世界と僕のあいだに の商品レビュー
えー、なんでこんな本リクエストしたのかな?しかも山形県立図書館からのお取り寄せ…。始終暗澹たる内容で読んでいる間も救われる事がなく、読後げんなり。でも、これがアメリカにおける黒人の現状。光と陰。今も昔も。
Posted by
読みやすくはなかった。息子への手紙の形、と書いてあったのでとっかかりやすいかなと思ったけど、黒人の迫害の歴史を知らずに読んでいるから余計に難しい。(背景の説明とか、この言葉はこう言う意味で使ってるよとか一切ない) それでも、差別の歴史がもたらした感情が止めどなく書いてある文章を読...
読みやすくはなかった。息子への手紙の形、と書いてあったのでとっかかりやすいかなと思ったけど、黒人の迫害の歴史を知らずに読んでいるから余計に難しい。(背景の説明とか、この言葉はこう言う意味で使ってるよとか一切ない) それでも、差別の歴史がもたらした感情が止めどなく書いてある文章を読んでいたら、自然と涙が出ました。そして静かな怒りとこれからも文章をもって闘い続けるんだという強い意志が感じられました。 もう少し、背景の歴史を勉強しよう。
Posted by
アフリカ系アメリカ人のタナハシ・コーツが息子に宛てた手紙という形式で語られる本書はアメリカで黒人として産まれ生きることの厳しさを突きつける。 警察の手によって殺害されたジョージ・フロイド氏の事件を発端とした2020年のBLM運動は記憶に新しい。だがアメリカでは警官による不条理な殺...
アフリカ系アメリカ人のタナハシ・コーツが息子に宛てた手紙という形式で語られる本書はアメリカで黒人として産まれ生きることの厳しさを突きつける。 警察の手によって殺害されたジョージ・フロイド氏の事件を発端とした2020年のBLM運動は記憶に新しい。だがアメリカでは警官による不条理な殺害はもう何度も何度も行われてきたことだ。 本書で記される2000年に25歳の若さでジョージ・フロイド同様に警官に殺害されたプリンス・ジョーンズもそうだ。 今でこそ人種差別は問題として大きく取り上げられることになったが、黒人が自由でいた期間はアメリカの建国の歴史よりも長い。奴隷として差別されてきた歴史のほうが長いのだ。 タナハシ・コーツはそんな暗い歴史を抱えるアメリカに産まれた息子に、アメリカでは、黒人の肉体の破壊は伝統だ。それはヘリテージ(継承)なのだと語る。 余りにも重い言葉だ。 だが暗く辛い現実を突きつけながらも読後感は決して重いものでもなかった。 わかりにくい部分も多くあるので、今後また読み返したい。
Posted by
アメリカにおける「黒人」の立ち位置と差別構造を理解していたつもりだったが、そもそも「黒人」「白人」とラベリングして分けることこそが差別問題に繋がっていることを知る。 『世界と僕のあいだに』、そして読み終わったあと、私は『PASSING-白い黒人-』のレベッカ・ホールの言葉を思い...
アメリカにおける「黒人」の立ち位置と差別構造を理解していたつもりだったが、そもそも「黒人」「白人」とラベリングして分けることこそが差別問題に繋がっていることを知る。 『世界と僕のあいだに』、そして読み終わったあと、私は『PASSING-白い黒人-』のレベッカ・ホールの言葉を思い出していた。 https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/11/post-97444_1.php 読んでいて序盤から泣き崩れていたのはこの本の中に出てくる殺された「黒人」の名前がほぼ『アメリカン・ユートピア』で出てきたから。 あんなに映画を観たのに全員の歴史を調べることはしなかった。 猛省しています。 タナハシ・コーツが息子に送る言葉の数々はそのまま私にも届いてその度に目頭が熱くなる。BPWF公開されるから読もうかな……と思い切って飛び込んで良かった。 私にとっで全部のページが今必要で大事だった。 『ブラック・パンサー ワカンダフォーエバー』を観た人もそうでない人も是非読んでね。
Posted by
「いつか読むリスト」に入れていて、今回著者の初めての小説が翻訳されて出版されることになったので予習としてついに読んでみた。Black lives matter以降、アフリカ系アメリカンに対するUSでの差別について、色んなメディアで見たり聞いたり読んだりしてきたけど、その中でもベス...
