人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか の商品レビュー
2017年の本なので、現時点(2023年)と世相は少し変わっている。あと、専門家ではないので、細かい議論の妥当性までは理解しきれていない。その前提での印象としては、世の中は複雑なので、単一原因に起結は出来ないのだなあ、という感じ。(当たり前) 中高年以上の正社員の名目賃金は上が...
2017年の本なので、現時点(2023年)と世相は少し変わっている。あと、専門家ではないので、細かい議論の妥当性までは理解しきれていない。その前提での印象としては、世の中は複雑なので、単一原因に起結は出来ないのだなあ、という感じ。(当たり前) 中高年以上の正社員の名目賃金は上がっているが、新卒世代だと採用が絞られ賃金の低い非正規割合が増えているとか、主婦層/高齢者のパートタイマーが増えたことで、日本全体としての統計では賃金が上がっていないように見える、などはありそうなことで、、、 氷河期世代の不憫さが滲み出てる議論には涙が止まらない。。。
Posted by
日本の硬化した労働状況が 少しは理解出来た さて! 自分に何ができるか、どうするかだな。と考えさせられた…
Posted by
題名に釣られて購入するもののかなり読み応えがある本。 題名に対して「それは会社が契約社員の割合を増やしているから」と答えてしまう我々読者に対して、その一歩先の分析を導き出そうとする。 研究者による経済学に立った分析およびその解説は、経済学の基礎知識が欠けている自分のような読者にと...
題名に釣られて購入するもののかなり読み応えがある本。 題名に対して「それは会社が契約社員の割合を増やしているから」と答えてしまう我々読者に対して、その一歩先の分析を導き出そうとする。 研究者による経済学に立った分析およびその解説は、経済学の基礎知識が欠けている自分のような読者にとって難解な面も大いにある。ただそれ以上に、一つの問いに対して複眼的な分析でアプローチする手法は、なるほど、これは奥が深い。少なくとも、「何もしないで、賃金が上がる」なんてことは夢物語である感想を持った。
Posted by
自分はトラックドライバーなのでバス運転手を例えに賃金が上がらない理由(スキルの勤続年数による向上がない、など)を考察した章が印象に残った。
Posted by
タイトルの通りだけど、12人あまりの人がそれぞれの切り口で自説を述べるオムニバス方式。色んな切り口があるので面白い。 でもほとんどは忘れてしまった。 実は結構難しくて、用語を調べたり、別のページのグラフと見比べたりする必要があり、電車内で読むには向かない。 わかりやすいのは、...
タイトルの通りだけど、12人あまりの人がそれぞれの切り口で自説を述べるオムニバス方式。色んな切り口があるので面白い。 でもほとんどは忘れてしまった。 実は結構難しくて、用語を調べたり、別のページのグラフと見比べたりする必要があり、電車内で読むには向かない。 わかりやすいのは、失業率も下がっているし、正社員、非正規労働者の給料はそれぞれ上がっているけど、正社員→非正規への人口シフトが起こり、トータル平均だと給料が下がって見える、というもの。
Posted by
旬の本だから早めに読まねばと思いつつ、途中で放りだしてながらく積読にしてしまっていた。でもおかげで本書の論考が執筆されたであろう時点から概ね3年が経過した(2019年11月)ので、その後の実質賃金推移を振り返ってみると。。。 ・毎月勤労統計調査 「きまって支給する給与」 201...
