ぼくの村は壁で囲まれた の商品レビュー
パレスチナ問題と一口に言うけれど、パレスチナ人の居住している場所はまさに現代のゲットーであり、とても今現在進行中の事とは思えないくらいに人権が無視されています。 自治区一般市民への殺意を隠さないイスラエルの強気は、国際社会からの評価を気にしていないです。これはアメリカからの支持を...
パレスチナ問題と一口に言うけれど、パレスチナ人の居住している場所はまさに現代のゲットーであり、とても今現在進行中の事とは思えないくらいに人権が無視されています。 自治区一般市民への殺意を隠さないイスラエルの強気は、国際社会からの評価を気にしていないです。これはアメリカからの支持を受けているという事も有るし、何が何でもユダヤ人国家を存続させるという強烈な意志もあります。 岡真理「ガザに地下鉄が走る日」を読んで疑問に感じた「ユダヤ人は何故ホロコーストを体験したのにパレスチナ人に同じことをするのか?」という疑問はこの本に答えがありました。 イスラエルの主流となっているユダヤ人は、迫害を受けたユダヤ人とは別物で、逃げ延びてきた人たちに、イスラエルはとても冷淡だったと言います。避難民は戦わず迫害された臆病者という評価を下されていたようです。 そして「迫害されたユダヤ人」という世間的なバッチのみをアピールして、国際的に優位な位置に立った。これが真相でした。 現在の居留地も狭められ、必要なインフラ(水、電気)も足りず、食料や医薬品も足りない。検問所ではその日のイスラエル兵の気分で足止めされ出勤が通学が出来ない。病人や妊婦が検問所で亡くなるなどの事も日常的にあります。 子どもたちの遊び場も満足に無く、男児が集まっているだけで逮捕されるなど信じられない事が沢山あります。そして容赦ない空爆や狙撃。2014年に大規模な空爆が有り数千人の命が奪われました。 ちなみに基本的な所で、何故この地にイスラエルが出来る事になったのか。そこで最も原因として大きかったのは、第一次世界大戦時のイギリスの悪名高き三枚舌外交だと言います。アラブ、ユダヤ、フランス、各国へ別々に交渉する事によって有利に事を運びました。特にイギリス国内のユダヤ人から戦費を引き出すためにパレスチナにユダヤ人の国を作るという約束をした事。これがシオニズムの活発化につながり、パレスチナ人が先祖代々の土地を追われる事になったのでした。 当然ユダヤ人が安住する事が出来る地が無い事は同情します。民族的に絶滅させられるのではないかという恐怖に立ち向かう為に必死というのも分かります。しかしパレスチナ人に行っているイスラエルの行動はまさに民族浄化と言えると思います。 今、テルアビブ・オン・ファイヤーというイスラエルとパレスチナをテーマにしたコメディ映画が上映されています。まだ見ていないのでどういう映画なのか分かりませんが、一般の人に少しでもこの問題を認識して貰える材料になるのではないかと期待しています。 最近TVでもイスラエルの高度な技術の特集や、芸能人がイスラエルのダンスについて熱く語る番組なんかもありましたが、まずパレスチナ問題が現在どうなっているのかを見て、その上でイスラエル賛美をして頂きたいと思います。アメリカに右ならえ、ばかりだから世界で禁止されている薬剤を日本で撒きまくっても誰も騒がないんだと思います。話逸れましたけど。
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※このレビューにはネタバレを含みます
本書では取材されたガザ地区の少年・アラがこう言っています。「ぼくは、外の世界にいる人たちがガザのことを知っていると思いたい。ガザがどれほどひどい状況かということや、ぼくたちがどれおほど苦しんでいるのかということを」ほんとうにひどい、イスラエルのパレスチナの人々への基本的人権を無視した行いは、本書を呼んでもらうに尽きるのですが、最低限のルールである基本的人権に関しては、1947年に国連により「世界人権宣言」が採択されています。イスラエルはこれをないがしろにしているんです。パレスチナで起こっていることは、「ホロコースト」や「アパルトヘイト」と同じようなものなんですね。また、本書に書かれていたイスラエルの平和活動家の中でよくいわれていることの解釈を。「イスラエル人は、恐怖の囚人になっている」。恐怖に捉われた人々は、相手を悪魔のように思いこみ、冷静な判断力を失う。どんなに自分たちが圧倒的に有利な状況でも「自分たちがやられている」と思いこめば、とことん打ちのめさないと安心できなくなってしまう。それは、被害妄想的でもある。視野が狭くなると論理的に考えることができなくなって、感情的に反応するようになる、と。そんななか、希望もありました。「パレスチナ・ビジョン」というNGOがあり、非暴力で社会を変えていこうとする若者が集まり育ってきているそう。こういう、非暴力で社会を変える、というのは、日本でもどこの国でも当てはまること。世界中で、そういうよい影響を与えたり受けたりしつつ増幅していって、よりよい世の中が実現するとほんとうにいいのになあと思いつつ、そして、パレスチナの現状と歴史に憤りを感じつつ、本書を読み終えることになったのでした。
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パレスチナとイスラエルの対立について、とてもとても詳しくわかりやすく書かれた本。 中学生くらいから理解できる内容だと思う。 イギリスの三枚舌外交によって、イスラエルとパレスチナ問題が起きたのは知っていたが、そもそもなぜ簡単にシオニズム運動が起きたのか、なぜユダヤ人はホロコースト...