「いつか読むリスト」に入れていて、今回著者の初めての小説が翻訳されて出版されることになったので予習としてついに読んでみた。Black lives matter以降、アフリカ系アメリカンに対するUSでの差別について、色んなメディアで見たり聞いたり読んだりしてきたけど、その中でもベスト級にオモシロいかつ勉強になった。 最大の特徴は語り口。彼のUSでの差別に関する考え方について、自分の息子に語りかけるスタイルなのが新鮮だった。それによってファクトとエモーションが入り混じることになり、事態の切実さがダイレクトに読者に伝わってくる。また著者はヒップホップに傾倒していることもありリリカルな表現も多く皮肉たっぷりのパンチラインの雨あられで読み手の心をグサグサ刺してくる。 とにかくアフリカ系アメリカンとして生きる難しさを延々と自分の過去や歴史を通じて延々と説いている。常に命の危機が迫っている環境で少しずつ精神が摩耗している様が辛い。白人/黒人という議論から始まることが多いけど、その前提条件を疑うところからスタートしているのも勉強になった。 人種は人種主義の子どもであって、その父親ではないんだ。 「ドリーム」と作中では表現されている言葉がなんともニヒリスティック。アメリカンドリームというのは「白人」にとっては憧れの意味かもしれないが、「黒人」にとっては幻想であり悪夢である。夢見心地でいるんじゃねーぞという怒りの気持ちをひしひしと感じた。著者はキリスト教を信仰していないことも大きな特徴で良い意味でも悪い意味でも神にすがることなく、ひたすら理論やファクトに基づいて主張しているところが強いなと感じた。そして 「闘争でしか君を救えない」と息子に告げている。そのラディカルさは全て読み終わると溜飲を下げた。(暴力に非暴力で挑むことの困難さを含めて) また旅行、引っ越しなど場所を移動することの意味がこんなにみずみずしく伝わってくる本を読んだことがない!ってくらい良かった。具体的には著者が初めてパリへ行くシーンが最高。パリにも移民/難民のレイヤーはあるだろうけど、少なくともUSで感じる「黒人」としての閉塞感がなく、自分のままでいられる尊さ、世界は広いと言えばバカみたいだけど、それを体感する大事さが子どもに諭すスタイルだからこそ伝わってくる。初めて何かをするときの感情を書き記すことの重要さが身に染みた。 USでの人種差別がどういう問題なのか、彼の人生を通じて伝わってくるところに大きなエネルギーを感じたし、それゆえに特別な1冊になっていると思う。彼自身の言葉ではないけれどこの直球の言葉が刺さったので引用。Be yourself. あなたは生きている。あなたは大事な人間よ。あなたには価値がある。パーカーを着る権利も、好きな音楽を好きな音量でかける権利もちゃんと持っている。あなたはあなたでいる権利をちゃんと持っている。そして、あなたがあなたでいることは誰にも邪魔できない。あなたはあなたでいなくちゃだめよ。そうよ、あなたは、あなた自身でいることを怖がってはだめよ
Posted by
映画『イコライザー2』のなかでデンゼル・ワシントン演じる必殺仕事人がある美大生に贈る1冊。見た目から薄い本だったので軽い気持ちで手にとるもその中身は天体級の重さでした。 黒人として生きることの心得。作者タナハシ・コーツが15歳をむかえる息子のために書いたというテイなんだけれど、...
