人質の経済学 の商品レビュー
衝撃的な内容。読んでいてなぜ誘拐がなくならないのかがよく分かる。私の周りではシリア近辺へ行きたがる人はおらず、自身も望んだことは一度もない。そのため欧米人のシリアに対する思いというか憧れが理解に苦しい。無邪気に訪れ、バンバン誘拐されていく様子が読んでいて怖い。しかもただのインタビ...
衝撃的な内容。読んでいてなぜ誘拐がなくならないのかがよく分かる。私の周りではシリア近辺へ行きたがる人はおらず、自身も望んだことは一度もない。そのため欧米人のシリアに対する思いというか憧れが理解に苦しい。無邪気に訪れ、バンバン誘拐されていく様子が読んでいて怖い。しかもただのインタビュー本ではなく、誘拐がいかにしてビジネスとして成り立っているか解説しているため余計に恐怖感が増す。誘拐組織にとって、人質は拉致した瞬間から毎日毎日コストのかかる投資対象となるそうだ。外国人は国籍と職業に応じて値付けされ取引される。日本は全くの無関係とは言えないが、主にヨーロッパと中東の闇を覗いた気持ちになった。
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【誘拐ビジネスを繁栄させる要素として、無政府状態、経済発展、そしてもちろん、強欲を挙げることができる】(文中より引用) 外国人の誘拐や難民の密入国といったテロ組織や犯罪集団が生業とする「ビジネス」に光を当てた作品。数々の犯罪の裏で資金がどのように動いているかを明らかにしていきま...
【誘拐ビジネスを繁栄させる要素として、無政府状態、経済発展、そしてもちろん、強欲を挙げることができる】(文中より引用) 外国人の誘拐や難民の密入国といったテロ組織や犯罪集団が生業とする「ビジネス」に光を当てた作品。数々の犯罪の裏で資金がどのように動いているかを明らかにしていきます。著者は、マネーロンダリングに関する研究の第一人者として知られるロレッタ・ナポリオーニ。訳者は、上智大学を卒業し翻訳家として活躍する村井章子。原題は、『Merchants of Men: How Jihadists and ISIS Turned Kidnapping and Refugee Trafficking into a Multibillion-Dollar Business』。 単発のニュースとして終わりがちな誘拐などの背後に広がる経済面を活写したという点で高く評価できる一冊。人間が売買の対象にされるという恐ろしさだけでなく、その周りにいかにしてビジネスが形成されていってしまうかという過程をよく理解することができます。 訳もこなれており☆5つ
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※このレビューにはネタバレを含みます
タイトルの通り、人質に関する経済学。池上さんお墨付きだけありなかなかおもしろい。誘拐、交渉にもいろんな法則、データがあることを知れる一冊。 歴史的地理的背景も語られており、興味深い。 人質ビジネス、身代金ビジネスを分析する本 メモ ・9.11後のアメリカのマネロン対策により流れが大きく変わった。アメリカを経由できなくなったことにより、ヨーロッパで資金洗浄が行われるように。その流れでサヘル地域がとても危険な状況に。 ・誘拐組織のみならず政府も人質一人あたりを値踏みし、値段づけを行なっている。
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私たちの考える人質事件は犯罪としての認識だが、テロ組織にとってはビジネスとっては政治取引の手段でしかない。タイトル通り、犯罪もベースにした経済圏が成り立ってしまっている。そんな経済圏を成り立たせているのは実は先進国だということに気づいていない国が多い。そんな先進国のウィークポイン...
私たちの考える人質事件は犯罪としての認識だが、テロ組織にとってはビジネスとっては政治取引の手段でしかない。タイトル通り、犯罪もベースにした経済圏が成り立ってしまっている。そんな経済圏を成り立たせているのは実は先進国だということに気づいていない国が多い。そんな先進国のウィークポイントをうまく突かれているのが人質だという状況。不安安定な国では人権ではなく商品としての扱いが克明に記されている。 人質、移民問題。。悪を売り物にした経済圏はどこにでも成り立ってしまっている現代の怖さを知る一冊。
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インパクトの強いタイトルだが、原題は「人身の商人」。難民たちの移動が「テロ組織」等の収入源になっていることなどにも頁を割いており、震撼させられる。一過性の議論ではなく、鳥の目で状況を見たい際にオススメ。厚いが読み易い。
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「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの 支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるため です。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺 各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します」 2015年1月15日に安倍晋三が行っ...
