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欲望の資本主義 の商品レビュー

3.9

35件のお客様レビュー

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2024/05/30

本書の中でのセドラチェクの言葉に考えさせられた。欲望の資本主義というタイトルに対し、欲望を満足するための労働における哲学のような話だ。 一つは、「必要もないものを買うために、したくもない仕事をする」これはエデンの園の呪いだ。アダムとイブの物語は、禁断の果実を食べたと言う「消費に...

本書の中でのセドラチェクの言葉に考えさせられた。欲望の資本主義というタイトルに対し、欲望を満足するための労働における哲学のような話だ。 一つは、「必要もないものを買うために、したくもない仕事をする」これはエデンの園の呪いだ。アダムとイブの物語は、禁断の果実を食べたと言う「消費における呪い」を生んだのだという。禁断の果実が「不必要な消費」なのかは分からない。こじつけという気もするが、そこに顕示的消費を当てはめるならば、キリスト教の物語をそのように利用したこと自体が興味深い、と思った。禁断の果実を食した事は、罪とされているのだから、つまり、セドラチェクは、過剰な消費を罪と位置付けているという事になる。 その上で、我々はその罪を背負って、奴隷のように働いているということかと。しかし、この労働の捉え方も面白い。現代の私たちの仕事の大半は、情報の移動であり、これはアリストテレスから見たら娯楽だと考えるだろうと言う。一方で、私たちが自由な時間ができれば、ジョギングをしたり狩りをしたり、庭の手入れをしたり、釣りをしたり、料理をする。アリストテレスにとっては、これは逆に仕事であるはずだと。つまり、仕事と娯楽の逆転可能性、ランダム性が人間にはつきまとう。 「ほしいものが、ほしいわ」糸井重里の西武百貨店でのキャッチコピーだが、これは足ることを知るという言葉とは相反する。自らの際限なき欲望をくすぐり続ける。欲深き、罪深き人間だという事だ。 仕事と娯楽は何故逆転するのか、それは単純に、労働に対価が懸かっているからという事ではないだろうか。毎日走る、人より早く走ることを目指す趣味もあり、その労苦は、対価の有無以外に、労働と大差がないからだ。 シリーズものなので続編も読んでいきたい。

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2024/02/28

スティグリッツのイノベーションへの主張が印象的だった。 "イノベーションにより生産性は上昇しない" シリコンバレーの企業の成長や利益の源泉は広告によるものが多い つまり、利益が他企業から移行しているだけで生産性向上にはつながっていないのでは? 新しいテクノロジ...

スティグリッツのイノベーションへの主張が印象的だった。 "イノベーションにより生産性は上昇しない" シリコンバレーの企業の成長や利益の源泉は広告によるものが多い つまり、利益が他企業から移行しているだけで生産性向上にはつながっていないのでは? 新しいテクノロジーの成功例の一部は短期的に法をかいくぐっているものも多い ウーバーやエアビーなど

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2022/01/08

昔観た番組が面白かったので。経済学のコペルニクス的転回があるかというコンセプトも大いに共感できるし、そう言えばマクロ経済学って面白かったよなぁと思い出させてくれた。 スタンフォードはあまりにも立場というか物事の見方が違い過ぎて、論点がかみ合っていない印象。

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2021/09/25

本当の問題はマイナス金利ではなく、中小企業が資金を調達できないことにある。 日本経済低迷の要因は、人口減少 高齢化が進む日本は、医療機器の分野で世界をリードできるかもしれない 豊作の年は、収穫したものを全て消費するのではなく、貯めておくことです 民主資本主義の本質的な意義...

本当の問題はマイナス金利ではなく、中小企業が資金を調達できないことにある。 日本経済低迷の要因は、人口減少 高齢化が進む日本は、医療機器の分野で世界をリードできるかもしれない 豊作の年は、収穫したものを全て消費するのではなく、貯めておくことです 民主資本主義の本質的な意義は、「自由」にある 日本の資本主義は終着点に到達している。もう全て手に入れた。誰も欲しがらないものを作っても意味がないから、そんなに働かなくてもいい。一度きりの人生なのに、誰も欲しがらない物を作るラットレースを走り続けるのは馬鹿げたことです 経済ではなく、他の分野で成長すれば良いのです。芸術、友情、精神面など 本来、仕事は人生に意味を与えるものです 欲望は充たされない、欲望が望むのは増殖である。 消費者もハッピーになり、企業も稼ぐことができる。それがテクノロジーの利点です。 投資銀行は助言、銀行は貸付、ベンチャーキャピタルは投資です シリコンバレーにいる人達は、 イノベーションをスローダウンさせそうな政府の規制に対しては、力を結集させます もっと面白いのは、シリコンバレーにいる人達は、できることはすぐやるという精神に溢れていることです 自分のためだけに仕事をしている人なんてほとんどいないと思います。それに気づくのが大事だと思います。 変化のスピードを緩めることはできませんし、緩めるべきでもない。認めて受け入れて、その上で行動しなければなりません

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2021/06/01

成長を前提とした経済政策がいかにあぶないのか、繰り返し語られている。借金をして、GDPを一時的に膨らましたところで、成長が無ければ、利子負担だけが重くなり、行き詰まるのは目に見えている。個人の生き方でも、増殖する欲望に合わせて、働きづめとなれば、心や身体を壊し、持続可能性は低まる...

