ゲンロン0 の商品レビュー
ゲンロン0 観光客の哲学 東浩紀 genron 読み始めは屁理屈かと思いきや 終わりに近づくほど面白くなる 始めの内は進まず何度かバカバカしくなりながらの 二章の終わり頃までの感想は 混沌の中のリアリティーと言うプロセスを明確に見せてくれる内容であった 哲学が根源性を追求する...
ゲンロン0 観光客の哲学 東浩紀 genron 読み始めは屁理屈かと思いきや 終わりに近づくほど面白くなる 始めの内は進まず何度かバカバカしくなりながらの 二章の終わり頃までの感想は 混沌の中のリアリティーと言うプロセスを明確に見せてくれる内容であった 哲学が根源性を追求するものだとすればこの物語は 才走って道草を食っている状態にあるように見える それは過去に根ざす縄張りの穏便な安全地帯から 覗き趣味の気晴らしをしている観光で 平和を良しとして求める第三者のナンセンスを 教えてくれる反面教師のようである 観光は時の流れの中で今を捉えながら 出合いの選択をし続ける冒険の旅と比べると程遠い 覗き趣味は選択の自由自在性を奪う代わりに 支配者が奴隷にあてがう娯楽でしかない などと思いながら読み進む内に段々と面白くなって引き込まれることになる 多彩な知識が盛り込まれているだけでなく 咀嚼された深読みによる解き明かしにうなずけもするし共感もできる
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現代社会の整理、否定神学的マルチチュード、すなわちチープで一過性の動員。これを刷新するための郵便的マルチチュードという概念の立ち上げ、その主体たる観光客を支える倫理としての家族、不気味なもの、そしてドストエフスキー。 革新的な思想というには早計ではあるが、真面目な政治の外部にテロ...
現代社会の整理、否定神学的マルチチュード、すなわちチープで一過性の動員。これを刷新するための郵便的マルチチュードという概念の立ち上げ、その主体たる観光客を支える倫理としての家族、不気味なもの、そしてドストエフスキー。 革新的な思想というには早計ではあるが、真面目な政治の外部にテロリズムがあり、それは不真面目なものであるから政治では対応出来ない。 政治は真面目と不真面目を分割するが、文学はその分割を必要としない。 それが終章への韻律と、行間に感情を埋め込む筆跡、そして象徴的な締めくくりを迎え、理路整然とした整理から零れ落ちる感情へと人を移行させる。
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レビューに惹かれて読んでみたが、私には少々難解で完読できなかった。。。観光客と言う存在をを様々な形態に当てはめて表現する手法は面白いと思うが、そこに至るまでの過程が読んでいて少々面倒で、私には合わなかった。
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SNSや観光、テロ、二次創作など現代に溢れている内容に哲学的な視点で書かれているところが斬新で、本書の魅力だと思う。哲学初心者の私にもとても分かりやすい内容で、その辺の難しそうな哲学本より、スラスラと内容が頭に入っていきやすかった。この本をきっかけに、哲学について勉強しようと思っ...
