法のデザイン の商品レビュー
禁止権ではなく、報酬請求権に。 日本にフェアユース規定はないが、ゆらぎ、あいまい、だからいいんじゃないか、とも言いたくなる。
Posted by
誤字脱字が散見される。難しいテーマを扱っているのに、それだけで雑に見えるし、論の説得力が減る。全体を通じての感想は、レッシグかぶれの弁護士が書いたポエム。幅広い領域を項目立てて論じているが、実務経験があるっぽいところと、そうでないっぽいところで、書きっぷりに差がある。実務経験があ...
誤字脱字が散見される。難しいテーマを扱っているのに、それだけで雑に見えるし、論の説得力が減る。全体を通じての感想は、レッシグかぶれの弁護士が書いたポエム。幅広い領域を項目立てて論じているが、実務経験があるっぽいところと、そうでないっぽいところで、書きっぷりに差がある。実務経験があるっぽいところは、それなりに面白く読める。ただ、著者の考えを書いた部分の多くが、背景から緻密に組み立てた推論ではなく、ただの個人見解に止まっており、個人的に賛成できないものが多かった。時代に合わせて法の解釈を調整しようという言説が多いが、それは法を法曹関係者の世界に閉じるものであり、一般人が法の条文を読んでも理解できないダメな世界だ。にもかかわらず、時代に合わせて法を修正する速度を意図し、みんなで条文を書く、法の民主化ともいうべきGitLowを肯定的に取り上げており、著者の軸が見えない。自然言語処理や定理証明の支援を立法に活用する話はゼロ。今的なテーマで書いているので、どうしてもITの関わるものが多く含まれるが、理解が怪しいのではないかと思われる記述も多い。契約のインフラについてのデザイン的な話は、著者のやった仕事を引いて論じているが、デザインの過程の話もなかったし、法まで届いていないのでは。
Posted by
法を社会のOSと捉え、現在的問題をアーキテクチャー内の問題として記述しようとしたもの。 OSの更新が現代的問題の解決に不可欠であることを示唆。
Posted by
各事業領域において包括的に法が果たす役割を書いており テクノロジーが進化する中で、法律がどう寄与し、かつイノベーションの促進に繋がるかを多面的に書いている 動画や写真、ゲームなどの既存領域に関しても深掘りしてあり 二次創作物に対する法律の取り扱いなどに関しても網羅的に知ることがで...
各事業領域において包括的に法が果たす役割を書いており テクノロジーが進化する中で、法律がどう寄与し、かつイノベーションの促進に繋がるかを多面的に書いている 動画や写真、ゲームなどの既存領域に関しても深掘りしてあり 二次創作物に対する法律の取り扱いなどに関しても網羅的に知ることができる 自分の知りたい領域だけピックアップして読むのが良い
Posted by
豊かで健全な文化の発展のために、法律がどう関わるか、非常に多面的に考察している。 創造性を生むには、既存のものがオープンで利用しやすい状況が良いという、ローレンツ・レッシグさんとも共通した見解。必然的に著作権の話題が充実しているが、それに限らず、宿泊施設や政治参加といった問題も...
豊かで健全な文化の発展のために、法律がどう関わるか、非常に多面的に考察している。 創造性を生むには、既存のものがオープンで利用しやすい状況が良いという、ローレンツ・レッシグさんとも共通した見解。必然的に著作権の話題が充実しているが、それに限らず、宿泊施設や政治参加といった問題も扱っている。 冷静で真面目な口調だが、わかり易く、言い回しも豊かで読み心地が良い。 一章は総合的な話をして、2章はアート、ゲーム、ファッションなど分野別に言及し、それぞれ多視点的に述べている。 個人的には、ついつい2015年の五輪エンブレム問題に触れたところが痛快だった。 「五輪エンブレム問題は、法律が設けている最低ラインがサイバーカスケード/ネットリンチという、他者への不寛容や暴力が一種の祝祭的な盛り上がりのなかで増幅する快楽主義的なネットのアーキテクチャにより大きく引き上げられうるという事実を露呈した。」(p28) 自分がクリエイターというのもあり、鬱憤はたまってたから、こういうまとめかたがされていると、やっぱり気持ちがいい。 装丁=佐々木暁さん 角が直角の並製本に、ビニル質(?)のジャケットがついてきっちりガードしている、珍しい組み合わせ。黒に金の箔押しな表紙がかっこいい。帯はジャケットの内。ジャケットが透明なので見えるし、傷つかない。
Posted by
・著作権 権利保護でなく 利用促進 ・エンブレム問題 法よりもネットリンチ ・余白やゆらぎをクリエイティブに解釈 ・リーガルデザイン 規制ではなく潤滑油 ・Musicity ・ブライアンイーノ 生成音楽リフレクション 目から鱗の考え方
Posted by
デザイン=計画、企画、目的 辞書で調べると「意匠」だけではなく、広義な意味を持っています。法律も時代の変化によって、時代に合わせたデザインが求められている。 ITやアート面において、積極的な取り組みをされている弁護士の水野さんの解釈は興味深い。法律において「こうでなければなら...
