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ロシア革命 の商品レビュー

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9件のお客様レビュー

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2022/05/25

ロシア革命というときに、1917年に2段階の革命があり、2月革命はメンシェビキ・ケレンスキーをリーダーとして民主主義、そして10月革命はレーニンをリーダーとするボリシェビキによる共産主義革命という漠然とした知識しかなかった。しかし、この8カ月の連合政権がいかに集合離散の混乱の繰返...

ロシア革命というときに、1917年に2段階の革命があり、2月革命はメンシェビキ・ケレンスキーをリーダーとして民主主義、そして10月革命はレーニンをリーダーとするボリシェビキによる共産主義革命という漠然とした知識しかなかった。しかし、この8カ月の連合政権がいかに集合離散の混乱の繰返しであり、10月革命前夜にはレーニンを中心とした暴力革命が起きることは既に確実視されている状況にあったなど、あまりにも無知であった私自身だったかを知った。ニコライ2世が子息の皇太子も含め、皇帝の座を放り出して、弟ミハイルに譲位しようとしたが、弟も辞退などは驚くべき状態である。そして2月革命後の諸政党としてメンシェビキは社会主義者であり、自由主義者の立憲民主党、進歩党などの連立勢力は左派であったのだ。10月革命へ向かう中で、レーニン以上にトロツキーの的確な判断が革命成功に導いたかも知らない事実だった。1917年におけるロシアはウクライナとは全くの一体であり、フィンランドでさえ、ロシアとは自治の大公国であり、この両国が臨時政府に激しく抵抗していたとは100年後の現在を重ねると、皮肉な事実が見えてくるようで感慨深かった。 特に次の文章!「3月28日、首相リヴォフ公の名で市民への宣言が出された。「自由ロシアの目的は、他の 諸国民を支配することでも、彼らから国民的財産を奪うことでも、他国の領土を力ずくで奪う ことでもなく、諸民族の自決に基づく堅固な平和を確立することである」。 領土の奪取に関する部分は、当初の案になかったものが、ソヴィエト側の要請でつけ加えられたのである。こう してペトログラード・ソヴィエトに押される形で、「無併合、無賠償、民族自決」が革命ロシ アの公式外交路線となった。だが、この宣言は妥協の産物であり、ミリュコーフ外交の核心部分も残していた。そもそも それが市民への宣言に過ぎず、公式の外交通牒にならなかったのも、ミリュコーフが頑張った からであった。「だがロシア国民は、この大戦争のなかで、自らの祖国が卑しめられ、その生 命力を損なうことも許容するものではない」という一節は、彼が盟友ココシキンの力を借りて挿入したもの」

Posted byブクログ

2018/11/02

ロシア帝国からソ連にどのように変わっていったのかについて、その主となるきっかけであるロシア革命を詳細に追いかけることで記述されています。2月革命から10月革命へと、1年に満たない時間の中で、これほど多くの出来事が目まぐるしく起こったということに、その歴史の濃さに驚かされました。そ...

ロシア帝国からソ連にどのように変わっていったのかについて、その主となるきっかけであるロシア革命を詳細に追いかけることで記述されています。2月革命から10月革命へと、1年に満たない時間の中で、これほど多くの出来事が目まぐるしく起こったということに、その歴史の濃さに驚かされました。そしてそこに居た人々がどのように苦しみながらも、前に進んで行こうとしたのかを知ることができます。それを知ることで、ここで何が起こったのかを理解することができると思います。 人々の身勝手さや、そうでない面などが、究極の状態で、遠慮なしに出てくるものだということを、歴史は冷静に語るものだと思いました。

Posted byブクログ

2017/09/05

 1917年の二月革命から十月革命に至るロシアの政局を、「臨時政府」を構成した人々の動きに焦点を当てて、ドキュメント風に叙述している。ソ連時代には十把ひとからげに「反動」として否定され「忘れられた」自由主義者や穏健な社会主義者らに同情的で(他方で暴力的な民衆には冷淡)、必然性の欠...

 1917年の二月革命から十月革命に至るロシアの政局を、「臨時政府」を構成した人々の動きに焦点を当てて、ドキュメント風に叙述している。ソ連時代には十把ひとからげに「反動」として否定され「忘れられた」自由主義者や穏健な社会主義者らに同情的で(他方で暴力的な民衆には冷淡)、必然性の欠如を認識しつつも、ロシアにおいて議会制民主主義が制度化されなかったことを惜しんでいるのは明らかだ。歴史学者の著作にしてはジャーナリスティックなのが若干気にはなる。

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2017/07/28

フランス革命と比べて、イマイチ影の薄いロシア革命。本書を読んでみて、その原因がなんとくなくわかった。 原因その1は登場キャラの薄さだ。全然知らない人ばかり。有名どころのレーニン、トロツキー、ニコライ王などもあまり活躍しない。彼らの活躍は革命のもうちょっと後だ。 原因その2は革...

