真説・企業論 の商品レビュー
ビジネススクールなどで一般的に言われている経営学に対し、見る角度を変えて異を唱える内容。 例えばシリコンバレーではリスクを取って新しいことにチャレンジする若者達に、リスクマネーが入り込むことでイノベーションが生まれやすい、という一般論。これに対しては、シリコンバレーにはエリート...
ビジネススクールなどで一般的に言われている経営学に対し、見る角度を変えて異を唱える内容。 例えばシリコンバレーではリスクを取って新しいことにチャレンジする若者達に、リスクマネーが入り込むことでイノベーションが生まれやすい、という一般論。これに対しては、シリコンバレーにはエリート達が集うことでそもそも成功率は高く、カネを出す側も短期的に成功を求めるので撤退も早く、見方を変えればローリスクの仕事をしている、というもの。 その他、特にアメリカでは軍事と産業が密接に結び付き(回転ドア)、お互いの利益のために活動していることを批判的に述べている。 読みやすいし「そういう面はある」と認めつつも、本書も見方の一つであり、片方だけを支持すると本質を見失ってしまいそうだ。
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色んな企業について取り上げた一冊。 老舗の企業の方が新興のベンチャーより上というのは考えとしては理解できるものの、それではいつまで経っても新興のベンチャーは育たないと思った。
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「非生産手な」アメリカ・シリコンバレーの実態というのは、同感。 ただ、途中から、「アメリカに洗脳された日本」という、いつもの中野剛志節にはうんざり。 簡単に「陰謀論」を使うのは、それこそ陰謀論者の思う壺。
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得たもの: ーーー 日本的な人事慣習として評判の良くない「長期雇用志向」「年功序列型賃金制度」について、「イノベーションを産むために必要な人事制度」という方向性の目線を得ることができた。 企業人事を考える上でいたずらに社内での昇格降格を激しくすれば良いと言うわけでもないと言うバラ...
得たもの: ーーー 日本的な人事慣習として評判の良くない「長期雇用志向」「年功序列型賃金制度」について、「イノベーションを産むために必要な人事制度」という方向性の目線を得ることができた。 企業人事を考える上でいたずらに社内での昇格降格を激しくすれば良いと言うわけでもないと言うバランスの良い感覚を持つ一助になったように思う。 内容: ーーー 感想 ーーー 読んでいる時は「ふむふむ」と納得しながら読めた。 (1) アメリカがイノベーションを生み出し繁栄したのは軍事産業のおかげ (2)日本の「終身雇用」的な人事制度はイノベーションに必要な 「長期の濃密な人間関係」 を築く上では有効であり、必ずしも時代遅れで廃止しないといけないというようなものではない。 (3)アメリカは株主利益を偏重するがゆえに四半期(超短期)業績主義によってイノベーションの力はむしろ落ちている。 (4)日本の停滞の原因は金融政策の失敗と、(3)のアメリカ型ガバナンスを導入したことによってイノベーションが生まれなくなってしまったからだ (5)日本は長期目線でイノベーションを生み出す「老舗企業」を増やすことを目指すべきだ このような感じかと。 確かに、 「アメリカ型の超短期業績主義のガバナンス=イノベーションを生んでいる」 と短絡的に結びつけていたのでそれについては目線を変えることができた。 ただ残念なのは、そうは言っても現状、アメリカや中国の企業がどんどん売り上げを伸ばしていて、日本企業が売り上げを伸ばせていないのは事実なので、それに対して日本がどうしていくのかと言うアイデアがあまりなかったのは残念。 なんでもアメリカの経営を真似したら日本も良くなると言うことじゃないと言う目線を与えてくれた本であると思う。
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総評: 「アメリカ式経営」偏重に一石は投じるが、「じゃあ、日本はどうする?」は物足りないかと。 ーーーーー 読んでいる時は「ふむふむ」と納得しながら読めた。 (1) アメリカがイノベーションを生み出し繁栄したのは軍事産業のおかげ (2)日本の「終身雇用」的な人事制度はイノベ...
