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自閉症は津軽弁を話さない の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2021/03/18
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ちょっと接し方を変えられそう。 後半の意図と指示の((行為内容)変更の申し出(依頼))で自閉症者には判断をさせずに行わせるの、ですますで相手に何かさせる、自閉症では相手が自分の意図に働きかけていることに理解が弱い、意思決定機能が十分に働いていない。前提がある。他社には心があり人の行為には意図がある。相手は相手の意図で動く。相手の意図を動かすことが有効で可能だという認識。意図を動かす方法を学習する。機能としての言語や行動は訓練で育つが、意図の読み取り調整参照は育てるのがより困難。他者だけでなく自分についても。

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2022/08/11

無印とリターンズと読んだ。無印は、一般向けテーマで専門分野の話するタイプ。リターンズは、続編で、話題の範囲が少し広くなってる感じ。リターンズの、著者の専門である、ASD児童の教育の話が興味深い。モブプロと共同注意、LC4RIと共同注意、仕事が身につかない人に何が足りないのかの欠落...

無印とリターンズと読んだ。無印は、一般向けテーマで専門分野の話するタイプ。リターンズは、続編で、話題の範囲が少し広くなってる感じ。リターンズの、著者の専門である、ASD児童の教育の話が興味深い。モブプロと共同注意、LC4RIと共同注意、仕事が身につかない人に何が足りないのかの欠落がASDの社会性に困難を持つのと同じじゃないか、とか、この辺、接続がありそうに感じた。どっかに研究ないかなー 開発や運用を担うに足るメンタルモデルができていない人は仕事を上手く進められないので、ASDが社会規範を上手く獲得できないで苦労するのと、問題として似ている面があるのではと思った。ASD児童の教育現場で共同注意を促したりして、それを克服しようとしているのと、モブプロやLC4RIに含まれる共同注意に、同じ効き方が期待されているのであれば、ASD児童の教育で行われいる他の工夫も、サーベイしてみたら、いろいろ気付けることがあるのではないかと思った。

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2020/08/29

私は自分にアスペルガー傾向があるからだと思いますが、自閉症(スペクトラム)にずっと惹かれています。本書は特別支援教育、障害児支援の専門家である筆者が臨床心理士である妻の何気ない発言「自閉症は津軽弁を話さない」に「わかってないなあ」と反論して、調べるうちに「わかってたんだ」と気がつ...

私は自分にアスペルガー傾向があるからだと思いますが、自閉症(スペクトラム)にずっと惹かれています。本書は特別支援教育、障害児支援の専門家である筆者が臨床心理士である妻の何気ない発言「自閉症は津軽弁を話さない」に「わかってないなあ」と反論して、調べるうちに「わかってたんだ」と気がついていく話。 私たちは言葉をどう学習するのか。 定型発達児は身近なの大人や子供から方言を、自閉症児はテレビから標準語を学んでいることはアンケートなどから判明した。問題は、なぜそうなのか、ということ。 本書では「言語の習得には社会・認知的スキルが必要で、中でも意図読み意図理解力が重要だが、自閉症(スペクトラム)にはそれが困難だから」となっている。言語の習得にとって、もうひとつ必要なスキルが意図理解なしの模倣や連合学習で、こちらは自閉症(スペクトラム)であっても困難がないので、人ではなくメディアを経由して繰り返される言葉(標準語)は学習できる。なるほど。 意図読みということについて面白い例が挙げられていて、これには唸らされた。 母「早く用意しなさい」 子「うるさいな。いま、やろうと思っていたのに」(p.198) ここにどれだけの意図読みが含まれているか。 母読み <子は用意しようとしていない> 母発言 「早く用意しなさい」 子読み <自分は用意しようとしていない> 子読み <母は用意させようとしている> 子読み <母は私に用意する意図がないと思っている> 子発言 「うるさいな。いま、やろうと思っていたのに」=母の読みは間違っているという否定 意識していないだけで、実はこれくらいの自分の意図読み、相手の意図読み、相手の自分の意図読みが行われている。 歩く、という簡単な行為を分解してみると様々な感知や判断や制御があるように、話すという行為にも様々な読みや判断や制御があるということ。感心するばかり。 もうひとつハッとさせられたのが、特別支援学校の先生などが自閉症児にこうして欲しい、と"意図"を伝えるシーンで「こうして欲しい」と言う代わりに「こうなります」と言う指摘。例えば「用意しなさい(しましょう)」ではなく「用意します」。現場でその方が結果として意図した行動をしてくれることから広まっているらしい。(相手の/自分の)意図読みがいかに複雑で難しいものなのか、ということの本質をえぐっている気づきだと思う。 続編『自閉症は津軽弁を話さない リターンズ』もぜひ読みたい。

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2020/08/18

新聞の広告を見て、ぜひ読んでみたかった。期待通り、すごくおもしろかった。 ASDや発達障害に詳しくないので、わかりにくいところもあったけど、言語習得に関しては思い当たることとか、なるほどと思うことが多かった。 外国語習得に関して言えば、教科書で習う外国語は、ASDの子がテレビやビ...

