テロリストの処方 の商品レビュー

久坂部羊(著者)

2024/01/29

医師、医療制度の改革「ネオ医療構想」は久坂部先生ならではの指摘が大きく反映されているのではないかと思った。本作は殺人、連続テロというミステリー要素もプラスされておりとても面白かった。

最近、実社会に頑として存在する問題を、びよーーーーんと拡大、もしくは解像度をこれでもかと上げてしてエンタメに昇華させている本を読むことが多い気がする

むしろ国会議員にこれくらいの外部監査を入れて本気で改革してほしいわ、、
あれほどの政治資金不正でも逮捕されずのうのうと議員を続ける人間が令和の今でも実在するのだから…

2021/02/17

医療費の高騰で、高額医療を受けられる勝ち組と負け組に患者が二分され、医師もまた勝ち組患者を相手に高額収入を得る勝ち組と、経営難に陥る負け組とに二極化する。そんな中、勝ち組医師を狙った連続テロが発生する…という、医療格差を描いたミステリ。
ネオ医療構想を掲げる全日本医師機構が、いい面だけを強調して意のままに世論を動かしていき、反対勢力を次々と弾圧していく様子が、恐怖政治を思わせる。
主人公の浜川は、自分も勝ち組医師の方に属していながらも、どこか自分だけは他人事のように客観視している態度がなんとなく気に食わなかったので、ラストの展開は納得。

実際、素人にはどこまでが必要な治療なのか、どこまでがいらない治療なのかが分からないので、医師の言うことに従うしかない。無駄な治療を受けさせて稼いでる医者がいると思うと腹も立つが、コロナ禍の今、昼夜問わず戦っている医療従事者の方々には頭が下がります。

2020/11/03

単調に進んでいき、ふーんという感じで終わった。
検診を受けさせまくる国日本
CT保有数ナンバーワンの日本
高血圧の基準値が1変わるだけで製薬会社がぼろ儲け

などなど医療問題っていろいろあるんだなーと感じた

2019/06/12

医療を受ける側の格差、医師自身の勝ち組どちら負け組の格差を上手く絡めて話しを展開していて
いる。医療問題と医療格差を糾弾するテロ行為を絡めてストーリーを展開しているが、読んでいても何となく単調な雰囲気が抜けきれず、のめり込めない。冷酷な内容も描かれているのだけど、臨場感が伝わらなかった。最後のクライマックスも盛り上がりに欠けた感が強かった。

2018/07/29

久坂部さんの本はいつもたいへん面白く読ませてもらっているが、これは、まあまあだったかな。いつもの読み手を引きつけて離さない迫力はなかったように思う。

2017/09/03

読書記録です。まだの人は読まないでね。

医療の行く末を暗示する…っていうか、もう現在進行形の内容。あーそうなるだろうなぁ、そうくるだろうなぁ、やっぱりそうだったのか～という進行だけど、本当に起こってもおかしくない内容なのでじわじわくる。
主人公がのんき（自分はブタじゃない根拠薄スギ）なのと、核心に迫っている感が主人公にもあるのに、のこのこ行っちゃう緊張感がなさすぎの展開にちょっと違和感アリ。
大阪在住なので、細かく描写されてる場所が「あそこのアレやな」とわかるのは楽しめました。

2017/07/02

塙のことは最初から疑ってなかったけど
途中の＜＞の台詞の意味が通らない気がするのは
私の読み方が悪いから？
犯人隠蔽とか強請とか別の罪状がついちゃうので
ああいう最期になったのかなと想像。報われないね。

2017/06/21

いつも楽しませていただいてる久坂部羊さんの「テロリストの処方」（２０１７．２）、期待して読みました。でも、久坂部さんにはめずらしく、テンポは悪く、面白味に欠け、読み辛い作品でした。

2017/06/01

久坂部さんの作品はほとんど読んでて好きなんだけど、今回は読んだあとただ医療に対する不信感が残ったなって感じ。

2017/05/05

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医療格差が広がる日本で、勝ち組医師を狙った連続テロが発生!
迫りくる日本の医療危機を予見する、戦慄の医療ミステリー。

医療費の高騰で病院に行けなくなる人が急増した日本。医療勝ち組と負け組に患者が二分され、同じく医師も、高額な医療で破格の収入を得る勝ち組と、経営難に陥る負け組とに二極化。そんな中、勝ち組医師を狙ったテロが連続して発生する。現場には「豚ニ死ヲ」の言葉が残されていた。若くして全日本医師機構の総裁となった狩野のもとにも、脅迫状が届く。医事評論家の浜川は、狩野に依頼され、テロへの関与が疑われる医師・塙の行方を探すことに。三人は医大時代の同級生だったのだが――。
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遠くない未来の日本の医療現場の実態が生々しく描かれていて興味深い。医師の勝ち組負け組だけでなく、一般国民も贅沢で高度な医療を受けられる勝ち組と、最低限の処置さえ拒否されることもある負け組に分かれ、命をめぐる現場は混沌としている。癌や認知症の治療や健診の是非にも触れ、考えさせられることがありすぎて恐ろしくもなる。医療に携わる人たちにとっても一般の患者にとっても、もちろん制度を作る政治家にとっても問題を多く孕む一冊である。