本を守ろうとする猫の話 の商品レビュー
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会社に行けなくなって久しぶりの読書。 読んだ本をコレクションして自分に酔っている人物や、名作でなくわかりやすい題名の本に群がる人々の姿など、とても他人事とは思えない描写。 久しぶりに心躍る読書体験ができたように思います。
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普段読んだ本を読み返すことはあまりなかったし、いっぱい読むために速読が気になったこともあったから 迷宮の主たちに共感する部分もあった だから林太郎の言葉に自分の読書スタイルを考えさせられた気がする でも結局は全員が本が好きということが共通してることが救いだったと思う 気になったのは古い本を読んでいないと本好きとは言ってはいけないのか、、?
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「本が好き」が本を救う。 夏木林太郎は祖父と二人暮らし。その祖父が突然亡くなった。祖父が残した古書店「夏木書店」は、学校に居場所を見つけられない林太郎にとっての避難所だった。そこにある本が大好きだった。だが、そんな夏木書店も祖父がいない今、数日後には離れなければならない。 「...
「本が好き」が本を救う。 夏木林太郎は祖父と二人暮らし。その祖父が突然亡くなった。祖父が残した古書店「夏木書店」は、学校に居場所を見つけられない林太郎にとっての避難所だった。そこにある本が大好きだった。だが、そんな夏木書店も祖父がいない今、数日後には離れなければならない。 「お前の力を借りたい」 そんな時、夏木書店にいた林太郎の前に突然現れたのは、人間の言葉を話すトラネコだった。閉じ込められた本を助け出すために、林太郎の力が必要だと言う。実感のない喪失感ではあったが無気力になっていた林太郎が、大好きな本を助けるために不思議な世界へ入り込んで行く。そして自分にも心配してくれる友がいることに気づき、この困難を共に乗り越えていく。 「本には力がある」 読みやすい文章で、淡々と進んで行く。 中高生でも読めるファンタジー。 でも、もっともっとファンタジーがいいな。 個人的には、書店と図書館の違いはあるけど、深緑野分の「この本を盗む者は」の方が好き。 本や出版業界の現状を憂い、本の価値を問う。がテーマなのかな。
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読みやすいなぁ…と思いながら読んでいたら、主人公が、 読んで難しいと感じたなら新しいことが書いてあるから。難しい本に出会ったらそれはチャンスだ。読みやすいってことは、知ってることが書いてあるからだ。 って。怒られた感(笑) でも、難しい本ばっかり読んでても楽しくないし、読みやすい...
読みやすいなぁ…と思いながら読んでいたら、主人公が、 読んで難しいと感じたなら新しいことが書いてあるから。難しい本に出会ったらそれはチャンスだ。読みやすいってことは、知ってることが書いてあるからだ。 って。怒られた感(笑) でも、難しい本ばっかり読んでても楽しくないし、読みやすい本ばっかり選んでても成長できないのかもしれないし、色々読めってことですね。 私は、買った本は絶対売らない、手放さない派なので、何年もほったらかしにしてる本たちを読み直してみようかなと思いました。
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本はどんどん読まれなくなってきているという事実に改めて気づかされました。 そしてそれぞれがそれぞれの本に対する価値観を持っていて、その話し合いがとても面白かったです。
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続編が最近出たこともあり気になっていた作品。 私も読みたい本が次から次に出てきてたくさんの本に触れる事に重点をおいていて、好きだなーいい作品だったなーと思ってもなかなか再読の機会を持つことができていないので、ハッとする部分も。 好きな作品を再度かみしめて読み直す時間もとりたい...
続編が最近出たこともあり気になっていた作品。 私も読みたい本が次から次に出てきてたくさんの本に触れる事に重点をおいていて、好きだなーいい作品だったなーと思ってもなかなか再読の機会を持つことができていないので、ハッとする部分も。 好きな作品を再度かみしめて読み直す時間もとりたいと思った。
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本に向き合う人々への作者の想いが感じられた作品。 夏川さんの淡くて柔らかい言葉選びが美しくて素晴らしい
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古書店を営む祖父と暮らしていた男子高校生。 祖父の死後、叔母に引き取られようとしていたところ、店内に突如現れた人語を話す猫に助けを求められる。 連れられた世界で本や読書の本質を歪めようとする権力者たちと対峙する主人公。 主人公の主張は本好きからするともっともで、その言葉に相手...