旬の本だから早めに読まねばと思いつつ、途中で放りだしてながらく積読にしてしまっていた。でもおかげで本書の論考が執筆されたであろう時点から概ね3年が経過した(2019年11月)ので、その後の実質賃金推移を振り返ってみると。。。 ・毎月勤労統計調査 「きまって支給する給与」 2018年は2015年比で1.6%増、ただし2019年にはいって微減ないし横ばい傾向 ・消費者物価指数 「総合」 2018年は2015年比で単年値を掛け算すれば1.4%増 以上より実質賃金は3年がかりで0.2%増くらいと相変わらずほぼ横ばい。ますます人手不足は言われているように感じるのですがこの状況。なお毎月勤労統計調査は調査方法の誤謬が問題になっているやつ オムニバス形式でいろいろな論考がならんでいるが、響いたのは第1章と第15章。 第1章での、労働需要の賃金弾力性が非常に大きいため「人手不足=労働力に対する超過需要ではない」可能性、との指摘は納得できる。はたらきたい人はいるのだが給料が安すぎて集まってこないために人手不足「感」が生じてしまうというもの。企業に対するアンケートでも、人手不足の理由として事業の拡大よりも離職の増加を上げている企業が多いという裏付けもあるそう。本章で他にも指摘されている介護報酬制度による介護職の賃金抑制も、給与が抑制されてることからくる人手不足ということでは同様の構図になり、人手不足でも好況感がまったくないことになる。 第15章はあらたな発見はないが現実世界の感覚として強烈に腹落ちする。まさに身分としての正規/非正規。もともとの正規/非正規格差は「男性稼ぎ主モデル」による生活保証を日本では企業が担ったことが原点だろうと示唆するが、それが時代とともに変容しつつ、都合の良いロジックで正当化されている。解決の妙案はない感じ。 あと第6章、第7章の人材育成力の低下という指摘も重たい。 全体として賃金の伸び悩みに対する「これぞ」といった処方箋はないのだが、一つありそうなのは第7章で触れられている、女性や高齢者の労働市場への新規参入が落ち着いて現代版「ルイスの転換点」を迎えるかも、というもの。
Posted by
人手不足なのになぜ賃金があがらないのかという問いに対して、様々な角度から解明を試みる。編者は七つのポイントから整理している。 【需給】労働市場の需給変動からの考察 ・市場メカニズムが働いていたとしても、弾力性の高さから、人手不足は主に雇用者数で柔軟に調整される結果、賃金は上が...
人手不足なのになぜ賃金があがらないのかという問いに対して、様々な角度から解明を試みる。編者は七つのポイントから整理している。 【需給】労働市場の需給変動からの考察 ・市場メカニズムが働いていたとしても、弾力性の高さから、人手不足は主に雇用者数で柔軟に調整される結果、賃金は上がりにくくなる ・需給に応じて賃金がすぐには反応しないことを主張する論文が多かった半面、…継続就業している雇用者に限定し個別に追跡していくと、賃金が上昇している場合も少なくない。 【行動】行動経済学等の観点からの考察 ・賃金の下方硬直性が情報硬直性を生み出す 【制度】賃金制度などの諸制度の影響 ・賃金に関する制度だけでなく、社会保障に関する諸制度も、賃金が上がらない背景となっている 【規制】賃金に対する規制などの影響 ・現在の成長産業である医療・福祉産業では、どんなに人手不足になっても、すぐには賃金が上がりにくい仕組みがある 【正規】正規・非正規問題への注目 ・正規雇用に比べて賃金の低い非正規雇用の割合が増えれば、雇用者全体の平均賃金には、明らかに低下圧力が生まれる。2000年代を中心とする非正規雇用割合の増大が賃金を抑制していた 【能開】能力開発・人材育成への注目 ・人的資源管理論の立場からすれば、人手不足なのに賃金が上がらないのは、一つには企業が高く評価する技能を持つ労働者が少ないから 【年齢】高齢問題や世代問題への注目 ・働き盛りの年齢にある(30代から40代)人々の置くが、まさに賃金停滞の中心にある
Posted by
賃金が上がらない理由を、複数の経済学者が書いた16の論文をまとめている。だが、いずれもこれだと言う内容もなく、一部を除き目新しさもない。 理由は様々あると思うが、労組の組織力の低下に伴う労働分配率の低下が大きな要素だと思う。 役員の報酬は上がり続けているのに、労働分配率は低下を続...
賃金が上がらない理由を、複数の経済学者が書いた16の論文をまとめている。だが、いずれもこれだと言う内容もなく、一部を除き目新しさもない。 理由は様々あると思うが、労組の組織力の低下に伴う労働分配率の低下が大きな要素だと思う。 役員の報酬は上がり続けているのに、労働分配率は低下を続けているが、労組は経営参加と言われてその気になって(もしくはそのフリをして)、戦うことを恐れる組織になってしまった。その辺りをもっと問題提起する人が居ないのが残念。
Posted by
賃金の下方硬直性ゆえの上方硬直性とか、世代間格差とか、統計的誤謬の可能性とか、非常に示唆に富む内容だった。個人的には産業の新陳代謝を高め、生産性の低い産業から高い産業への労働力の移動があるべきだと思う。
Posted by
賃金が上がらない構造的な理由についての検証を行っている。 非正規雇用の増加、労働生産性の低下、企業の人材投資の低下(労働分配率低下)。 団塊ジュニア世代は就職氷河期で、賃金が他の世代に比べて低い。
Posted by
- 1
- 2