これからお祈りにいきます の商品レビュー
心の底から誰かのことを想うときが、 祈るときなんだと思った。 自分のことではなく、誰かのことを。 とっても不思議だけど、町も神様もどこかに存在するかもしれないと思わせる「サイガサマのウィッカーマン」 読み進める中で登場人物の繋がりやサイガサマのことが分かってゆく気持ちよさ、ラス...
心の底から誰かのことを想うときが、 祈るときなんだと思った。 自分のことではなく、誰かのことを。 とっても不思議だけど、町も神様もどこかに存在するかもしれないと思わせる「サイガサマのウィッカーマン」 読み進める中で登場人物の繋がりやサイガサマのことが分かってゆく気持ちよさ、ラストの清々しさ。 少年が町の大人と出会い変化していく様にニコニコしました。 地震が多いこの国で生きていくことに対して そっと心が軽くなるメッセージをくれるような 「バイアブランカの地層と少女」 【あなたが不安と共存しながらも幸せに過ごせることを願っています。】という手紙の一文を、 作者から読者へのメッセージだと受け取りました。 どちらの作品も主人公を取り巻く環境は大きく変わってはないんだけど確実に成長して少し前に進んでいるラスト。とっても気持ちいい読後感です。
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すごく面白かったです 誰かのための祈りというのは何だか途方もないことだけど、どこかできっと通じてるようなそんな気になる中編2作でした どちらとも好きでしたが、私は『サイガサマのウィッカーマン』の方が好みでした 何となく色々上手くいってないフツウの高校生の男の子が主人公なんですが...
すごく面白かったです 誰かのための祈りというのは何だか途方もないことだけど、どこかできっと通じてるようなそんな気になる中編2作でした どちらとも好きでしたが、私は『サイガサマのウィッカーマン』の方が好みでした 何となく色々上手くいってないフツウの高校生の男の子が主人公なんですが、この世代の何だか分からないけど手当たり次第にイラついてるという感じが思春期全開という感じでとても良かったです いまいち異様に熱心な祭りのあれこれについていけないのに結局その周辺を手伝うことになったり、家族もなんだかバラバラで別にそんなに上手くいってなかったりするけど学費のことなどきちんと考える… 内心どう思ってようとシゲルは基本的にきちんとした男の子という印象でした バイアブランカの地層と少女も好きでした 果たして作郎はいつか一人で地球の裏側に行けるんだろうか? どちらの作品も明るい方へ向かう終わり方で良かったです 津村先生の作品はやっぱり面白い!
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お祈りがベースにある中編と短編 中編の「さいがさまのウィッカーマン」の主人公の住む町のサイガサマのお祭り。ウィッカーマンだなんて怖すぎる。こぶとりじいさんのこぶだったらいいけれど、でもこの町の人々は引き換えになっても叶えたいことのために、むしろ喜んで受け入れる。シゲルのたんたんと...
お祈りがベースにある中編と短編 中編の「さいがさまのウィッカーマン」の主人公の住む町のサイガサマのお祭り。ウィッカーマンだなんて怖すぎる。こぶとりじいさんのこぶだったらいいけれど、でもこの町の人々は引き換えになっても叶えたいことのために、むしろ喜んで受け入れる。シゲルのたんたんとした人間観察も面白いし、きっとこうなると思っていた酷いニキビの落ちが半分だけなのには笑ってしまった。
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なぜか読みもらしていたので購入。エブリシングフロウズでも思ったが、一人称語りの10代の子の心の声をかくのが抜群にうまいなあ。10代の子に限らないのだが、とにかく途切れそうで途切れないうねるような文体がこちらの心の凹凸にぴったり沿うような感覚をおぼえる。津村紀久子という作家の作品を...
なぜか読みもらしていたので購入。エブリシングフロウズでも思ったが、一人称語りの10代の子の心の声をかくのが抜群にうまいなあ。10代の子に限らないのだが、とにかく途切れそうで途切れないうねるような文体がこちらの心の凹凸にぴったり沿うような感覚をおぼえる。津村紀久子という作家の作品をリアルタイムで読めることを幸せに思う。彼女のファンであるということをなぜか自慢したくなる。
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いや~津村さんの安定感凄いわ。 本当に登場人物がリアルというか、無駄にハイスペックだったり無駄に悪人だったりってのが無くて、過不足無く丁度いい塩梅なのが最高。
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2020.6.27再読了。 ウィッカーマンの意味をあとがきで知る。 終わり方に希望を感じる。 サイガサマのウィッカーマン では、サイガサマの力?か、何かを奪われた代わりに、それぞれの暮らしが動き始める。 バイアブランカの地層と少女 では、少女とのやり取りを経て、自分の力で外の世...
