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発酵文化人類学 の商品レビュー

4.2

45件のお客様レビュー

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2021/03/07

発酵文化人類学を読んで この本との出会いは、蔦屋書店にて各ジャンルのコンシェルジュたちが、各々おすすめの本を紹介する企画でみつけたことがきっかけ。 文学コンシェルジェが選んだ本はどのような者なのであろうと気になり、購入しました。そして中身を見ると、「発酵文化人類学」と書かれてい...

発酵文化人類学を読んで この本との出会いは、蔦屋書店にて各ジャンルのコンシェルジュたちが、各々おすすめの本を紹介する企画でみつけたことがきっかけ。 文学コンシェルジェが選んだ本はどのような者なのであろうと気になり、購入しました。そして中身を見ると、「発酵文化人類学」と書かれている。なんだ?このタイトルは?一体どんなことが書かれているのだろうか?気になって仕方がありませんでした。 読み始めてみて、小倉ヒラクさんのフランクな話口と内容の密度の濃さに、やられてしまい、ページを繰る手が止まりませんでした。 そもそもこの発酵文化人類学という言葉自体が、この小倉さんが生み出した造語であるというのがもう面白い。そしてこの方の職業も発酵デザイナーというのだけれど、これも生み出した職業。やることなすことめちゃくちゃかっこいいなと思いました。 この発酵というのものは、他のさまざまなものと繋がりを見せていて、例えばITの側面からも、プログラミング的な理論を用いて、遺伝子の組み替えを行ったりする。人食いバクテリアを人類に有用に活用できるように改造しちゃったりなんて、少しSF味のある切り口からの話もロマンあふれるし、面白かったです。 あとは、ニューギニア諸島の「クラ」という交換文化。これが面白かったなー。 主に腕輪と首飾りを交換するのだけれど、それ自体に意味はなくて、交換する際につける付加物に意味があるのだそうだ。その付加物はもらったものより豪華でなくてはならない、つまりインフレがえげつなく進む。かつこのゲームに参加したらやめられないというすごいルール。こんなの途中で破綻するかと思いきや、この交換文化自体が、円滑なコミュニケーションを図るのだそうだ。すごいよね、気前よく豪華な付加物をあげることで、争いも無くなるし、富の蓄積もなくなるので傲慢な人間も現れなくなる、よくできた文化だなと感心しました。 試しに取ってみて良かったと思える書籍だったし、この企画をしていた蔦屋書店には大いに感謝ですね。 さて、次の本読もう。

Posted byブクログ

2021/02/09

 『日本発酵物語』がおもしろかったので,その前著である本書も手に取ってみた。  こちらの方は,同じ発酵でも,食すための発酵に限定されている(しかし,あとがきには,大島紬の話なども出てきて,今後の発展を示唆している)。  著者は,まえがきに  この本を読めば、発酵の仕組みがなんと...

 『日本発酵物語』がおもしろかったので,その前著である本書も手に取ってみた。  こちらの方は,同じ発酵でも,食すための発酵に限定されている(しかし,あとがきには,大島紬の話なども出てきて,今後の発展を示唆している)。  著者は,まえがきに  この本を読めば、発酵の仕組みがなんとなくわかるのはもちろん、微生物と人間の関わり、僕たちが長年培ってきた暮らしの文化の奥深さ、日本人がどのように「見えない自然と向かい合ってきたのか」というスタンス、そして美味しさや美しさを感じる人間の認知システムのカラクリなど、色んな「ひみつ」が見えてくる。(本書p.17) と大見得を切っているように(失礼),発酵に対する豊富な情報と人との出会いから学んだことと,ご自分の趣味の世界をクロスさせる,とても刺激的で楽しい本だ。でも,もちろん,発酵に興味がないと読み終えれないとは思うが。独特の文体は,ここでも生きている。あっち行ったりこっち行ったり,呼びかけられたり,確認されたり…。  筆者がなぜ畑違いの発酵の世界にのめり込むようになったのかも,「まえがき」に書かれていて,とても興味深い。  また,各章の終わりには「参考図書の紹介」があり,それにも筆者の興味に沿った紹介文があるので,さらにお勉強をしたい人にはありがたいだろう。わたしも数冊メモらせてもらった。  きっと,今よりもっとお酒が恋しくなり,醸造してくださっている方に感謝したくなり,麹菌に足を向けて寝れなくなるのではないかと思う。

Posted byブクログ

2021/01/23

発酵について楽しく学べる良書。 堅苦しい専門書ではなく、あくまでもゆるーく、でもしっかりと発酵の仕組みや文化について語っており、お酒好きな人はそれなりに楽しめる。 読んだ後、味噌を手作りしたくなった。

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2020/09/21

調理師として何か一つ詳しい分野を持ってきたいと思い、前から気になっていた発酵について調べてみようと思い、発酵分野について有名な小倉ヒラクさんのこの本を手に取った まず内容が、発酵について幅広く、詳しいことまで書いてあり、一見難しそうに見えるが、ヒラクさんの人柄というか、いい意味...