パレスチナとイスラエルの対立について、とてもとても詳しくわかりやすく書かれた本。 中学生くらいから理解できる内容だと思う。 イギリスの三枚舌外交によって、イスラエルとパレスチナ問題が起きたのは知っていたが、そもそもなぜ簡単にシオニズム運動が起きたのか、なぜユダヤ人はホロコーストなど民族浄化を経験したのに、同じことをパレスチナ人にしているのかなども詳しく載っている。 ホロコーストにあったユダヤ人と、シオニズムで移住したユダヤ人は別物らしい。 当時のユダヤ人の中でも、イスラエルへ移住するのは反対していた人たちもいたそうな。 PLOのアラファト議長や、その後パレスチナを支配するハマスなどは報道を見ている限りずっとテロの集団だと思ってきた。 しかし、パレスチナ人はイスラエルから生活だけでなく生命の危機を含む理不尽な扱いをされ、人権侵害を受けていて、それに抵抗する最後の方法が自爆テロしかないという事実を知ると、彼らは本当にテロリストなのだろうかと疑問が湧いてくる。 もちろん自爆テロに巻き込まれるのは一般市民が多いし、決して許されることではない。 が、イスラエルで行われている自爆テロはもともとイスラエルがパレスチナに対してやってきたことと同じことではないか。 単純にハマスがテロ集団だと言えなくなってしまった。 知れば知るほど、単純にどっちが善でどっちが悪という判断ができなくなってくる。 国連が批判してもダメで、周辺諸国が批判してもダメ。 何もをどうしたらこの問題が解決するんだろう。 そもそも、イスラエルのユダヤ人たちもイスラエルがパレスチナに対して行なっている非人道的な行いを全く知らず、本気で心からイスラエルには差別なんかない、ひどい事なんてしていないと思っているからタチが悪い・・。 とりあえず巻末にパレスチナ問題について支援を行なっているNGOが載っているので、支援するかどうか考えよう。
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状況は本当に末期的。 でも、終わりはいつまでもこない。 そりゃ絶望もするよね。 こんな世界滅ぼしてしまえとも思うかもしれない。 人のエゴは恐ろしい。
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2018年4月にパレスチナに行くことにし、その前に歴史を学ぼうとある本を読んだけど、結局わかりにくいとか複雑だという印象が強かった。事実を丁寧に書くことも大切だが、問題提起があってそれについて話していくというやり方の方が人の心に響くのかもしれない。 私が常々疑問に思っていたこと。...
2018年4月にパレスチナに行くことにし、その前に歴史を学ぼうとある本を読んだけど、結局わかりにくいとか複雑だという印象が強かった。事実を丁寧に書くことも大切だが、問題提起があってそれについて話していくというやり方の方が人の心に響くのかもしれない。 私が常々疑問に思っていたこと。「なぜホロコースト犠牲者の国がパレスチナ人を迫害するのか」―これに対して著者はある回答を与えていて(p.100)、なるほどと思った。 逆に、え?と思ったところが一点。「ユダヤ人というのはもともと人種的、民族的な存在ではなく、宗教的な存在」(p.50)という記述。そう言い切っていいのかどうかは疑問。私はもともとは人種的・民族的な存在だったのではないかという印象を持っている。 パレスチナ問題を宗教的対立とか民族的対立などととらえてしまっては問題を見誤ることになる。著者が最後の方で書かれていたことにとても共感したので抜き書きしておきたい。 ************************* 誤解を恐れずに言えば、イスラエルという国家がパレスチナ人に対して行ってきたことは、「ホロコースト」や「アパルトヘイト」と同じように、人類の歴史に残る巨大な犯罪行為です。それを「イスラエル対パレスチナの紛争」ととらえると事態を見誤ることになります。この問題は、たった今ホロコーストのようなことが起きているとしたら、現代のアンネ・フランクが声も出せずに恐怖に震えているのだとしたら、あなたはそれを黙って見過ごすのか、という問題なのです。(p.180) ************************** とにかく問題に関心を持つことがまずは第一歩。
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パレスチナに生きる子どもたち その過酷すぎる現状が平易な言葉で語られる 今まさに起きていること 決して宗教問題ではないこと 遠いパレスチナだけど世界の縮図 見過ごすことは許されないのですね もっと知り、広めなければなりませんね この本もっともっと読んでもらいたいです ≪ 知り伝...
