ビリー・リンの永遠の一日 の商品レビュー
イラク帰還兵が、アメリカ的なものを一杯詰め込んだものを見たら、あまりに醜悪で俗悪でした。 そんな私たちもこちら側で生きてる。 クソだ。
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読了。 冬休みに読もうと年末に買い込んだ本書をようやく。いやぁ、面白かったー!『想像ラジオ』以来に、ガツンとやられました。想像力を掻き立てる為に、想像力を駆使して描ききる、これが文学だよなぁと。現代アメリカのエグみというか闇というか、問題に、「魅力的」なアメリカポップカルチャーの...
読了。 冬休みに読もうと年末に買い込んだ本書をようやく。いやぁ、面白かったー!『想像ラジオ』以来に、ガツンとやられました。想像力を掻き立てる為に、想像力を駆使して描ききる、これが文学だよなぁと。現代アメリカのエグみというか闇というか、問題に、「魅力的」なアメリカポップカルチャーの固有名詞に乗せて紡ぐこの物語によって、思いを馳せるのです。名著!
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若い兵士のビリー・リンは、イラクの戦闘で英雄的な働きをしたため、小隊全員で凱旋帰国させてもらった。NFLの試合でハーフタイムショーに招待され、ヒーローインタビューだ。招待席に戻っても、握手を求められ、讃えられるかと思えば、喧嘩騒ぎも起こしてしまう。1週間後には前線に送還され、戦...
若い兵士のビリー・リンは、イラクの戦闘で英雄的な働きをしたため、小隊全員で凱旋帰国させてもらった。NFLの試合でハーフタイムショーに招待され、ヒーローインタビューだ。招待席に戻っても、握手を求められ、讃えられるかと思えば、喧嘩騒ぎも起こしてしまう。1週間後には前線に送還され、戦争に戻る不安定さがそうさせるのだろうか。 英雄的な戦闘では、友を亡くしている。次の戦闘では自分が戦死するかもしれない。でも、今は酔った頭でビヨンセが歌い踊るのを目の前に見ている。自分たちをモデルにした映画ビジネスの話も持ち上がっている。全てアメリカの現実だ。 アメリカで、社会的に取り残されたものを待っている現実だ。
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「アメリカ人は子供なのだ。大胆で、誇り高く、自信たっぷりの。」 中東で兵士として戦った19歳の主人公の数日が400頁にわたって描かれている。 あちこちに招かれてヒーローとして扱われる主人公たち、 主人公たちを招く側のアメリカのセレブ達、 彼らを主人公にして映画を作ろうと意気込む人物。。 現代の日本人とは戦争の捉え方がまったく違っていて 日本では映画が公開延期中だそうだけど映画を観れば 多少アメリカを理解できるのではないかと思う。 ぜひ公開してほしいなぁ…。
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裏表紙に書かれていたイラク戦争版のキャッチ22ということば。私の感覚も、同じようなものでした。 そこで感じた、戦場の狂気。そして、戦場を離れ祖国に戻った時の狂気。 アメリカの19歳の若者、戦闘に巻き込まれ生き残った仲間は、米国に呼び戻され、戦意高揚のためにフットボールのハーフタイムショーに引きずり出される。 でも、その間も仲間の狂気、戦場の記憶は続いている。 そして、祖国では、別の狂気が続いている。 そして、自宅に戻って自分の部屋で静かに自慰をする。 彼の部隊はまた戦場に戻っていく。 そして、狂気は残り続けていく、彼の周りでも、彼の祖国にも。
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主人公のビリー・リンはワケあって軍に入隊、イラク戦争に送られ、英雄にまつりあげられ、愛国心のアイコンもしくは見世物パンダとして全米凱旋ツアーに駆り出され、スーパーボールのハーフタイムショウでビヨンセと共演する- という感じのあらすじを見ただけで面白そうだなと思って読みました。 ...
主人公のビリー・リンはワケあって軍に入隊、イラク戦争に送られ、英雄にまつりあげられ、愛国心のアイコンもしくは見世物パンダとして全米凱旋ツアーに駆り出され、スーパーボールのハーフタイムショウでビヨンセと共演する- という感じのあらすじを見ただけで面白そうだなと思って読みました。 戦争や愛国心、アメリカに対するアイロニーが込められた作品なんだろうなとは容易に想像できるけれど、 読んでみるともう1文ごとに何かしらの皮肉、揶揄のオンパレード。すべてがジョークのようなのになぜかリアル。 ビリーたちの体験を映画化しようと企む人物がいて、 ビリー(男)の役をヒラリー・スワンクに演じさせようと計画するエピソードが度々出てくるけど、これぞまさにハリウッドのお得意の偽善、ハリウッドあるあるだわ~となんだか感動してしまった。ヒラリー・スワンクっていうチョイスがもう絶妙。 小説としては、ひたすら皮肉を読み続けて疲れたという感じがした(苦笑 映画化されているそうだけれど、ビヨンセは出てるの!?
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ものすごく面白かった。 と言ってしまうと、あまりに平凡で身もふたもないのだが、それ以外に言葉が見つからないぐらい、面白かった。 全編「おふざけ」がちりばめられている。「ミリオンダラー・ベイビー」のオスカー女優、ヒラリー・スワンクとデスティニー・チャイルドなんて、いったい何度名前が...
ものすごく面白かった。 と言ってしまうと、あまりに平凡で身もふたもないのだが、それ以外に言葉が見つからないぐらい、面白かった。 全編「おふざけ」がちりばめられている。「ミリオンダラー・ベイビー」のオスカー女優、ヒラリー・スワンクとデスティニー・チャイルドなんて、いったい何度名前が登場しただろうか(彼女らは自分の名が使われることを承知したのかしら)?わたしにはわからなかった「あの人」もたくさんきっと出ているのだろう。そこに、いかにも若い男の子たちらしいお下品な会話がポンポン飛び交う。電車で読んでいると、時にほっぺの内側を噛んでにやけ防止をしたくらいだ。 …それなのに、行間のどこにも「死」のイメージが漂っていてとても悲しいのだ。 ある銃撃戦を境に、慕っていた先輩を喪い、一夜にして全米の英雄に祭り上げられた19歳の少年の目から見たアメリカの、どこか狂ったような愛国精神と熱狂、欲得ずくで動く大人たちの醜さよ。 ふつうに生きた60歳よりも老成してしまった19歳は、それでもやっぱり19歳で、その純真もまたまぶしい。 どこまで、なにを書いてもこの本の魅力と深さは伝わらない。
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