調理師として何か一つ詳しい分野を持ってきたいと思い、前から気になっていた発酵について調べてみようと思い、発酵分野について有名な小倉ヒラクさんのこの本を手に取った まず内容が、発酵について幅広く、詳しいことまで書いてあり、一見難しそうに見えるが、ヒラクさんの人柄というか、いい意味で軽い感じで文末が締めくくられてあって、面白く読みやすいなと思った 麹菌と呼ばれる日本特有の発酵カビ、ニホンコウジカビがあるということを知って、日本の発酵食品の豊富さと、美味しさの理由がわかった 発酵は、人間に有用な微生物が働いている過程。 カビがデンプンを糖に変え、カビが変えた糖分を、酵母が食べて、アルコールと炭酸を作り出す。 発酵菌と酵素の違いについては 発酵菌がアーティストで、酵素が曲 味噌でゆうと最初の発酵のスターターとなる麹菌は、やがて餌や空気がなくなり、死んでしまうが、麹菌の作り出した酵素は、生きているため、旨味や甘味が作り出されている 発酵文化にはまだまだ奥深さがあり、もっと調べていきたいと思えた。 自分でも発酵食品を作ってみたいと思えたし、せっかくの調理師なので、発酵食品を使った、最高に美味しい料理の研究のしていきたいと思う

Posted byブクログ

2020/08/25

文体が読みにくい。自分ツッコミが多かったり、プレゼンをそのまま文章にした感じ。 なので、読み飛ばしたい文章が多く、ちょっと内容に集中し辛い。 内容は、発酵を様々な観点から捉え、またいくつかの発酵食品を取り上げていて、イメージしやすい。 文体がひたすらに辛いだけ。

Posted byブクログ

2020/08/05

発酵を学ぶと「日本人がいかにして自然と向き合ってきたか、日本人の嗜好傾向」がわかる。日本人は自然を崇拝しつつも支配しようとした。でも、持続的サイクルは乱さずに人間を自然の一部のように捉え、里山文化や醸造家の生活からわかるように共存しようとした。しかし、近代以降は大量生産大量消費時...

発酵を学ぶと「日本人がいかにして自然と向き合ってきたか、日本人の嗜好傾向」がわかる。日本人は自然を崇拝しつつも支配しようとした。でも、持続的サイクルは乱さずに人間を自然の一部のように捉え、里山文化や醸造家の生活からわかるように共存しようとした。しかし、近代以降は大量生産大量消費時代により、こだわりや個性が見捨てられ便利で安価なものが重宝され文化が廃れてしまった。そしてそれを知らない人も数多くいる。現代になるとDIY文化にポツポツとスポットライトが当てられ、従来のライフスタイルや働き方に疑問を抱く人が出てきた。自分もその中の1人。ヒラクさんが広めようとする世界観の波に自分も乗りたいと思った。こだわりや個性、手間を大切にして生きたいね。とりあえず味噌づくりがやりたい。 表現の仕方、様々な分野を行き来した比喩が面白い。ヒラク節って感じ。 自分の美意識を実現するのもいいけど、みんなの創意工夫を発動するためのプラットフォームづくりがしたいね。 ■フレーズ ・発酵文化人類学: 発酵を通して人類の暮らしにまつわる文化や歴史の謎を紐解く学問 ・発酵文化は伝統と未来のバトンリレー。自分がその結節点になる。 ・発酵的贈与の世界。市場原理ではなく、愛と贈与に基づいたコミュニケーション。 ・都会の仕事と地方の仕事。人間同士の対話と自然との対話。仕事をする上で大事なのは、そこから何に気づくか。働くプロセスを通して自分の世界を豊かにする。その方法が無数にあるだけ。お金を稼ぐためのものではない。 ・こだわりやその人らしさが対話と面白さを生む。お酒も美術も一緒。どんなに写実的でも個性が感じられないとつまらない。 ・気に入った専門書は暗記するように10周ぐらい読んで初めて自分のものになる。

Posted byブクログ

2020/08/03

全体がラフな語り口で読みやすくなっている。章ごとに解説や参考文献があり読みやすい。 発酵と腐敗は、人にとって役に立つか害になるかの違い、なるほど!! 文化人類学 レヴィストロース の視座を踏まえている。 文明の思考」はエンジニアで設計図があり、加工していくこと 働くことは自己を...