パレスチナに生きる子どもたち その過酷すぎる現状が平易な言葉で語られる 今まさに起きていること 決して宗教問題ではないこと 遠いパレスチナだけど世界の縮図 見過ごすことは許されないのですね もっと知り、広めなければなりませんね この本もっともっと読んでもらいたいです ≪ 知り伝え 行動すれば 変えられる ≫
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パレスチナの歴史が分かりやすく解説されていて、現状が素直に伝えられているので、公平(?)な立場で考えられる。 確かに、宗教とか民族の問題ではない、日本も含めた国際的な問題ですね。素直に頭に入ってきました。 分かりやすい内容なので、中高生に読んで欲しいと思いました。
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パレスチナ問題の話。ニュース等では目にはいるが、よく分かっていないので、勉強。 著者は言う。まず①知ってもらい②広めてもらい③活動を支援してもらいたい。 私は①知った。戦時中ではないのに、本の戦争中のような元で生きている人がいることに心を痛めはする。が、多少の違いはあれ問題はど...
パレスチナ問題の話。ニュース等では目にはいるが、よく分かっていないので、勉強。 著者は言う。まず①知ってもらい②広めてもらい③活動を支援してもらいたい。 私は①知った。戦時中ではないのに、本の戦争中のような元で生きている人がいることに心を痛めはする。が、多少の違いはあれ問題はどこにでも転がっており、私が色々な問題に手を出すのは不可能。よって①で止まってしまうというスタンスになってしまう。 逆に私が広めたいと思う、改善したいと思うことがあった場合、どうするだろう?現代は出版しなくても情報発信の場はいくらでもある。やはりそれをやり遂げたいと思う熱量だろうかね。著者のように高い熱量を持って成し遂げたいと思う物が私には無いんだろうな。 【学】 ガザのように、すぐそこに物質が人為的に止められて苦しんでいるような地域は、世界のどこにもありません。 イスラエルにパレスチナ自治区が占領されている。 ①世界に散らばっていた、ユダヤ人が聖地パレスチナに集まろう(帰ろう)と強く思う人々がいた。 ②第一次世界大戦中、イギリスの二枚舌外交で問題が強まる。つまりパレスチナに行きたいユダヤ人には協力すれば、土地を分割するよ。パレスチナにいた人は、現政権に反乱を起こせば、自治を認めるよと相反することを言う。 ③一時大戦が終わり、土地分割をすると、パレスチナの人が70%も占めるのに、土地はユダヤ人と50%50% ④納得が行かないパレスチナ人がエジプト、ヨルダンと組んで、ユダヤ人と争うが、団結力の強いユダヤ人が勝ち、更に土地を削られ今に至る。
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著者の高橋真樹氏は、自然エネルギー、国際協力、国際政治などのテーマを中心に取材、執筆活動を行っているノンフィクションライター。 私は本書を、行きつけの神田神保町・東京堂書店の平積みで目にし、迷わず即座に購入した。というのも、私は本年1月にエルサレムとパレスチナ・ヨルダン川西岸(ベ...
著者の高橋真樹氏は、自然エネルギー、国際協力、国際政治などのテーマを中心に取材、執筆活動を行っているノンフィクションライター。 私は本書を、行きつけの神田神保町・東京堂書店の平積みで目にし、迷わず即座に購入した。というのも、私は本年1月にエルサレムとパレスチナ・ヨルダン川西岸(ベツレヘム、ラーマッラー、死海沿岸など)を一週間ほど一人で旅してきたばかりで、そこで見、聞き、感じ、考えたことが、本書にまさに活字となっていたからだ。 著者は、パレスチナの問題を「世界の縮図」とし、「黙って見ているだけでいいのか?」と我々に問いかけ、「自分にも何かできることがあればやってみたい。そう思った方にまずチャレンジして欲しいことがあります。それは、「知ること」、「伝えること」、「行動すること」です」と語っているが、私は、「知る」ために現地まで行ってしまったのだ。 現地では、3宗教の聖地を抱くエルサレム旧市街や、イスラエルが第三次中東戦争で一方的に占領・併合した東エルサレムは言うまでもなく、本書でも取り上げられている、イスラエルとパレスチナを分かつ分離壁、そのボーダーを越えるための検問所(チェックポイント)、イスラエルがパレスチナ地域に作った入植地、ホロコーストの犠牲者を慰霊する博物館ヤド・ヴァシェム、ユダヤ人が再び全滅を繰り返さないという固い決意を語り継ぐマサダ遺跡、世俗的な人々と対立を深める超正統派のユダヤ教徒(の住む街)なども訪れ、様々なことを肌で感じた。 本書では、一般の個人旅行者ではなかなか足を踏み入れることができない、ヨルダン川西岸やガザ地区の街・難民キャンプで今何が起こっているのかを、取材に基づいて詳しく紹介していることに加え、極めて複雑な当地の歴史・現状を、地図や写真を交えて、わかり易く整理・説明しており、パレスチナの問題をまず「知る」ためには、最適の入門書と言えるのではないだろうか。 (自分の旅の前に発刊されていれば、大変参考になったであろう。。。) (2017年4月了)
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