フランス革命と比べて、イマイチ影の薄いロシア革命。本書を読んでみて、その原因がなんとくなくわかった。 原因その1は登場キャラの薄さだ。全然知らない人ばかり。有名どころのレーニン、トロツキー、ニコライ王などもあまり活躍しない。彼らの活躍は革命のもうちょっと後だ。 原因その2は革命がドゥーマと呼ばれる国会と労働者団体ボルシェビキとの1対1の対決だけに終始していること。この2つに国王側や他国が絡むともっと劇的なストーリーになっただろう。 原因その3は、王政から民主主義じゃなく、社会主義国家になってしまったこと。現代では馴染みのないシステムだけに、なぜ採用されたのが社会主義だったのか。今となってはわかりにくい。 と、改めて地味なロシア革命であり、本当の歴史の面白さは革命後のゴタゴタなのだ。

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2017/05/22

二月革命から十月革命までの8ヶ月を臨時政府の動向を中心に描いた1冊。ロシア革命史って昔読んだトロツキーのものくらいしかなかったので、臨時政府に焦点を当てたこの本からはだいぶ違った印象を受ける。短い「おわりに」においてロシア革命の破局の8ヶ月の現在性が確認される。

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2017/02/18

いままでボンヤリとしか知らなかった「臨時政府」についてこれだけまとまって読んだのは初めて。 二月革命が成就していたら今とは全く違う世界になっていただろう。 クラークへの迫害もスターリンの大テロルもなく、ひょっとしたら第二次大戦もなかったかも知れない。 歴史に「もし」はないがその「...

いままでボンヤリとしか知らなかった「臨時政府」についてこれだけまとまって読んだのは初めて。 二月革命が成就していたら今とは全く違う世界になっていただろう。 クラークへの迫害もスターリンの大テロルもなく、ひょっとしたら第二次大戦もなかったかも知れない。 歴史に「もし」はないがその「もし」を考えずにはいられない。

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2017/02/12

「“2月革命”から“10月革命”の過程」に関しては、100年を経ても「知られているような、知られていないような」という感が残っているのかもしれない。考えてみれば、この1917年頃から少し後の時期までに活動、活躍した色々な人物に関して、ソ連時代に長く「言及出来ない」という状態になっ...

「“2月革命”から“10月革命”の過程」に関しては、100年を経ても「知られているような、知られていないような」という感が残っているのかもしれない。考えてみれば、この1917年頃から少し後の時期までに活動、活躍した色々な人物に関して、ソ連時代に長く「言及出来ない」という状態になっていて、1980年代末に「還って来た名前」等と呼ばれて、そういう人達に関することが語られるようになった経過も在った筈だ…故に、こういうことにもなるのであろう… 得られるモノが在れば、損なわれるモノが在る…形成されるモノが在れば、崩壊するモノが在る…「ロシア革命」というモノは、「既に過去」となって四半世紀以上も経たような体制をもたらしたという、「“過去”の、そのまた過去」という、「然程面白くない存在」に視えるのかもしれないが…本書を読めば、必ずしもそうではなく、マダマダ「考える材料」を色々と供してくれそうである… 大変に興味深く、また素早く読了した…

Posted byブクログ

2017/02/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ロシア2月革命から10月革命までの1年にも満たない期間の物語だけれどやはり非常に内容は濃い。「われわれ」と「あいつら」の埋めがたい懸隔は今に通じるものがある。

Posted byブクログ

2017/01/26

『なぜ臨時政府は挫折したのか(なぜボリシェヴィキは成功したのか)』をテーマに二月革命と十月革命の間の激動期を追う。 『はじめに』にも書かれているが、『十月革命クライマックス史観』というものがある……というのに驚いた。これの典型例として挙げられているのがトロツキーの『ロシア革命史...

『なぜ臨時政府は挫折したのか(なぜボリシェヴィキは成功したのか)』をテーマに二月革命と十月革命の間の激動期を追う。 『はじめに』にも書かれているが、『十月革命クライマックス史観』というものがある……というのに驚いた。これの典型例として挙げられているのがトロツキーの『ロシア革命史』。逆に読んでみたいw

Posted byブクログ