新聞の広告を見て、ぜひ読んでみたかった。期待通り、すごくおもしろかった。 ASDや発達障害に詳しくないので、わかりにくいところもあったけど、言語習得に関しては思い当たることとか、なるほどと思うことが多かった。 外国語習得に関して言えば、教科書で習う外国語は、ASDの子がテレビやビデオで共通語を覚えるようなものだ。俗語やいわゆる「こなれた言い回し」は、その言葉が使われる場面で覚えていかないと、ヘタに使って失敗する可能性があるが、反対に言えば、そういう言い回しを自然に使えるということは、その言語コミュニティで自然言語として獲得したという証にもなる。教科書では俗語やこなれた言い回しは覚えられないのである。 言語というのは、どこまでいっても社会やほかの人とのかかわりの中に存在するものだ。外国語をなりわいとする身としては、教科書で習った外国語をどうやって社会とかかわりのあるものにするか、教科書で習った外国語でどうやって意図理解・意図確認ができるようになるか、これがとても重要なのである。

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2018/10/15

ざっくり言うと、妻から「自閉症スペクトラムの子供は方言を喋らない。方言が出なかったら自閉症を疑う」という話を聞いた著者が「こいつはとんでもない風説が飛び交っているぜ…」と思い否定のための研究を始めたところ、本当に自閉症スペクトラムにおいて方言が出にくい傾向が見えてきて、統計を取っ...

ざっくり言うと、妻から「自閉症スペクトラムの子供は方言を喋らない。方言が出なかったら自閉症を疑う」という話を聞いた著者が「こいつはとんでもない風説が飛び交っているぜ…」と思い否定のための研究を始めたところ、本当に自閉症スペクトラムにおいて方言が出にくい傾向が見えてきて、統計を取ったり理由を考えたりした、その研究をまとめた本です。 データが惜しげもなく出てくるし、統計一つにしても何故その方法を取ったのか、その結果どうだったのかといった情報が満載で、安心してそして納得しながら読むことができます。 ミステリ好きがミステリを読むときの興奮はこんな感じかな、と思わせる知的ワクワク感に満ちた本です。最高です。

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2018/06/16

1~7章までは学術的にデータが出されて さぁここからどう結論に持っていくんだろうと 思っていたら11章で実際ASD(自閉症スペクトラム障害)の子が 周囲の人間ではなくビデオで言語を習得している事例を出してきたので 「だよねー…(ASD育児してる人は絶対分かってることだよ…)」って...

1~7章までは学術的にデータが出されて さぁここからどう結論に持っていくんだろうと 思っていたら11章で実際ASD(自閉症スペクトラム障害)の子が 周囲の人間ではなくビデオで言語を習得している事例を出してきたので 「だよねー…(ASD育児してる人は絶対分かってることだよ…)」って感じで 拍子抜けしつつも「ASD児は津軽弁どころか方言を話さない」という 結論に到達しました。ASD児をまったく知らない人が読むには とっつきやすくて良書だと感じました。

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2017/06/29

著者が奥さんに言われたひとこと 「あのさぁ、自閉症の子どもって津軽弁しゃべんねっきゃ(話さないよね)」 という一言からこの冒険は始まる。 なぜ自閉症のこともは方言をしゃべらないのかというのは 私達がどのように言語取得をしているかという事にもつながる。 驚いたのは津軽弁を含めた...

著者が奥さんに言われたひとこと 「あのさぁ、自閉症の子どもって津軽弁しゃべんねっきゃ(話さないよね)」 という一言からこの冒険は始まる。 なぜ自閉症のこともは方言をしゃべらないのかというのは 私達がどのように言語取得をしているかという事にもつながる。 驚いたのは津軽弁を含めた方言というのは 単語だけではあまり意味をなさず むしろ一文、一ラリーで成り立つ。 (もちろん、わ=わたしなどの意味はあるが) どのような表情、発音などパラ言語も含めた意味が重要。 方言というのは相手が私の言葉を理解してくれいる という関係性の中でないと成り立たないのです。 それがわかっただけでも大きな収穫でした。

Posted byブクログ