小林カツ代伝 の商品レビュー
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テレビ番組「料理の鉄人」で一番かっこよかったのは、小林カツ代だった。対戦相手を「皆さん、鉄人でしょ。どなたでも結構ですよ」と啖呵を切り、司会者鹿賀の指名した陳健一を7品ものジャガイモ料理で堂々の撃破。 この本はその「料理の鉄人」回想から入って、料理家…いやマルチプレイヤー小林カツ代の生涯を描く。波乱万丈の人生、なんという密度の濃い人生を送ってはったのかと、知ってたことも知らなかったことも含めて、改めてまとまったものを読むと感嘆する。 女性が社会で働くことの意義、男女分けへだてなく共に家庭を維持していくことの大切さ、そのために料理を含め家事をいかに効率よくやっていくかの研究と啓蒙…。 家庭料理に歴史的な改革を起こすだけでも非常に大きな功績だが、彼女の活躍がそこに留まらず、日舞の名取であったり、エッセイストであったり、女声合唱団の代表であったり…いったいいくつもの仕事を持ち。どれだけの功績をあげきてきたのか。 関東の人にしては空気に大阪のおばちゃんを感じるなぁと思ったが、やはり大阪ど真ん中の生まれ育ちだったのか。 それにしても、人生後半が可哀そうすぎる、躓くような何かの失敗があったわけではなく、くも膜下出血でベッドから起きられない身体となったままで人生を終えた終盤、息子ケンタロウの大事故も並行して発生するなんて…。 その遠因にはやはりクソのような週刊誌のクソのような記事があって小林カツ代が嘆くセリフも切ない。「メディアの世界でこれだけ仕事をしてきて、なぜ、何も悪いことをしてない私が叩かれなきゃなんないの?これまで何度も仕事をしてきた会社じゃない」… ここの部分を読んだのか文藝春秋(この本の出版社)、お前らの週刊誌も他人事やないよな。スキャンダルで人を破滅に追いやって儲けた金で食う飯は、きっと小林カツ代が作った料理の真反対の味なんだろうなぁ。美味いかどうか知らんけど。
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冒頭に著者とのエピソードを、その次に料理の鉄人の裏話を持ってくるという構成がいい。文章も簡潔で、とても読みやすかった。女性の社会進出と共にあった、小林カツ代という人物像がよく伝わる一冊。料理に手間と時間をかけられない中で、料理の常識に囚われず、合理的にどうすれば美味しく作れるか?...
冒頭に著者とのエピソードを、その次に料理の鉄人の裏話を持ってくるという構成がいい。文章も簡潔で、とても読みやすかった。女性の社会進出と共にあった、小林カツ代という人物像がよく伝わる一冊。料理に手間と時間をかけられない中で、料理の常識に囚われず、合理的にどうすれば美味しく作れるか?料理には思想があるんだな、と改めて思った。 ただ、著者が年の離れた友人ということもあって、カツ代のネガティブな部分への突っ込み不足はある気がする。更に少々難くせを付けさせてもうらうと、幼少時の大阪の街並みの説明が冗長だと思う。本の締めを反戦思想で締めくくった感があるけど、そこに焦点当てなくていい気がする。書き手が元ピースボートの人らしいので、さもありなんとは思う。反戦思想を否定する訳じゃないけど。
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大リーガーのイチローが、気持ちだけでは絶対に打てないように、「プロの仕事というものは、必ず技術が気持ち以上でないと本物にはならない。」 いわゆる・・ 腕前が一級品であること、必須条件。
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カツ代さんのレシピは、小さい頃から母が作ってくれた大好きな味。カツ代さんの生き方や人柄を知って、今まで以上に大好きな料理研究家になりました。効率をよく考えられていて、簡単だけど美味しさを妥協しない料理は、時代の先駆でした。同じ女性として勇気をもらいます。働き盛りの同世代におすすめ...