全体がラフな語り口で読みやすくなっている。章ごとに解説や参考文献があり読みやすい。 発酵と腐敗は、人にとって役に立つか害になるかの違い、なるほど!! 文化人類学 レヴィストロース の視座を踏まえている。 文明の思考」はエンジニアで設計図があり、加工していくこと 働くことは自己を豊かにすること 野生の思考」は器用人で「プリコラージュ」あるもので作っていくこと 素材との対話で気づき、発見していくこと。 発酵は、何が起きるかわからない。素材と対話して発見していくこと。 大量生産でなく、地域ごと、生産者ごと、樽ごとに個性が出る。価格競争でなく、個性を売る時代だ。地域創生は発酵から・・夢がある。発見がある本だ。

Posted byブクログ

2020/06/08

味噌も醤油も大好きだし、発酵の潜在能力の高さを知ることができてよかったけど、わたしにはちょっときれいすぎる人たちのお話だった。そこそこ後ろ暗い人たちの "コンタミネーション" がある社会の方が、わたしは好きだな。

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2020/03/27

装丁がまず最高!60年代~70年代のヒッピームーブメントっぽいイラストがなんともぐっと来ます。 僕が発酵というものに興味を持ったのは何と言ってもぬか漬けです。ぬかに塩を入れて混ぜているだけで乳酸発酵する不思議な代物。なんで腐らないでこんなに美味しいものが出来るのでしょうか。やって...

装丁がまず最高!60年代~70年代のヒッピームーブメントっぽいイラストがなんともぐっと来ます。 僕が発酵というものに興味を持ったのは何と言ってもぬか漬けです。ぬかに塩を入れて混ぜているだけで乳酸発酵する不思議な代物。なんで腐らないでこんなに美味しいものが出来るのでしょうか。やってみると簡単なのに、少しの変化で味が変化して不味くなってしまうんですね。まさに生き物を飼っているような気分でした。 これは筆者であるデザイナーが何故か発酵にはまり、発酵食品業界専門のデザイン、プロデュースに特化するという変人ルートから、発酵にまつわる事をフリーに語っていく良作です。 ハウツー要素は無いのですが、味噌作ってみたくなるワクワク感が有って、その先を見たくなるような本であります。 日本酒、ワイン、味噌、醤油など色々な発酵食品の作り手が沢山出てきてとても興味深いです。一番の衝撃は甲州にぶどうが伝来したのが1300年前という事でした。この100年くらいで伝来して取り入れたのかなと思いきや、相当前から栽培していたようです。 地酒としての葡萄酒も昔から飲まれていたそうで、まさに驚天動地でした。 ラフな文章で親しみやすいので好き嫌いあるかもしれませんが、情熱は非常に感じられて僕はとても好きな本です。ビバ発酵!

Posted byブクログ

2020/03/09

「マリノフスキーやモースおじさんが発見した「文化人類学的」贈与の世界は、第2次世界大戦以降、過剰なエゴによる個人主義と等価交換が引き起こした争いで消耗した近代西欧社会に対するカウンターカルチャーの象徴になった。  その再来を、21世紀の日に生きる僕たちは「発酵的」贈与の世界に見...

「マリノフスキーやモースおじさんが発見した「文化人類学的」贈与の世界は、第2次世界大戦以降、過剰なエゴによる個人主義と等価交換が引き起こした争いで消耗した近代西欧社会に対するカウンターカルチャーの象徴になった。  その再来を、21世紀の日に生きる僕たちは「発酵的」贈与の世界に見出だし始めている。個人対個人の、市場原理に基づくコミュニケーションではなく、共同体の中で、愛と贈与の原理に基づくコミュニケーションの可能性を夢見ている。ただひとつのモノサシで規定される価値観で他人と競争するのではなく、多様性のなかでお互いの個性を認め合う世界を求めているのだ。  これまでの資本主義と違う、贈与の仕組みで動く世界を「ギフトエコノミー(贈与経済)」と呼ぶ。これはモースおじさんの言う「全体的給付」の世界観で形成される経済のこと。個人の損得を超え、お隣さんに気前よく贈り物をすることで回っていく経済のカタチだ。  それは別に夢物語ではなく、ボランティアや地域コミュニティ、そして家族の中で当たり前のように存在している。モースおじさんの贈与理論を経済学において発展させたハンガリーの経済学者、カール・ポランニーは、 「経済システムと市場を別々に概観してみると、市場が経済生活の単なる付属物以上のものであった時代は現代以前には存在しなかった、ということがわかる。原則として、経済システムは社会システムのなかに吸収されていた」 と言っている。つまり現在における資本主義経済以前には、贈与経済「しか」なかったということだ。何かを交換する時は、必ず社会を構成するための「副産物」がいっぱいくっついている。マナーや愛や祭りや見栄が複雑に絡み合い、交換することで社会秩序が保たれる時代。「経済が社会システムの中に吸収される」ということは、つまり経済行為を通して「他人同士が仲良くなる=秩序が形成される」ということだ。  交換を繰り返すごとに強者はより勝ち、弱者はより負ける。そんなシビアな近代の市場経済とは真逆の可能性が贈与経済に託されている。周りを蹴落とす強い個体で満ち溢れた環境は、はたして住みよい世界なのだろうか」 小倉ヒラク(2017), 「発酵文化人類学(木楽舎)」, p190-191

Posted byブクログ