磁極反転の日 の商品レビュー
地球の磁極が反転するなんて、そんな馬鹿な!と思ったけど、数十万年に一回くらいは今までも何回もあったらしい。人類が誕生してからもあったらしい。地球から磁極のバリアが消えたら、太陽フレアとか起きたら、太陽からの放射線をモロに受けて被曝するらしい。初期の人類は生き残ったんだから、絶滅は...
地球の磁極が反転するなんて、そんな馬鹿な!と思ったけど、数十万年に一回くらいは今までも何回もあったらしい。人類が誕生してからもあったらしい。地球から磁極のバリアが消えたら、太陽フレアとか起きたら、太陽からの放射線をモロに受けて被曝するらしい。初期の人類は生き残ったんだから、絶滅はしないようだが、電子機器なしには生活できない現代文明は様々な影響受けることは確実。ヤノマミ族とかは生き残れるかも。
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先が気になってどんどん読んでしまうくらいは引きがある。 が、作者があとがきでも触れているけれど、磁極反転はありふれたことというように、先に進むにつれてSFとはいえスケールが小さいまま進んでいく。 ページ数は少なくはないけど、最後はあわただしく畳み込まれていって、それも物足りない原...
先が気になってどんどん読んでしまうくらいは引きがある。 が、作者があとがきでも触れているけれど、磁極反転はありふれたことというように、先に進むにつれてSFとはいえスケールが小さいまま進んでいく。 ページ数は少なくはないけど、最後はあわただしく畳み込まれていって、それも物足りない原因か。 主人公は良いとして、脇役の役人の2人、重要な役割なんだけど、え…そんなものと感じた。乾さんなんか凄そうな雰囲気だけ出してその実なんにもしてないような…。 結構前に出ててような気がしてたけれど、東日本大震災後だけどコロナ前の話…同時代を生きた人による物語。書店や図書館には存命の作者の小説しか置いてないことを鑑みるに、この先いつまでこの本が棚に並んでいるのかなと思った。
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地球の磁極反転に端を発するSFパニック小説 SF小説というよりは、実際に起こり得るif小説という方が適切だと思う 磁極反転に関しては、小説の中だけの荒唐無稽なものではないし、その影響もちゃんと科学的見地に基づいている 地磁気の減少が観測され、78万年ぶりに磁極反転する予測が出...
地球の磁極反転に端を発するSFパニック小説 SF小説というよりは、実際に起こり得るif小説という方が適切だと思う 磁極反転に関しては、小説の中だけの荒唐無稽なものではないし、その影響もちゃんと科学的見地に基づいている 地磁気の減少が観測され、78万年ぶりに磁極反転する予測が出される 地磁気の磁極が反転する現象は地球の過去において何度も起こっているありふれたものだが、電子機器を前提にした現代においては甚大な被害をもたらす 東京で赤いオーロラが観測されたり、通信障害、電子機器の故障、人工衛星の落下など様々な影響が発生する 週刊誌お抱えのフリージャーナリストの浅田柊は地磁気の減少による影響を煽る記事の専門として取材をしている最中、影響を心配していた妊婦がいきなり失踪したりという事件を耳にする 妊婦の行方を探すと共に、謎の団体が山に集まっていたり、政府関係からの圧力などが感じられる事態になり…… 地球の磁極反転の影響、そして失踪した妊婦の行方の真相とは? 東日本大震災の後に書かれたものなので、当時の混乱や迷走っぷりをベースに人々の反応や行動が描かれていると思う 放射線に対する不安とそれに過剰に反応する人、科学的にあまり意味のないものを商売にする人等など また、作中で描かれる社会の混乱はコロナ禍も彷彿させる 陰謀論やデマ、政府や公的機関の出す情報の信憑性への疑問など、どんな状況でも現代の人々の反応は似たようなものになるだろうなぁとも思ってしまう 科学的な態度、冷静な対応というのはどんなものかも考えさせられるなぁ トンデモな説を信じるのもダメだけど、公的機関の発表をただ鵜呑みにすることが正解とも言えないような気もする 地球が地磁気を持つ仕組みや地軸と磁極の関係をなんとなくは知っていたけど、読んでより理解が深まる ただ、地磁気の反転が起こるメカニズムに関しては未だに未知の領域らしい そして、磁極反転が地球史という視点で見たら珍しくない現象であり、現在の磁極期が平均を超える期間続いているため、いつ磁極反転が起こってもおかしくない また、磁極反転の急激な進行も過去にはあるというのが、この小説を読んでいてゾクッとしたところ 科学ホラーという新たなジャンルの怖さかもしれない 宇宙線の影響で大気が電離し、氷結核が発生することで過冷却状態の水蒸気が凝結 その結果、雲の増加、日照量の減少、そして寒冷化というシナリオなども可能性としては理解できる 作中で描かれている役人の理屈も私の抱いているイメージと合致する 省庁同士の縄張り争いや予算への影響の懸念とかね でも、実際どうなんですかね? ここまで甚大な影響力のある事態に対しては、省庁を横断した対策本部や連絡組織みたいなのが作られたりしないんですかね? 