映画『イコライザー2』のなかでデンゼル・ワシントン演じる必殺仕事人がある美大生に贈る1冊。見た目から薄い本だったので軽い気持ちで手にとるもその中身は天体級の重さでした。 黒人として生きることの心得。作者タナハシ・コーツが15歳をむかえる息子のために書いたというテイなんだけれど、難しい! 翻訳者さんも「分かりづらい」と言ってるくらい。タナハシさん詩人なんだそうで、それゆえにか時空を超えた文章の連なりで読む者を幻惑しまくるのです。 が、が、訴えていることはシンプルかつヘビー。黒人とはなんぞや? それは白人の『ドリーム』を支えるただの資源に過ぎないということ。そしてそういうシステムになっているということ=アメリカの資本主義。 まずもってリンカーンのゲティスバーグでの有名な人民のための演説のなかの人民のなかに黒人は入っていないとタナハシさん。黒人の子供たちは街で悪戯をすると親によって皮のベルトで殴られるのだけれど、その理由たるや親がそうしないと警官が殴りつけるから。 理不尽に殴られた子供たちは大きくなれば親に逆らうのは当然のこと。ストリートに出て悪さをする。警官に捕まる。刑務所に入る。出てきても仕事はない。ゆえに低賃金の汚れ仕事をさせられる。決して黒人を差別しているわけじゃあない、罪人を助けてあげているのだという方便。実は差別よりも根深い問題があることに気づかせないために時々殺害して差別意識を煽る。奴隷はいまだに解放されていない! 大坂なおみ選手が行動しているのはそういう事実を目の当たりにしているからだろう。彼女を批判している日本人が時々いるけれどなんで? これは実は差別云々の問題じゃなくて、搾取する側とされる側の問題、むしろアメリカは顕在化しているけれど日本人こそ向き合わなきゃいけない問題。もちろん日本人の資本家は気づいている。だからなおみちゃんを批判する構図。上手いことやるんだわ連中は。 そういう本! ホントかね?
Posted by
トランプ大統領の支持層とされる「ラストベルト」(錆ついた工業地帯)の白人労働者が注目を集め、アメリカの格差問題がシンプルに経済格差、つまりお金の問題としてクロースアップされたことにより、一瞬、ほんの一瞬忘れかけた「人種」の問題をあらためて思い出させてくれたものとして、映画「ムー...
トランプ大統領の支持層とされる「ラストベルト」(錆ついた工業地帯)の白人労働者が注目を集め、アメリカの格差問題がシンプルに経済格差、つまりお金の問題としてクロースアップされたことにより、一瞬、ほんの一瞬忘れかけた「人種」の問題をあらためて思い出させてくれたものとして、映画「ムーンライト」(アカデミー作品賞受賞)とともに、本書を挙げたい。 著者は、現在アメリカで黒人問題のオピニオン・リーダーと目されるジャーナリスト。本書で全米図書賞、ピューリッツァー賞、全米批評家協会賞にノミネートされ、実際に全米図書賞(ノンフィクション部門)を受賞した。 翻訳は順序が逆になったが、本国アメリカでは2008年にデビュー作『美しき闘争』が発売され、2015年に本書が発売されている。前者は著者と父親の関係を描き、後者は著者から息子への手紙形式で書かれている。著者を挟んで3代の黒人男性が背負った運命について、ときにコミカルに、ときにエモーショナルに語るこの連作は、オバマ政権下においてもなお厳しい黒人社会の現実を読者にあらためて印象付ける。 無論、アメリカ社会に特に詳しくない日本人であっても、映画や小説や報道を通じて、アメリカの人種差別、黒人が現代でもなお不当に劣位な環境に置かれている現実について、知らないわけではない。ただ、黒人の「肉体」に刻まれた運命の深さについて、私たちはほんとうに想像し尽くせているだろうか。本書は、そのような問いを鋭く突き付ける。繰り返し登場する「肉体」という単語に、何度も揺さぶられる。 「オバマの時代」が終わり、これからのアメリカについて思いを馳せるとき、聞き逃したくない声。知らぬままでなくてよかったと思わせる力に満ちたメッセージだ。
Posted by
黒人という人種も白人という人種も存在しない。自らを、白人、と信じるために創り出した装置にすぎない。 在日コリアンや被差別部落出身者や性的マイノリティーや貧困は、街を歩いてるだけでは判別出来ないが、肌が黒いというのは歩いてるだけで判別され、時には射殺されるということ。その怖さは計り...
