ルポ トランプ王国 の商品レビュー
本書は、トランプ支持者への取材をベースにアメリカの現状を私たちに示してくれるような内容でした。 ニュースなどでよく取り上げられるトランプの過激な発言や行動だけに注目するのではなく、そんなトランプが支持された背景をもっと考えなければならないなと強く感じました。 本書の中では、「夢を...
本書は、トランプ支持者への取材をベースにアメリカの現状を私たちに示してくれるような内容でした。 ニュースなどでよく取り上げられるトランプの過激な発言や行動だけに注目するのではなく、そんなトランプが支持された背景をもっと考えなければならないなと強く感じました。 本書の中では、「夢を失った地域は活力も失う。」(p.211)という一文が最も印象的でした。 また、日本の将来に対しても危機感を抱いている身としては、国を少しでも良くしたいという熱い思いを持った国民が多くいるアメリカに対して、少しうらやましいなという気持ちも抱きました。
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トランプが大統領に当選した後ではなく、当選するまでのアメリカの状況を描写している。 支持したのはどのような層か?に焦点が当てられている。 80年代まで続いていたかつての「強いアメリカ」像が失われ、閉塞感が漂う中、移民問題や既得権益への不満が溜まり、トランプは支持を集めていった。 ...
トランプが大統領に当選した後ではなく、当選するまでのアメリカの状況を描写している。 支持したのはどのような層か?に焦点が当てられている。 80年代まで続いていたかつての「強いアメリカ」像が失われ、閉塞感が漂う中、移民問題や既得権益への不満が溜まり、トランプは支持を集めていった。 書かれたのは2017年なので、(2019年の現在では)変化が早い政治の世界ではやや古い情報かもしれないが、次の大統領選がどうなるかという観点でも、当時の大統領選の推移の分析は面白い。
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第6章までは、とても面白かった。とても丁寧に取材していて、トランプがなぜ支持されているのか、とてもよくわかった。そして、第6章では、サンダースの支持者とトランプの支持者が実は同じようなことを言っており、またサンダースとトランプも似ているという興味深い指摘があり、第7章からの分析に...
第6章までは、とても面白かった。とても丁寧に取材していて、トランプがなぜ支持されているのか、とてもよくわかった。そして、第6章では、サンダースの支持者とトランプの支持者が実は同じようなことを言っており、またサンダースとトランプも似ているという興味深い指摘があり、第7章からの分析にとても期待したのだが・・・。 トランプの支持者、またサンダースの支持者が共に抱いているエスタブリッシュメントへの不信感、なぜエスタブリッシュメントはミドルクラスの要望に応えられていないのか、どうすれば彼らの不信感を払拭して、トランプのような人物が権力を握らないようになるのかという点への切り込みが十分でなく、トランプが当選したら大変なことになる、という指摘が主で終わってしまったのがとても残念だった。まあ、トランプが本当に大統領になる前の執筆がほとんどだからと割り引いても、ちょっとがっかり。どこの国でも、日本でも起こり得る現象であるのだから、もっと深い分析があると読みごたえがさらに増したのにと思った。
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迫真のルポだ。登場する一人一人は洗練されていないが、ひたむき。いわゆる頭でっかちがいない。庶民の声だ。エスタブリッシュメントを嫌い、ビジネスの手腕を評価する人々。今のアメリカに何が起きていて、トランプがなぜ勝てたか納得できた。グローバル化はアメリカをも疲弊させているのだ。
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トランプがまだ有力候補ではなかった2015年後半から、支持者への取材を積み重ねた成果。ラストベルトを中心とする普通のおじさんたちが、なんでトランプを支持するに至ったのかが、詰問することなく、丁寧に描かれている。1932年に普通の人たちに希望を与えたのがローズヴェルトだったのに対し...
トランプがまだ有力候補ではなかった2015年後半から、支持者への取材を積み重ねた成果。ラストベルトを中心とする普通のおじさんたちが、なんでトランプを支持するに至ったのかが、詰問することなく、丁寧に描かれている。1932年に普通の人たちに希望を与えたのがローズヴェルトだったのに対して、その84年後はトランプであることを、私たちはどう考えればよいのだろうか。 トランプ当選時の米国の雰囲気を伝えるルポとして、長く読みつがれるだろう。
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大統領選の1年前からトランプの動向を取材していた、朝日新聞記者のルポ本。著者自身始めた頃に本になることを予想できなかったのではないかと思うほど、トランプは一部の人の人気者程度だった。しかし、取材を進める中で、ミドルクラスだったアメリカ人、ブルーカラーで炭鉱や製造業に従事していたア...