総評: 「アメリカ式経営」偏重に一石は投じるが、「じゃあ、日本はどうする?」は物足りないかと。 ーーーーー 読んでいる時は「ふむふむ」と納得しながら読めた。 (1) アメリカがイノベーションを生み出し繁栄したのは軍事産業のおかげ (2)日本の「終身雇用」的な人事制度はイノベーションに必要な 「長期の濃密な人間関係」 を築く上では有効であり、必ずしも時代遅れで廃止しないといけないというようなものではない。 (3)アメリカは株主利益を偏重するがゆえに四半期(超短期)業績主義によってイノベーションの力はむしろ落ちている。 (4)日本の停滞の原因は金融政策の失敗と、(3)のアメリカ型ガバナンスを導入したことによってイノベーションが生まれなくなってしまったからだ (5)日本は長期目線でイノベーションを生み出す「老舗企業」を増やすことを目指すべきだ このような感じかと。 確かに、 「アメリカ型の超短期業績主義のガバナンス=イノベーションを生んでいる」 と短絡的に結びつけていたのでそれについては目線を変えることができた。 ただ残念なのは、そうは言っても現状、アメリカや中国の企業がどんどん売り上げを伸ばしていて、日本企業が売り上げを伸ばせていないのは事実なので、それに対して日本がどうしていくのかと言うアイデアがあまりなかったのは残念。 あくまでも 「なんでもアメリカの経営を真似したら日本も良くなるよ」 と言うことじゃないと言う目線を与えてくれた本であると思う。
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経産省で長らく勤務してきた作者が、日本経済にまつわる、ふわっとした著名人の提言を、バッサバッサと切り倒していく本作。 元マッキンゼーの赤羽氏、元BCGの冨山氏などのコメントに対し切り込んでいく。 近年の日本経済は、アメリカ(特にシリコンバレー)礼賛主義を強め、とにかく起業、テ...
経産省で長らく勤務してきた作者が、日本経済にまつわる、ふわっとした著名人の提言を、バッサバッサと切り倒していく本作。 元マッキンゼーの赤羽氏、元BCGの冨山氏などのコメントに対し切り込んでいく。 近年の日本経済は、アメリカ(特にシリコンバレー)礼賛主義を強め、とにかく起業、テクノロジー、オープンイノベーションなどの推進を強く主張している。 しかし、実はアメリカの起業率はそれほど高くなく、軍事技術と密接に絡んだ一部IT企業は成功しているものの、経済の短期利益獲得競争により、経済としては疲弊、つまり成功とはいえない状態である。 そうしたものを盲信するのではなく、改めて日本型の経済を考える必要があるというのが筆者の主張。惜しむらくは、ではその日本型のあるべきは?というところに、もう少し意見が欲しかった。
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うすうす、そうじゃないかなーと言葉にできずに思ってたことが、明確な根拠をつけてバシバシ書いてあって、まさに膝を打つってかんじだった。
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失われた平成の30年が、どれだけ間違った方向へ進められていたのか・・・中野先生の視点は「鋭い!」と感じさせられます。 失われた30年を取り戻す「令和」に時代を作れるのか? 早々に世代交代を望みたいと思います。
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自分は大企業側の人間なのだが、確かに入社した90年代から少しづつ研究開発が近視眼的になってきて、成功確率だとかリスク評価だとか訳の分からない算数を駆使して不確実なことを避けるようになってきた。こんなことでイノベーションなんか起こるわけがないのだが、その変化と経営陣がコーポレートガ...
自分は大企業側の人間なのだが、確かに入社した90年代から少しづつ研究開発が近視眼的になってきて、成功確率だとかリスク評価だとか訳の分からない算数を駆使して不確実なことを避けるようになってきた。こんなことでイノベーションなんか起こるわけがないのだが、その変化と経営陣がコーポレートガバナンスを叫び始めたり、業績評価にROAを取り入れたりしだした時期が重なる。著者の分析は概ね正しいと思われる。 でも日本人は何か手本がないと何もできないのですよ。太古の昔から。「発展途上国メンタリティ」、まさにその通り。であるからして、バブル崩壊後に自信を失ったリーダー層がアメリカを手本にするのは必然だし、それに味をしめた特権階級層が益々その路線を突き進んだのも必然のように思われる。当時進むべき道が他にあったのか。仮にあったとしても日本人には見つけられなかっただろう。残念だけど。
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■メインテーマ アメリカのベンチャー企業やいのへに関する恐るべき実態と根の深い問題とは? ■著者の主張 共同体的な組織や長期的な人間関係からイノベーションが生まれるのだが、ベンチャー企業などの短期的で流動化した市場環境を推奨する動きが日本にはある。 ■学び 何百年も生き残って...
■メインテーマ アメリカのベンチャー企業やいのへに関する恐るべき実態と根の深い問題とは? ■著者の主張 共同体的な組織や長期的な人間関係からイノベーションが生まれるのだが、ベンチャー企業などの短期的で流動化した市場環境を推奨する動きが日本にはある。 ■学び 何百年も生き残っている老舗企業のサバイバル力に目を向けるべきだが、日本企業は地味で保守的な印象を生む。だから多くの人は、突然現れた勢いがあるベンチャー企業に目がいってしまいそのイメージにより、イノベーションは日本では生まれにくいとなったのだろう。
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