カツ代さんのレシピは、小さい頃から母が作ってくれた大好きな味。カツ代さんの生き方や人柄を知って、今まで以上に大好きな料理研究家になりました。効率をよく考えられていて、簡単だけど美味しさを妥協しない料理は、時代の先駆でした。同じ女性として勇気をもらいます。働き盛りの同世代におすすめしたい本です。
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●→本文引用 ●この頃すでに、カツ代の一生の行動原理は形成されていた。「興味を持つ。知識を得る。行動に移す。世界が広がる。」カツ代の人生はこの繰り返しだった。
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小林カツ代は怪物だったんだなぁと思う。 もとい昭和といっていいのかわからないか あの時代の「母親」「主婦」像を 今の時代に体現しようとするのは無理難題過ぎる。 当人は「主婦代表」とされることをことさら嫌がっていた。 「料理研究家」であり「主婦の料理研究家」ではないと そうラ...
小林カツ代は怪物だったんだなぁと思う。 もとい昭和といっていいのかわからないか あの時代の「母親」「主婦」像を 今の時代に体現しようとするのは無理難題過ぎる。 当人は「主婦代表」とされることをことさら嫌がっていた。 「料理研究家」であり「主婦の料理研究家」ではないと そうラベル付けすること自体どちらにも敬意を欠いている。 彼女が何でレシピをつくるかは目の前のあなたに喜んでほしいからだ。 そのための尽力が想像を絶していたが 変なテクニック、情報、評価なんて気にしないで できることから始めるという大前提も大事であると気づかされ 毎日すこしだけ料理を自分のできる範囲で楽しもうと思えた。
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20171101読了 2017年出版。実は、活躍されていた頃のカツ代さんを知らない。私が料理に取り組み始めた時期にはもうすでに、親子とも闘病する不運に見舞われておられたから。当然、「料理の鉄人」での偉業もリアルタイムでは知らなかったのだけど、この本の実況中継で時を越えてわくわくさ...
20171101読了 2017年出版。実は、活躍されていた頃のカツ代さんを知らない。私が料理に取り組み始めた時期にはもうすでに、親子とも闘病する不運に見舞われておられたから。当然、「料理の鉄人」での偉業もリアルタイムでは知らなかったのだけど、この本の実況中継で時を越えてわくわくさせてもらった。結婚当初は味噌汁すらろくに作れなかった人が、料理を楽しんでパワフルに活動して、そしてレシピが残っている。うちの肉じゃがは、今やカツ代レシピです。
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※このレビューにはネタバレを含みます
私が死んでもレシピは残る、名言だし、相当自信がないと言えない言葉だと感じる。 今まで何度かこのレシピの肉じゃが作ったけど、うまくできず、栗原はるみレシピを参考に作ってますが、また改めて作ろう! キャベツせん切りの上に熱々ソース焼きそばを乗せ、ボウルで蓋して1〜2分蒸らす、早速やりたいと思います。
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「わが道を行くワンタン」を読んだことがあります。その時は毎日の料理が女性の応援歌になることに気づかせてもらいました。「毎日おいしくつくること」と「毎日おいしくたべること」を繋げ合わせ人生の賛歌にしていった小林カツ代の一生を描いています。これから朝の連想ドラマの原作になりそうな昭和...
「わが道を行くワンタン」を読んだことがあります。その時は毎日の料理が女性の応援歌になることに気づかせてもらいました。「毎日おいしくつくること」と「毎日おいしくたべること」を繋げ合わせ人生の賛歌にしていった小林カツ代の一生を描いています。これから朝の連想ドラマの原作になりそうな昭和史です。女性にとっての職業が限られていた時代(それはそんな昔ではない…)に主婦の毎日の行為を圧倒的に主婦サイドに立ちながら職業にしていく行動力が眩しく、またそれが女性たちの共感を得ていった源泉だったのでしょう。まさに戦後、家族というカタチが家から核家族になっていく、そして専業主婦が家庭の外に出ていく、そのプロセスの時代のヒーロー(ヒロインって感じじゃない)だったのだと思います。そういう意味では、まだ食べさせる相手としての家族がいた人でしたが、「あとがき」の真実は家族の形態の変化も取り込んでいた人でもありました。そういう意味では個食化の進む今、家庭料理はまた新しいヒーローを求めるかも知れませんね。ケンタロウの自分ごはん、仲間ごはん的な世界、可能性大きかったと改めて感じました。
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