大統領選の1年前からトランプの動向を取材していた、朝日新聞記者のルポ本。著者自身始めた頃に本になることを予想できなかったのではないかと思うほど、トランプは一部の人の人気者程度だった。しかし、取材を進める中で、ミドルクラスだったアメリカ人、ブルーカラーで炭鉱や製造業に従事していたアメリカ人にはあまりにも深刻な現状があり、それを変革するにはトランプは格好のシンボルになったに違いない。ラストベルト(五大湖ちかくの製造業地帯)、ニューヨークなどの東側のアパラチア山脈を超えた地帯はトランプ王国と化していた。 日本からは全くわからないトランプフィーバーの裏が垣間見える内容だった。
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トランプがなぜ大統領になったのか。 大統領になる1年以上前からの筆者の取材でトランプ支持者を中心とした人々の考え、意見、思いがこの本に詰められている。 6297万票のうちほんの一部の人びとを扱っただけとも言えるけれど、アメリカの地方の人びとの生の声は、これこれだけも多くの人々がト...
トランプがなぜ大統領になったのか。 大統領になる1年以上前からの筆者の取材でトランプ支持者を中心とした人々の考え、意見、思いがこの本に詰められている。 6297万票のうちほんの一部の人びとを扱っただけとも言えるけれど、アメリカの地方の人びとの生の声は、これこれだけも多くの人々がトランプに票を入れたのか、そしてアメリカという遠くて大きな国が今置かれている現状について理解するために欠かせない貴重なものであると思う。 個人的にこの本を読んで納得したことは、トランプの資金力がどう受け止められているか。つまり、特定団体からの政治資金を必要とせず、自力で物事を成し遂げることができる、という、非常に現実的な点が、トランプの特性を活かし、当選に導いた一つのカギだったということ。 これで、明らかに既得権益層にいると考えられるトランプがなぜ反エスタブリッシュ候補として支持され選ばれたかの説明が少しついた。
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単なるラストベルト中心のインタビュー集、まとめはさすがに新聞記者だけあり立派だが、いかんせん中身が薄い。
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大統領に就任した途端に支持した米国民は失望するに違いない、そう確信していた。ところが、就任1年を迎える昨年の今ごろ、経済政策ではかなり評価され、外交でも速断を明確に下し、敵対国の首脳との会談をもこなして、政権担当能力は及第点を得ていた。先の中間選挙では、下院で敗れたが上院は守った...
大統領に就任した途端に支持した米国民は失望するに違いない、そう確信していた。ところが、就任1年を迎える昨年の今ごろ、経済政策ではかなり評価され、外交でも速断を明確に下し、敵対国の首脳との会談をもこなして、政権担当能力は及第点を得ていた。先の中間選挙では、下院で敗れたが上院は守った。現在はメキシコ国境の壁建設をめぐり、政府機関の閉鎖を盾にゴリ押しの様相だ。道理の有無はともかく、実現性がいかにも乏しかった選挙公約を果たそうとする姿勢はあるんだわ。この本で取材を受ける米国中間層の皆さん、ご不満は分かるけれど、かつて圧倒的先進国だったころの米国には回帰できないし、すべきでもない。もはや重厚長大での経済発展はありえないし、往時の繁栄は貧国との相対関係によるんでしょうに。
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【由来】 ・図書館の岩波アラート 【期待したもの】 ・ 【要約】 ・ 【ノート】 ・とても面白く読んだ。アメリカ大統領選でトランプに投票した人々へのインタビュー。 ・田中宇の評を読むとトランプ像も随分とメディアで喧伝されているものとは違った様相を呈してくるのだが、本書はま...
【由来】 ・図書館の岩波アラート 【期待したもの】 ・ 【要約】 ・ 【ノート】 ・とても面白く読んだ。アメリカ大統領選でトランプに投票した人々へのインタビュー。 ・田中宇の評を読むとトランプ像も随分とメディアで喧伝されているものとは違った様相を呈してくるのだが、本書はまた、それとは違った、草の根のトランプ支持層の姿のルポだ。 ・彼らがどれだけSNSなどのネットの影響を受けたのかがわかるとまた面白い。決して全てが操作されたとは思わないが、こんな記事もある(※要出典)のでね。 ・それにしても、例によってチョムスキーがトランプ当選を口を極めて悪く言っちょるが(※要出典)、メディアと権力による大衆操作を批判してたのだから、トランプとは波長が合う部分もあるのではないかと思うんだけどなあ。 【目次】
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