黒人という人種も白人という人種も存在しない。自らを、白人、と信じるために創り出した装置にすぎない。 在日コリアンや被差別部落出身者や性的マイノリティーや貧困は、街を歩いてるだけでは判別出来ないが、肌が黒いというのは歩いてるだけで判別され、時には射殺されるということ。その怖さは計り知れない。 ムーンライトのレゲエ野郎が、なぜあないな子になってしまうんか、単純にアホでヤな奴と済まされない事情もあるんだなと痛感。
Posted by
この本の感想を書くのはとても難しい 要素が多すぎてまとめられない でも、いつかの自分のために書こうと思う それだけ大事なものがたくさん詰まっていた タナハシ・コーツの生まれた環境、彼らの人種の歴史を息子へあてた手紙として書かれた本 黒人の肉体は自らの所有物ではなく、自由と平等...
この本の感想を書くのはとても難しい 要素が多すぎてまとめられない でも、いつかの自分のために書こうと思う それだけ大事なものがたくさん詰まっていた タナハシ・コーツの生まれた環境、彼らの人種の歴史を息子へあてた手紙として書かれた本 黒人の肉体は自らの所有物ではなく、自由と平等を掲げてきたアメリカを支えてきた資源だった タナハシの目からみたアメリカの平等、自由は自らを白人だと思っている人間のドリームだと タナハシのいう白人とは肌の色だけではなく、略奪者で支配者のことを指す 資源とされた黒人の肉体の上に積み重ねた現代の栄華 欺瞞だらけのドリーマー達へ痛烈に語られる真実 タナハシたちは自分の肉体に尊厳をもち神聖なものとして平等に扱うための権利のために今も苦しみ戦っている 彼らの控えめな言動 行儀の良さ それは不当な暴力から身を守る術 倫理や道徳などは教えてではなく、それは綺麗事でしかない残酷な現実 タナハシの綴る言葉は明白で詩的で美しくそして静謐にとても悲しい 尊厳を思考を肉体を搾取され国家政策規模という大きさで行われるそれに、抗いようもなく生きぬく術として捨て去った戦うという行動 全てが悲しかった どうしようもなく 悔しいという感情さえ奪われて タナハシは今も続く不公平な強奪に筆で戦っている 黒人の現在をもって過去の人々の命の救済になってるなんて主張してはいけない これらの言葉はドリーマー達の詭弁欺瞞の全てを覆す力がある タナハシの筆の強さに偉大さに言葉にならない思いを抱いた 80年代に復活した囚人労働は不公平で差別的な裁判制度を助長している 私的な企業が健康保険、失業保険を支払う必要のない囚人労働を安価な労働力として使う 監獄が民営化された現代のアメリカでは囚人の減少が企業収入の減少にもつながる だから若い黒人男性が集中的に警察に調べられ一度捕まると差別的裁判で白人よりも重い罪を課せられる すなわち黒人をターゲットにした新たな収容所群島に支えられている 現代でも形を変えて肉体を搾取するシステムが国家規模で行われている これは私たち人類の問題 私たちも真綿で締められるように資本主義の資本として労働を不当に搾取されていることに気付かなくてはいけない タナハシの言葉は美しい詩のように胸にしんしんと降り積もる 人間としての何が大事かを教えてくれた一冊だった
Posted by
黄色い肌同士でも、差別は日常。むしろ、敢えて違う部分を見つけて比べたがっているように思える。テレビ番組にそういうの多い。
Posted by
- 1