個人的に響いたフレーズは2つ --------------------- 「科学者にとって科学はプロセスで、どの段階であろうと 修正もあれば棄却もあり得る。でも一般人にとって科学は結論」 --------------------- これなんだよなー ニュートン力学が量子力学によって修正されたように あくまで「現時点での確からしい事」なんだよな どれだけ基礎的な既存の既知の事柄でもパラダイムシフトは起こり得るわけで その情報の永続的な信憑性に関しては誰も保証できない --------------------- 「いい信念は合理的だから、手強い。ダメな信念は非合理的だから、やっぱり手強い」 --------------------- わかる 新型コロナウイルスにしても、陰謀論を信じる人達や科学者の中でも独自の信念で動いている人達は手強いだろうなぁと思う
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太陽の黒点フレアが強まり、電波を使う機器が時々使用できなくなる日が多くなった世界。新宿でふと見上げると、空にはオーロラがかかっていた。地磁気が弱まってきていたのである。地球の地磁気がゼロになっていく世界で、宇宙天気を専門とするサイエンスライター浅田柊の周りでは、妊婦達が姿を消して...
太陽の黒点フレアが強まり、電波を使う機器が時々使用できなくなる日が多くなった世界。新宿でふと見上げると、空にはオーロラがかかっていた。地磁気が弱まってきていたのである。地球の地磁気がゼロになっていく世界で、宇宙天気を専門とするサイエンスライター浅田柊の周りでは、妊婦達が姿を消していった…。 背表紙タイトル買い。これは絶対にSF読みはスルーできないタイトルである。そして、中身もなかなかに濃い。 地球物理学を専門としていたという作者の専門をいかんなく発揮した一冊である。地磁気が無くなっていくという、普段当たり前のものがなくなり、それに伴うパニックとパニックに乗じた混乱。ちょうど2011年の福島第一原発事故で起こった、世間の不安と、過剰な反応などをうまく取り入れ、思い込みの怖さを描いている。 あのときの日々の放射線量への異常な反応は、日本人(とくに東北関東の人)でないとわからなかったし、あれを経験しなければ、こういう作品も生まれなかった。いい思考シミュレーションの題材となったということだ。 そういう意味でも、御大小松左京の作品を思わせる作風で、こういうものが書ける作家はもっとがんばってほしい。梅原克文なんかもそうだよね。日本の作家には少ないんだよな。 本作の中でおもわず唸らされたのは、秘密の医療施設に乗り込んだ際に、医師たちは「関係者以外は出ていけ」と言わないのだ。「中にいる人が危ない」と言われると協力する。実際に謎の実験が行われていたとしても、末端の手を下している人たちは善良で、患者の命が優先であるという描き方が出来ている作品はなかなかないと思う。 もちろん小松左京に比べると足りていないところもあり、地磁気以外の部分、例えば遺伝学や発生学の部分であるとか、厚労省や文科省の内部の組織のこと、雑誌編集部や研究室のことなど、地磁気や太陽フレアなどの部分に比べると、どうしてもふわっと曖昧な表記が多いため、リアリティがないのだな。 でもまあ、こういう作品が書ける小説家にはがんばってほしいので★5。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
伊予原新を期待して読んだら、ちょっと残念だったが、これは過去作でしかも結構初期の小説なので、覚醒する前と考えれば妥当な出来かなぁと。 パニックSF…というと、妙な方向に期待してしまう(マイケルクライトンとか)し、三体とか読んでしまっていると、地軸反転くらいなんぼのもんやねんと思ってしまうし、不利な状況もあって、乗り切れないとこもあるんかなぁ。 とはいえ、今の伊代原小説の片りんは伺えるのと「科学者にとって科学はプロセスだが、一般人にとって科学は結果だ」という言葉など、得心の言葉や状況もちょいちょい出てきてそれは良かった。
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かなり面白かった。確かに人を選ぶかもしれないけど、研究者の発想をドラマ仕立てに書くと、まさにそう!ミステリと風刺とアカデミア、そのバラバラの話が一つにまとめられていて同時に楽しめた。
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地球物理学の本としてとても面白かった。多くの新知識を得られたのがうれしい、という小説読後の感想とはちょっと違う感じを持った。 今まで全く興味のなかった分野で、なぜ本書を読もうと思ったのかは不明。しかし読んだらおもろかった。小説としてのストーリーの印象がかなり薄いくらいに、地磁...
