松田正久と政党政治の発展 の商品レビュー
本書は、明治から大正初期にかけて、常に自由党・憲政党・政友会の中心にあり、日本の政党政治の発展に大きく貢献した政党政治家松田正久の生涯を実証的に明らかにすることによって、いかにして近代日本政治に本格的な政党政治が確立されたのかを明らかにするものである。 伊藤博文や原敬などと比べる...
本書は、明治から大正初期にかけて、常に自由党・憲政党・政友会の中心にあり、日本の政党政治の発展に大きく貢献した政党政治家松田正久の生涯を実証的に明らかにすることによって、いかにして近代日本政治に本格的な政党政治が確立されたのかを明らかにするものである。 伊藤博文や原敬などと比べると、一見地味な松田正久であるが、その漸進的な政治姿勢と、自らの分をわきまえた他者との連携により、近代日本における政党政治の確立に大きな役割を果たしたということが理解できた。松田正久の、漸進的な改革を志向する姿勢や、政党政治家は軽挙妄動せず責任を持った行動をしなければならないという信念は、現在の政治家にも強く求められるものであると感じた。 ただ、本書は優れた実証的近代史研究だとは思うが、限られた史料から松田正久の性格や考えをやや断定的に推測するような部分が散見されたのは、少し気になった。
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