古書店を営む祖父と暮らしていた男子高校生。 祖父の死後、叔母に引き取られようとしていたところ、店内に突如現れた人語を話す猫に助けを求められる。 連れられた世界で本や読書の本質を歪めようとする権力者たちと対峙する主人公。 主人公の主張は本好きからするともっともで、その言葉に相手が改心していく展開には最後の最強の敵も含めて安心感があるが、売れる本を売らないと出版業が成り立たない、文芸書ですら玉石混淆の大量の新刊が出版され読み切れないといった現実は厳然として在る。(古典は言うに及ばず) その中でできるだけ良質な本を出そうとする出版関係の努力には頭が下がるのだが。
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亡くなった祖父から受け継いだ古書店で不思議な冒険をする物語。「スピノザの診察室」と同じ作者ということで読んでみたが、ファンタジー作品ということで全く雰囲気の違う作品でした。
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物語自体はファンタジー要素多めのアニメっぽくて、自分好みではなかったけど、「本」と「読書」、「人」との向き合い方について、深い信念のようなものを感じることができ、新たな気づきや感動がたくさんあった。 ついつい飛ばし読みをしてしまいがちな自分の読書も、こうなってはいないかと振り返らされた。「本」の力を、価値を、あらゆる面から伝えてくれた1冊。読書欲が高まった。読書が趣味である人ほど読んで欲しい。 今まで自分好みの本ばかり選んで、難しい本は敬遠してきたけど、 主人公・夏木の「読みやすいってことは、知っていることが書いてあるから。読んで難しいと感じたなら、それは新しい、知らないことが書いてあるって証拠だよ」という言葉に、 難しい本でも前向きに読みたい!という気持ちになった。 [物語の各章で感じたこと、解釈したこと] 本を中身ではなく、「質より量」として捉えている、本を消費物として扱う世界観で、夏木がそのように扱われている本を救うために、本の力について敵と弁論する物語。 立ちはだかる敵のやっていることは行き過ぎで狂気じみているけど、本の力を貶めるその発言にはたしかに納得感があるから手強い 1人目:読書量をひたすら稼ぐ男。読んだ本の数に価値があるとする。 ↓ ただがむしゃらに本を読めばその分世界が広がるわけではない。自分の頭で考え、自分の足で歩かなければ、すべては空虚な借り物でしかない 2人目:読書を手軽で効率的な娯楽行為にしようと、本を切り刻んでいる男「難解な本は難解であるというだけでもはや価値を失う。誰もが気軽に、傑作を読みたがる」 ↓ 読書はただ愉快であったりわくわくしたりするだけではない。読書には苦しい読書というものもある。本には本の速度がある。 3人目:本を生き残らせるために、わかりやすく売れる本ばかり大量生産する男社長「本は消耗品」「売れる本を売る」「今の世の中の人たちは忙しすぎて、分厚い傑作文学などに費やしている時間もお金もないが、社会ステータスとしての読書はまだまだ魅力的」 ↓ 本が好きだからこそ、本を残したいという思いの裏返しだと自分も感じたし、林太郎の「(本が好きなら)本が好きなんです、と言うべき」「(そう言うことで)好きじゃない本は作れなくなる」という言葉は、「好きなもの」に対しては責任が伴うものなんだと思った ↓ その後の章で、男が社員に言った「本が好きであれば、理屈ではなく理想を語りたまえ」という言葉。好きなものなら真っ向から愛して高めていこうぜ!という感じがして好き。 4人目:本には心が無くなり、その力は失われつつある。本を大事に思う人は少なからずいるかもしれないけど、そんな理想論や楽観論は腐るほど耳にした。 ↓ 本の力とは…「人を思う心」を教えてくれる。本にはたくさんの人の思いが描かれている。そういう人たちの物語や言葉に触れ、一緒になって感じることで、僕たちは自分以外の人の心を知ることができる。全然違う世界を生きている人の心さえ、本を通して感じることができる。理屈で教えられないことを、本を読むことで簡単にわかるようになる。 本の力は間違いなくそこにある、と自分も思う。だから読書量や効率的で簡単な本ではなく、時には苦しみながらも1冊1冊と向き合うことで、得られるものがあるんだと。 [本筋とは少しずれるけど…] 「夏木の性格は嫌いじゃないけど、そういう態度は好きじゃないわ」 という柚木のセリフ。 私にも、価値観合うなぁと思うけど、「(自分以外の第三者への態度について)なんでそんな態度とるんだよ」と少しイラッとする相手がいて、その人と自分の相性って結局いいのかわからないし、イラッとしたことを直接言うと、相手の性格に難癖つけてるようで、相手を否定するようで言いにくいし、でも全く言わないのは我慢してるみたいだし…と感じていた。 でも柚木のセリフで、自分が嫌なのは、相手の価値観や性格じゃなくて態度なんだ!とめちゃくちゃ腑に落ちて、「その態度どうかと思う」って言葉なら、相手自体を否定することにならないし、すごく伝えやすいと思うことができた。 夏木の歯切れの悪さを、優柔不断でもなく決断力がないでもなく、胸の内にあるたくさんの思いについて、できるだけ真面目に向き合おうとする態度の表れである、と印象づけた柚木の感性に、同じく考えていることはたくさんあるのに、自分の意見を上手く言葉に表せられない自分を肯定してもらえた気がした 猫が見える理由と「本」の価値が繋がっていた。私には見えないだろうなあ、、笑
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