2020.6.27再読了。 ウィッカーマンの意味をあとがきで知る。 終わり方に希望を感じる。 サイガサマのウィッカーマン では、サイガサマの力?か、何かを奪われた代わりに、それぞれの暮らしが動き始める。 バイアブランカの地層と少女 では、少女とのやり取りを経て、自分の力で外の世界へ出ようとする。 高校生と大学生と近い世代の男の子(男性?)が主人公であることも、二作の共通点。 記憶に残っていたのは、サイガサマの方。 サイガサマの文化が印象的で。 今回読み直して、バイアブランカも良かった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
願い事を叶える代わりにからだの一部をもっていくサイガサマ。持っていかれたくない部分を工作して、それを捧げる。町全体で行われるお祭りに、少し不思議な雰囲気と、変わらない日常が入り交じって、ほんの少し期待がうまれる。悩ましい毎日はそんな上手く良い方へ変わらないけれど、最後にまさかのサイガサマのへっぽこな力?が心をぽっと温かくしてくれる。誰かのささやかな願いが誰かを救っているのかもしれない。 関西弁で繰り広げられる物語でテンポ良く読めました(^-^)
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角川文庫版。 津村記久子らしく、不思議な高揚感と、どっしり地に足のついた感が楽しめるように思う。 少し冗長だが西崎氏の解説も良かった。
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ーーー1回は作ろうと思って作った家族やろうがーーー 津村さんの小説は集中力を要する。 読みはじめ、買ったばかりのスポンジみたいに弾きまくるので脳に世界観が定着するまで時間がすこし必要。なのに確実にどこかで読み手のこちら側が切り替わる瞬間があって、そうするともうぐいぐい、使い古し...
ーーー1回は作ろうと思って作った家族やろうがーーー 津村さんの小説は集中力を要する。 読みはじめ、買ったばかりのスポンジみたいに弾きまくるので脳に世界観が定着するまで時間がすこし必要。なのに確実にどこかで読み手のこちら側が切り替わる瞬間があって、そうするともうぐいぐい、使い古したスポンジよろしくぐいぐい設定や文章が脳みそに入り込んできて、あー、まだこの世界にいたい、帰りたくない、読み終わりたくなーいってなる。 本作は、最初のスイッチがなかなか入らず、んー、とおもっていたのだけど、やはりすごい、いつのまにか引き込まれていた。 「サイガサマのウィッカーマン」 「バイアブランカの地層と少女」 どっちもすごいタイトルだ。 タイトルだけでまったく話が読めない。 どちらも、「大切な誰かのために祈ることはこんなにも愛おしい」という内容なので「これからお祈りにいきます」という別タイトルが本自体のタイトルになっている。 どちらの作品も男の子がちっちゃく恋愛していて微笑ましい。 ちょっといいなって思っている相手からのメールの返信待っているときにメールが来て、開くまでの一瞬に違う人からだって頭の中で予防線を張る描写、すっごいわかるなあああとおもった。 こういう文章をさらっと(きっと書いているときはさらっとではないのだろうけれど)書いてしまうところがとてもよい。
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いずれも表題作ではない2作を収録した本作は、大事なひとのために祈る青年(高校生と大学生)を好意的に描いています。 そう書くと、いかにも主人公らしい人物像を思い浮かべるかもしれませんが、そこは津村さんの作品ですから・・・独特の悩みを抱えてます。 そう書くと、いかにも純文学らしい...
いずれも表題作ではない2作を収録した本作は、大事なひとのために祈る青年(高校生と大学生)を好意的に描いています。 そう書くと、いかにも主人公らしい人物像を思い浮かべるかもしれませんが、そこは津村さんの作品ですから・・・独特の悩みを抱えてます。 そう書くと、いかにも純文学らしい人物像を思い浮かべるかもしれませんが、そこは津村さんの作品ですから・・・独特の笑いを味わえます。 村上春樹氏の言う「小確幸」(小さいけれども確かな幸せ)にも通ずる、細やかだけれども確かな幸せ(「細確幸」?)を感じれる2作でした。 個人的に、それぞれの作品で感じ入った一節は以下のとおりです。 「うっさいボケ帰れ」 (「サイガサマのウィッカーマン」) 「そして正座してちゃぶ台の上で書店の袋からガイドと参考書を出した今、凝視しているのは目のくらむような肉料理の写真ばかりだ。(中略)作朗の羨望を煽る。前にまやちゃんの部屋かどこかで見せてもらったフランス料理の本には、特に何の感慨も抱かなかったというのに」。 (「バイアブランカの地層と少女」)
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