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こびとが打ち上げた小さなボール の商品レビュー

4.3

17件のお客様レビュー

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2024/09/16

韓国の高度成長の裏社会、最下層家族の話。どの国でも経てきた一面なんだろうけど、つい50年ほど前の隣国のリアルに、引き込まれた。 淡々と時系列や場面が切り替わるので、読み難く分かりにくい描写も多かったが、発行禁止を免れる為の短編をまとめたもの、ときいて納得。 こびとが目指した月も、...

韓国の高度成長の裏社会、最下層家族の話。どの国でも経てきた一面なんだろうけど、つい50年ほど前の隣国のリアルに、引き込まれた。 淡々と時系列や場面が切り替わるので、読み難く分かりにくい描写も多かったが、発行禁止を免れる為の短編をまとめたもの、ときいて納得。 こびとが目指した月も、せむしが見た絶滅したはずの蛍も、長男が求めた人間としての権利も、目の前に実際あるのに手に入れられない、切なさや虚しさもありつつ、それでも進んでいく力強さを感じた。 どんなに過酷ななかでも、親への尊敬や家族愛が強いのも、韓国らしい。

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2023/08/13

意識して「韓国文学」を読むようになってから韓国の映画やドラマの時代背景や人々の描かれ方が巧みなこと(誇張した表現が実はピンポイントで問題点を指摘していたり)に気づいてハッと驚かされることも多い。本書でもこれまでどれだけ私達(少なくとも私)は親世代の陰に隠れて見て見ぬふり、気付かな...

意識して「韓国文学」を読むようになってから韓国の映画やドラマの時代背景や人々の描かれ方が巧みなこと(誇張した表現が実はピンポイントで問題点を指摘していたり)に気づいてハッと驚かされることも多い。本書でもこれまでどれだけ私達(少なくとも私)は親世代の陰に隠れて見て見ぬふり、気付かないふりをしながらのほほんと「高度成長期」を生きて来たのかと愕然とするばかり。それにしてもこのタイトルの言葉選び‥哀しくて鋭くて物語の様々なシーンや登場人物が目に浮かんで印象に残る。巻末の「作家のことば」や四方田犬彦氏の解説、訳者あとがきも必読。

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2023/03/15

2023.4 読みづらい部分もあったしちゃんと理解できていない部分もあった。役者あとがきの"本書は一言でいって「蹴散らされた人々」の物語である。"というのが印象に残っている。この本がどのように書かれて読まれてきたかを知ってから読めて良かった。 私は「トゲウオ...

2023.4 読みづらい部分もあったしちゃんと理解できていない部分もあった。役者あとがきの"本書は一言でいって「蹴散らされた人々」の物語である。"というのが印象に残っている。この本がどのように書かれて読まれてきたかを知ってから読めて良かった。 私は「トゲウオが僕の網にやってくる」の視点が印象的だった。

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2023/01/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

韓国文学。 40年前くらいにかかれてる。 韓国社会の問題。住宅問題,労働問題。虐げられた人。章ごとに貧民層,中間層、富裕層。それぞれの視点から同じ出来事を確認。 こびとは靴屋のようなイメージだったけど小さい人。

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2022/11/06

せむし、こびと、いざり…最初はなかなかピンとこない単語の登場とその背景に、この本の世界に入ることが難しかったのだが、読み進めるうちにぐいぐいと引き込まれた。またそれと同時に、言葉では表せないほどのやるせなさに胸が締めつけられ、読み終えるまでとても時間がかかった。 この本を読む前...

せむし、こびと、いざり…最初はなかなかピンとこない単語の登場とその背景に、この本の世界に入ることが難しかったのだが、読み進めるうちにぐいぐいと引き込まれた。またそれと同時に、言葉では表せないほどのやるせなさに胸が締めつけられ、読み終えるまでとても時間がかかった。 この本を読む前と後では、韓国カルチャーの見え方が全く違う。この本を知ることができ良かった。

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2022/07/19

1970年代を舞台にした社会派小説です。圧倒されます。日本語訳韓国小説の中で、一番おすすめしたい作品です。

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2022/03/10

70年代の韓国を舞台に、この「こびと連作」は書かれた。発行禁止を避けるため短編にして色々な雑誌でこの連作は発表されたという。韓国では、1976年の出版以来驚異的なロングセラーとなっているという。それを日本で読めるようになったのは、2016年である。小説中に数学教師が話すメービウス...

70年代の韓国を舞台に、この「こびと連作」は書かれた。発行禁止を避けるため短編にして色々な雑誌でこの連作は発表されたという。韓国では、1976年の出版以来驚異的なロングセラーとなっているという。それを日本で読めるようになったのは、2016年である。小説中に数学教師が話すメービウスの輪の話があるが、この小説も最初と最後でメビウスの輪のように繋がっている。どちらが表でどちらが裏かが分からない帯のように。いざり、せむし、こびとという言葉が出てくる。日陰に追いやられた人たち、過酷な労働環境で働く人たち、富者と貧者。当時とは違って高度に発展した韓国。しかし、今でも解決できない問題を抱えた韓国、そして日本を考えざるをえない短編集だった。

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2021/10/04

作者、訳者とも素晴らしい。 初韓国作品。 70年代の韓国の経済成長と人々の暮らしが伝わって、強く気持ちが揺れた

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2020/12/26

大学進学を目指す受験生が読む本としたらつらい内容かもしれないです。自分が進学できる環境におかれ、卒業後は、企業で活躍する人材に育つよう期待されていること自体が、こびとに象徴される対象を排除、分断しても大きな利益のためには仕方ないという制度に無意識に組み込まれていないか。そんなこと...

大学進学を目指す受験生が読む本としたらつらい内容かもしれないです。自分が進学できる環境におかれ、卒業後は、企業で活躍する人材に育つよう期待されていること自体が、こびとに象徴される対象を排除、分断しても大きな利益のためには仕方ないという制度に無意識に組み込まれていないか。そんなことを考えながら生きていくために必要な気付きが詰まった本でした。試験日を迎えるまでの毎日がすでに何かの陰謀の上にひかれたレールに乗ってしまっているのではないか。そういうメッセージを発してくれたのは高校の先生でしたから、進路指導しつつも複雑な心境が伝わりました。

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2020/08/11

撤去民のマンション入居権売却 チョンセ 『一万年後の世界』 月の世界 奴隷売買文書 取り壊した家の廃材を薪にする 楽園区の幸福洞とは皮肉な地名だ 繰り返し触れられるこびとの町の「匂い」

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