目についてとても参考になった。 ・物理学の発展には数式の改良よりもまず先に閃きや直感が必要だということ ・アインシュタインの三次元球面とダンテの神曲の世界観がそ...
数式が少なく、とても読みやすい本でした。 二千年前からの物理の歴史が分かりやすく書かれていて勉強になった。特に以下の項目についてとても参考になった。 ・物理学の発展には数式の改良よりもまず先に閃きや直感が必要だということ ・アインシュタインの三次元球面とダンテの神曲の世界観がそっくりである(分野は違えど同じ場所に到達している) ・時間は熱から生まれる ・
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前半で、ギリシア時代から現代までのわかりやすい物理学史 をまとめ、後半ではループ量子論の立場から現代物理学を 紹介している。宇宙論・素粒子論として日本ではもっぱら 超ひも理論が紹介されることが多い。もちろん私にはどちら が優れているかなんてわからないのだが、ループ量子論の 「空間...
前半で、ギリシア時代から現代までのわかりやすい物理学史 をまとめ、後半ではループ量子論の立場から現代物理学を 紹介している。宇宙論・素粒子論として日本ではもっぱら 超ひも理論が紹介されることが多い。もちろん私にはどちら が優れているかなんてわからないのだが、ループ量子論の 「空間も量子からできている(粒状である)」というのは 何となく腑に落ちる内容だった。さてあとどのくらいで 決着が着くのだろうか、楽しみではある。 もう一つ感じるところがあったのは熱と時間の関係について であった。エントロピーのことを考えるとごく自然な帰着 なのだろうが、今まで熱と時間の関係性など考えたことが なく、とても新鮮な驚きであった。 と言っても、もちろん私に詳しく説明する能力はないので 尋ねてこないように(笑)。
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【所在・貸出状況を見る】 https://sistlb.sist.ac.jp/opac/volume/207169
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20世紀において物理学ほどクリエイティブであった学問はないだろう。相対性理論と量子力学は既成概念を一変させてしまった。しかし両理論で語られる世界は我々の常識とあまりにかけ離れており理解するのは難しい。著者ロヴェッリ氏は、その源流であるギリシャ哲学者デモクリトスからニュートン、ファ...
20世紀において物理学ほどクリエイティブであった学問はないだろう。相対性理論と量子力学は既成概念を一変させてしまった。しかし両理論で語られる世界は我々の常識とあまりにかけ離れており理解するのは難しい。著者ロヴェッリ氏は、その源流であるギリシャ哲学者デモクリトスからニュートン、ファラデーとマクスウェル、そしてアインシュタインと辿り、その概念の基礎を初学者向けに極力丁寧に概説する。(但し後半はそれでも難解) プランク、ボーア、ディラックと脈流した量子力学は、いまや相対性理論との統一理論の議論となっている。量子の3つの特性である粒性,不確定性,相関性はややもすると相対性理論と相容れないと考えられてきたが、「時」という概念を再定義したとき(そもそも「時間」というものが存在しない(!)と考えてたとき)、両理論は近接し始めた。統一理論というとNHKで特集されたこともあり日本では超ひも理論が有名だが、双璧を成すループ量子重力理論というものがあることを初めて知った。「神はサイコロをふらない」かもしれないが、神のサイコロは非連続性のなかで点在し我々はその点を捉えているだけなのかもしれない。 本書は専門家でない物理学好きにとって知的好奇心を擽られる大変面白い本であったが、唯一の不満は私の好きなシュレーディンガーがほぼ登場しなかったことである。
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サイエンスのいろいろな分野の第一人者が広く一般向けに、 古代から現代への ”知” のリレー、積み重ね、歴史、現状、 将来への課題を知らしめてくれるタイプの本が好きで時々読むのだが今回は ”物理学” 。 「La realtà non è come ci appare(現実は目に映る...
サイエンスのいろいろな分野の第一人者が広く一般向けに、 古代から現代への ”知” のリレー、積み重ね、歴史、現状、 将来への課題を知らしめてくれるタイプの本が好きで時々読むのだが今回は ”物理学” 。 「La realtà non è come ci appare(現実は目に映る姿とは異なる)」というタイトルの本が日本で出版されるとなぜか「すごい物理学講義」に。 すごいけど。
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