成長を前提とした経済政策がいかにあぶないのか、繰り返し語られている。借金をして、GDPを一時的に膨らましたところで、成長が無ければ、利子負担だけが重くなり、行き詰まるのは目に見えている。個人の生き方でも、増殖する欲望に合わせて、働きづめとなれば、心や身体を壊し、持続可能性は低まる。収入に合わせて楽しみを調整する生き方は、なんのかんのと一番理にかなうのかも。そんないろんな事を考えさせてくれる本だった。

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2021/02/08

「資本主義」を考える月間2冊目。NHKスペシャル「欲望の資本主義」のインタビューを書籍化したもので、世界の知性と呼ばれる人たちの主張がじっくり読める。第1巻では、ノーベル経済学賞受賞のスティグリッツ、チェコのエコノミストであるセドラチェク、Uberを見出した投資家であるスタンフォ...

「資本主義」を考える月間2冊目。NHKスペシャル「欲望の資本主義」のインタビューを書籍化したもので、世界の知性と呼ばれる人たちの主張がじっくり読める。第1巻では、ノーベル経済学賞受賞のスティグリッツ、チェコのエコノミストであるセドラチェク、Uberを見出した投資家であるスタンフォードの3氏。スティグリッツは「総貯蓄が市場最高になってるのに、長期的投資が行われない。必要なのは温暖化対策など、結果に時間がかかる長期的な投資であり、それがあたらしい需要を産む」と説く。セドラチェクは「需要をお増やすのではなく、供給をコントロールすべき。成長に取り憑かれるのは誤りだ。金利3%で借金をして1%しか成長しない政策はおかしいと気づくべき」。スタンフォードは「投資家として、テクノロジーは社会を底上げすると信じている」と無邪気に語る。このシリーズ、大事なこと(切り口や方向性は多様)をとてもよくまとめてくれていてとても勉強になる。 ハッとさせられた一文。天動説の時代に、ロジカルに説明できないことがあっても、それは例外だとして無理矢理誤差の範囲に収め、改善と称してつぎはぎで対応してきた。古びた理論を手放せないあまり、世代交代・新時代に移行できなくなる罠。

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2020/12/30

この番組が好きで他のシリーズも見ている。映像では聞き流している部分が多いので、書籍を見つけて嬉しくなった。 全く方向性の異なる3人の有識者(スティグリッツとセドラチェクは成長資本主義に懐疑的で概ね似た意見)のそれぞれの言い分が面白い。立場や興味の対象が全く違うので当然といえば当...

この番組が好きで他のシリーズも見ている。映像では聞き流している部分が多いので、書籍を見つけて嬉しくなった。 全く方向性の異なる3人の有識者(スティグリッツとセドラチェクは成長資本主義に懐疑的で概ね似た意見)のそれぞれの言い分が面白い。立場や興味の対象が全く違うので当然といえば当然だが、テクノロジーの変化によって社会のあり方を変化させなければならないという落とし所が同じだったのはちょっとした希望だったように思える。 経済に関する本を読むと必然的に哲学や政治や思想、芸術、日常生活全てに派生していくのが面白い。人間として社会で生活していく上で絶対に切り離すことができないからこそ、魅力的なんだと思う。

Posted byブクログ

2020/12/20

「シリコンバレーのイノベーションの多くが広告モデル。これは経済の核にはなり得ない。」「成長は必ずしも必要ではない。成長は大事だが最優先ではない。」まさに我々が当然のように思っていることを揺るがすような論考に刺激される。

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2021/12/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

セドラチェクの主張にはすごく納得感があった。 特に下記は「なるほど、確かに!笑」と思った。 「 財政赤字が GDP 成長率の3倍もある時とき、GDP成長率に意味はない。財政赤字が GDP の3%で、GDP成長率1%であれば、1%の成長を3%の借金で買ったのと同じです。そんな成長に意味がありますか?」 「 銀行から100万円借りて、自分は100万円分金持ちになったと思うのは馬鹿者だけです 。誰でもわかることですね。しかし、財政が同じことをしたら、つまり、銀行からGDPの3%の借金をして、それを財源に公共投資して GDP1%の成長を達成したら、私の同僚は皆、喜んでシャンパン開けます。私たちは1%豊かになったと言ってね。でも、それは違います。」

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2020/11/14

ルールが変わる時 https://str.toyokeizai.net/books/9784492371190/

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