SNSや観光、テロ、二次創作など現代に溢れている内容に哲学的な視点で書かれているところが斬新で、本書の魅力だと思う。哲学初心者の私にもとても分かりやすい内容で、その辺の難しそうな哲学本より、スラスラと内容が頭に入っていきやすかった。この本をきっかけに、哲学について勉強しようと思った。
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2017年の、いや、テン年代のメルクマールとなるのは間違いなく「中動態の世界」と本書であろう。 誤配せよ
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読み助2017年9月24日(日)を参照のこと。http://yomisuke.tea-nifty.com/yomisuke/2017/09/924-2d78.html
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今我々が生きているこの時代を様々な立場の人が論じていますが、哲学者は今の時代をどのように捉えているのか、昔から興味深かったのですが、本書は東氏なりの一つの現代社会に対する一つの解釈とその方向性を出してくれたのかなと思います。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「観光客」という共同体や民族を越境する者(越境者)が、また人間の「観光客」的な在り方がこの先の世界を動かす(ひいては世界平和を実現する)? そんな刺激的な問いを哲学的なアプローチで描いている本著。 盛りだくさんすぎて正直1回読んだだけでは私には処理しきれない・・! でも面白いと感じる部分がたくさんあった。 著者はそのような読み方を望まないだろうけど、哲学(とその歴史)に興味を持つとっかかりとして手に取るのも面白いかも。 しかし高校の歴史や道徳、大学の文化論で登場した哲学者や文学者の名前がたくさん出てくる。 当時は興味を引かれなかったけど、思想を引用されるとみんな面白いことを考えてたんだなあと思える。カントなんて『永遠平和のために』どうすべきか真面目に考えてたんだなあって。すごいよな。 個人的にハンナ・アーレントの『人間の条件』は読んでみたくなった。 あと国(国民国家)を人間になぞらえて、そのうち政治=上半身、経済=下半身と例える表現とかはうまいし面白い。現代は愛(政治的な信頼関係)を持たぬまま肉体関係(経済の依存関係)を深めてしまった者(国)たちの時代らしい。 ドストエフスキーは『地下室の手記』と『カラマーゾフの兄弟』を読んだけど、この第7章で描かれてる研究者たちや批評家のような読み方にはまったくもって至れなかったのでまた読み直してみたいな。今なら違う読み方ができそう。
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偽善で空想的だったリベラルはもはや存在しないが、政治と経済、国民国家と帝国、ナショナリズムとグローバリズム、コミュニタリアニズムとリバタリアニズム、この対立のどこかに身を置く、のではなく、「第4の道」を見出すための本。 その道は、連帯しないのが連帯、と言うただデモするだけの否定神...
偽善で空想的だったリベラルはもはや存在しないが、政治と経済、国民国家と帝国、ナショナリズムとグローバリズム、コミュニタリアニズムとリバタリアニズム、この対立のどこかに身を置く、のではなく、「第4の道」を見出すための本。 その道は、連帯しないのが連帯、と言うただデモするだけの否定神学的なマルチチュードではなく、書名にもあるように何らかの「繋ぎ換え=誤配」を産み出しうる『郵便的マルチチュード』である観光客だ、と言う話。 そしてこの「観光客」も単なる観光客という意味だけではなく、同じく郵便的マルチチュードと考えることが出来る「家族」も含まれるもの。 本書の最後がドストエフスキーを通して家族を捉え治す、と言うのがソルジェニーツィン試論に帰ってきているのが、注釈でも書いてあるように自覚的な原点回帰のようで、東さんはもう筆を折ってしまうんだろうかと少し不安になりかける。けどゲンロンはまだまだ続いていくようで、ちゃんと追っていかないと。 政治思想にはコミットしていないしそもそも文系科目的な知識や知見は初等教育の時代においてきてしまっているような人間に対しても粘り強く、重要な概念は何度も反復して、言い換え、思考を誘導するように丁寧に連れて行ってくれているようで、読みやすい。 とはいえ「難しい」話をしているのでこちらもちゃんと整理していかないといけないのだけれど。 実は存在論的 郵便的はまだ読めていないのだけれど、これまでの主著は大体読んできたので、それらとこの本が示す「第4の道」である「観光客=家族」へ至る道が朧気に記憶の底から甦ってきて色んなことに合点がいったり考えが展開したりして、面白かった。非常に。 最近の比較的ライトと言える仕事だった弱いつながりやセカイからもっと近くに、特に後者のあの最後の展開の部分がピタッと嵌まった感じで、凄く気持ちいい。 いや、気持ちいいとか満足した、と言うことじゃなく、この本で辿ってきた議論は何度も書かれているように荒削りで未完成ではあるわけで、それを自分のことに引き寄せて、それを実践して行かんとな、とは強く思っている。 ちょうど家族を作ろうかとしているところでもあり、この本を家庭の座右において、ずっと考えていかなきゃ。 東さんが6年(もうか!)くらい前に冗談めかして言っていた、「世界は二つある」の思想がぎゅーっとつまっている気がする。 などだらだらと垂れ流したので、2週目へ。
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わかりやすさがすごい。 ラカンの解説ではじめていっている意味がわかった文に出会った。 論理が明確。
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