会津執権の栄誉 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
直木賞候補作。 時代小説ものは久しぶりだった。そのため、どのように感想を持っていいのかまだよくわからない。BUTTERの後なので非常に読みやすい。連作短編という形式。遠藤周作や乙川優三郎のような深い余韻は、感じなかった。また、司馬遼太郎のように、「作者」をあまり感じなかった。司馬遼太郎は様々に批判されても、司馬遼太郎が描いている、彼がそのように解釈しているという作者の顔が見えつつ読める気がする。 一つ一つの短編自体は、おそらく王道的なものだし面白いのだけど、いっそのこと金上氏のみにスポットを当てて一代記のような形式でもよかったのかなと勝手に感じた(全ての感想は勝手です、本当にすみません)。
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6編からなる連作ですが、一番良かったのは「退路の果ての橋」。足軽である小源太が信じてきたものが極限の状況下で反転して現れるところがなかなか面白かったです。これ以外の作品も一人一人の人物描写に工夫を感じられ、普段時代小説をほとんど読まない私ですが、退屈することなく最後まで読み進める...
6編からなる連作ですが、一番良かったのは「退路の果ての橋」。足軽である小源太が信じてきたものが極限の状況下で反転して現れるところがなかなか面白かったです。これ以外の作品も一人一人の人物描写に工夫を感じられ、普段時代小説をほとんど読まない私ですが、退屈することなく最後まで読み進めることができました。 デビュー作としては上々の出来だと思います。 欠点を挙げるとすれば、一冊の連作として読んだ場合、世間的にはマイナーな大名を外側から眺めるという設定であるがゆえにやむを得ないところもあるのですが、どうしても盛り上がりに欠けるというか、読者が核となるものをいまひとつ掴みきれないように感じてしまう点でしょうか。 芦名家の中心人物を主軸に据えた話がもう少しあっても良かったのかなと思います。 あと、冒頭の「主な登場人物」に各編の主人公を載せないのはちょっと不親切では。 意図が分からないわけではないのですが、文庫化の際はご一考いただきたく。
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初出 2013〜16「オール讀物」 会津守護を名乗る芦名家の滅亡を、家臣5人と伊達政宗を主人公とする6短編がほぼ時系列に並べてある。 継嗣の絶えた芦名家の当主に佐竹家から養子を迎えることに反対した猪苗代盛国の裏切りの疑惑を見極めようとする富田隆実。 新当主に付いてきた佐竹家...
初出 2013〜16「オール讀物」 会津守護を名乗る芦名家の滅亡を、家臣5人と伊達政宗を主人公とする6短編がほぼ時系列に並べてある。 継嗣の絶えた芦名家の当主に佐竹家から養子を迎えることに反対した猪苗代盛国の裏切りの疑惑を見極めようとする富田隆実。 新当主に付いてきた佐竹家の家臣と芦名家の家臣の軋轢が生んだ惨殺事件の調査を任された桑原新次郎。 伊達と戦うために佐竹と一緒に兵を出した芦名家の家老が佐竹から来た家臣を陣立ての中心にするのではないかと危惧をもっていた家老の侍大将白川芳正。 かつて自分が人夫として普請した橋を伊達方が壊そうとするのを止めようとする、足軽として戦にかり出された小源太。 伊達との戦で劣勢になり敵の本陣が手薄と見て突入し計略にかかって討ち死にする「会津執権」と太閤からも呼ばれた家老の金上盛備。 秀吉の惣無事令に違反して芦名氏を滅ぼして領地を広げたことを咎められ、北条攻めの陣中に呼び出された伊達政宗。 最後のこの章がない方が、物語としては完成しているのではないのかと感じる。 #直木賞候補になった
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会津といえば松平容保がいちばんに頭に浮かぶのだけど、それ以前の、芦名氏については寡聞にして未知でした。恥ずかしながら。 なにが運命を分けるのか。戦国の世を生き延びていくために必要なものがここにある。 時代小説ファンにはもちろんだけど、戦国のようなビジネスの世界で闘う人たちにも共感...
会津といえば松平容保がいちばんに頭に浮かぶのだけど、それ以前の、芦名氏については寡聞にして未知でした。恥ずかしながら。 なにが運命を分けるのか。戦国の世を生き延びていくために必要なものがここにある。 時代小説ファンにはもちろんだけど、戦国のようなビジネスの世界で闘う人たちにも共感される一冊です。
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【時代小説界に大型新人が登場!】家臣による当主弑逆を切掛に、会津の名家、蘆名家は崩壊の一途を辿って行く。オール讀物新人賞受賞作家による、初の連作短編集。
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