デザイン=計画、企画、目的 辞書で調べると「意匠」だけではなく、広義な意味を持っています。法律も時代の変化によって、時代に合わせたデザインが求められている。 ITやアート面において、積極的な取り組みをされている弁護士の水野さんの解釈は興味深い。法律において「こうでなければならない!」という前提だけにとらわれず、法をデザインしよう!という考え方に共感。 後半は、ITやアートに限らず、変化の激しい領域においても言及。とっつきにくい「法律」というものを身近に感じる一冊。
Posted by
情報技術の進化で、既存の枠組みや概念では捉えきれなくなった事象に対し、創作意欲を阻害する事なく社会をより良い方向に導くためには、どういった法制度を設計するべきかを考える本。自分が理解する企業法務とは、会社の取り巻く法制度や商慣習などを踏まえてリスク評価とビジネスを進めるための対処...
情報技術の進化で、既存の枠組みや概念では捉えきれなくなった事象に対し、創作意欲を阻害する事なく社会をより良い方向に導くためには、どういった法制度を設計するべきかを考える本。自分が理解する企業法務とは、会社の取り巻く法制度や商慣習などを踏まえてリスク評価とビジネスを進めるための対処策を考えること(時に予防法務としてビジネスを止める機能も持つ)。その前提には常に法的リスクの回避がある。ところが、Google Street View, Uber, Airbnbなどの米国企業は、法的課題に晒されるがらも、法解釈や法自体が時代とともに変化しうる事を前提にした上で、自分たちのビジョンを貫くためのロジックを用意し、時には法廷で争い、ロビー活動で法制度そのものを変えていこうとする。この視点はこれを読む前の自分にはなかった。 法の整備は予測可能性を広げ、新規ビジネス進出の足がかりとなる事は何となく理解しているつもりだった。しかし、自分が企業法務として新規分野への進出を支える一員となった時に米国企業が持つような考えで気概と覚悟と誇りをもって、「グレーゾーン」を突き進めるかどうかは自信がない。こういった新規分野のグローバル市場で生き抜くためには、既存の枠組みとの乖離をチャンスと捉えるマインドのみならず、具体的なチャンスとするための力、周囲を納得させるためのコミュニケーションスキル、法務スキル基盤(既存の枠組みを熟知しているという意味)、業界の変化を漏れなく素早く察知する幅広い教養と知識が必要になるのだと強く感じた。 これからも企業法務という分野で活躍したいと思う身としては、考えさせられる、でもとても心揺さぶられる本だった。
Posted by
弁護士として、インターネットに関する法的問題を専門とする著者の問題意識は極めて明確であり、重要なものである。それは端的に「イノベーションや創造性の阻害要因として法を捉えるのではなく、むしろドライブさせるものとして新たな法をデザインすることができないのか?」というものだ。 インタ...
弁護士として、インターネットに関する法的問題を専門とする著者の問題意識は極めて明確であり、重要なものである。それは端的に「イノベーションや創造性の阻害要因として法を捉えるのではなく、むしろドライブさせるものとして新たな法をデザインすることができないのか?」というものだ。 インターネットと法律に関する現代の基本理論は、言うまでもなくローレンス・レッシグが「CODE」で明らかにした4つのルールの有り方であろう。そこでは、我々の社会のルールを形成する要因として、「法」、「市場」、「規範」、「アーキテクチャ」があるとされ、特にレッシグはCode/Codingに基づく「アーキテクチャ」が知らず知らずにうちに現代社会のルールを形成していくこと、そしてその重要性が増すことを予言した。そして、実際、「CODE」が発表されて20年弱が経過した現在は、このレッシグの予言通りであると言って良いのだが、著者の問題意識は、この中での「法」の存在である。なぜなら、「市場」と「アーキテクチャ」は、経済学的要請、技術の変化といったトレンドによって日々刻々とかつスピーディに変化し続ける。一方で、「規範」とは我々の文化が過去から引き継いだ文化的習慣などの累積であり、即座に変化するような類のものではない。 そうした背景を考えたときに、一見「慣習」と同じく固定的に見える「法」に、環境変化に応じた柔軟性を持たせるようにリ・デザインすることはどのように可能なのか、その可能性を本書では、音楽、二次創作、アート、ゲーム、ファッション、ハードウェア、不動産、金融、家族、政治などの様々な産業/社会領域ごとに明確化させていく。例えば、アートの領域のおいては、人工知能が生み出した創作物に対する著作権の問題など、昨今メディアで話題になるような各論点も含め、非常に網羅的にまとめられている。 問題意識の鋭さ、広範な論点の可視化と初期的な方向性の提示など、多くの人にとって有用な価値があるのではないか。
Posted by
- 1