地球物理学の本としてとても面白かった。多くの新知識を得られたのがうれしい、という小説読後の感想とはちょっと違う感じを持った。 今まで全く興味のなかった分野で、なぜ本書を読もうと思ったのかは不明。しかし読んだらおもろかった。小説としてのストーリーの印象がかなり薄いくらいに、地磁気やらフレアだのと言った専門用語にひかれた。
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地球の磁極反転による人類の大混乱の様子にしては、迫力が足りない、なぞの宗教団体、失踪した妊婦たちの件は、この緊迫した状態を表現するには役不足である。そういうこと(なぞの宗教団体、失踪した妊婦たちの件)はあるかもしれないが、地球の終末の小説だとしたら、もっと過激である方が好みだっ...
地球の磁極反転による人類の大混乱の様子にしては、迫力が足りない、なぞの宗教団体、失踪した妊婦たちの件は、この緊迫した状態を表現するには役不足である。そういうこと(なぞの宗教団体、失踪した妊婦たちの件)はあるかもしれないが、地球の終末の小説だとしたら、もっと過激である方が好みだった。
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題材はとてもおもしろい。大げさな世界設定の中で静かな日常が流れるという様式はよろしいけれど、裏でもっと騒動が起きているというのが見たかった。 ミステリ部分はやや蛇足。見せ方と引っ張り方が腑に落ちない。
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このところ地球科学に興味がわいており、たまたま新潮文庫の新刊にこのタイトルを見つけて手にした。著者の経歴にも興味をもち少し悩んだ末、購入した。5日間ほどで読了。次々と近未来に起こりそうな話題が提供され、読んでいる間は小説の中の話と実際に起こったことが混乱していた。先日の新聞には1...
このところ地球科学に興味がわいており、たまたま新潮文庫の新刊にこのタイトルを見つけて手にした。著者の経歴にも興味をもち少し悩んだ末、購入した。5日間ほどで読了。次々と近未来に起こりそうな話題が提供され、読んでいる間は小説の中の話と実際に起こったことが混乱していた。先日の新聞には1200年ころに日本で見えた赤いオーロラの話が出ていた。4月に入ってもなかなか晴れず、気温も上がらずで、これは宇宙線のなせる業かと思うほどであった。さて、話のもって行き方はマイクル・クライトンをほうふつさせるのだが、何か物足りなさを感じる。途中からスピード感がなくなって来る。何なのか、何が違うのか、と考えてみた。結論は、人が死なないということだった。ここではそれほど重要でない人物が2人死んだだけだった。一方のクライトンの小説は、重要な登場人物が次々と死んでいく。何人殺すのかというくらい。だから面白いというのではないが、最後までハラハラドキドキ、スピード感が衰えない。が、本書も、素材がいい分、うまく映画に仕上げると面白いものができるかもしれない。ラストフェイズで電車の中でスマホでなく文庫本をひらいている人が多いという件がある。きっと著者自身の想いと私の想いが重なるところでもあるのだろうと感じた。
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