「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの 支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるため です。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺 各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します」 2015年1月15日に安倍晋三が行った日エジプト経済合同委員会合 でのスピーチは、やはりISに拘束されていた日本人ふたりの殺害の 引き金になってたんだ。 前年の11月にはふたりが拘束されていることを、日本政府は把握し ていた。それなのにこのスピーチである。 「人道支援」の部分を協調したかったのであろうが、「ISILと闘う 周辺各国」という文言が相手を刺激したのだろう。安倍晋三のこの スピーチをきっかけとして、日本人2人は身代金要求対象の人質から 殺害対象に変更された。 本書ではジハーディストによる外国人誘拐・身代金要求の様々な ケースを取り上げ、実際に人質解放交渉の最前線にいる人たちに 取材して、崩壊国家にはびこる人質ビジネスを詳らかにしている。 2016年の発行なので、シリアをはじめ中東の情勢には変化があるが、 大筋では今も変わらないのだろうな。外国人を誘拐し、身代金を 要求し、まんまと入手した身代金がテロリストの新たな資金と なる。 ここまでは誰にでも考えられることだろうが、人質ビジネスで の儲けを元手に今度は自分たちが生み出した難民の渡航斡旋 ビジネスに乗り出していたとは。 しかもシリア国内で難民が一番安全に通行できるのがIS支配地域 だと著者は言う。 しかし、人の命に値段をつけて儲けているのは中東のジハーディスト だけではない。多くの難民が流入しているヨーロッパでも政府の補助 金目当てに難民ビジネスを行っている人たちがいる。 そして、人質ビジネスを行っているのは過激なジハーディストだけ ではく、独裁政権及びそれに抵抗する反政府組織なのだ。 中東に崩壊国家・無法国家が生まれたのは、元をただせば欧米(勿論、 アメリカの言いなりの日本も含む)の誤った中東政策が原因なのだ ろう。 その結果が、難民受け入れ国で軋轢が生まれることとなった。途轍もない ブーメランが返ってきたようなものなのじゃないだろうか。 先進国の驕りがいろんなところで綻びを作っていやしないだろうか。 尚、欧米各国では人質にランクがあるそうだ。日本政府にも似たような ランク付けがあるのかしらね。フリージャーナリストは見殺しらしいが。
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この手の、社会問題を取り上げる著書は久しぶりに読んだが、脳天をガチコンとハンマーで殴られたような衝撃を受けた。直近では、後藤健二氏の事件の時に注目を集めたが、誘拐事件がこんなに凄惨なものとなり、急増していることは知らなかった。 そして、各国の対応もこれまた衝撃である。 「人道...
この手の、社会問題を取り上げる著書は久しぶりに読んだが、脳天をガチコンとハンマーで殴られたような衝撃を受けた。直近では、後藤健二氏の事件の時に注目を集めたが、誘拐事件がこんなに凄惨なものとなり、急増していることは知らなかった。 そして、各国の対応もこれまた衝撃である。 「人道支援組織の中には人間の命に値段を付けることを拒否するところもあるが、実際には誰もがそうしている。家族も、企業も、政府も、そしてもちろん誘拐組織も、である。身代金を払う国の中で、自分で交渉して自分で払うと言い張ることで悪名高いのは、イタリア、ドイツ、フランス、スペインなどだ。これらの国は、2003年以来、頻発する誘拐に自前で対応してきた。これまでのところ最も多額の身代金を払っているのは、イタリアである。この15年ほどの間に大量のイタリア人が誘拐されていることは、これで説明がつく。」 誘拐された立場に立てば、このような対応を求めたくなるが、このような身代金がさらに次の誘拐を誘発している事実を重く受け止める必要があるし、このような巨額な金額あれば、もっと多くの人を救えるかもしれない。 「あの身代金があったら、どれだけのことができたか、考えてみてほしい。学校だって、建てることができたはずだ。…学校や病院に投じられるはずだったお金は、イラクの犯罪者たちの懐に入ってしまった。」 誘拐される多くの若者が無謀が故であることも問題である。 「彼らは助けたいと願っている。何が起きているか、世界に知らせたいと望んでいる。そのことに全身全霊を捧げ、紛争のできるだけ近くにいることが人道支援活動家やジャーナリストになる近道だと信じている。だがそれはまちがいだ。誰も彼らのような人間を雇いたいとは思わない。彼らには何のスキルもないからだ。率直に言って、そういう人間を雇えば、他の人にまで危険がおよぶことになる。人道支援活動家になるのは、善意があればいいというものではない。人道支援はタフな仕事だ。大学で勉強し、専門的な訓練を受け、経験を積まななければならない。ある日決意して中東へ行けばなれる、というものではないのだ」
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メディア情報をいかに高度な技術で検証しようとも、しょせん我々は中東諸問題の上辺しか見れていないし、本質を理解することはできない。難民から搾取するために斡旋業者と国家がグルになる。オークションのように吊り上った身代金は、犯罪者の街を潤すばかりか流通する貨幣すらも変えてしまう。ジャー...
メディア情報をいかに高度な技術で検証しようとも、しょせん我々は中東諸問題の上辺しか見れていないし、本質を理解することはできない。難民から搾取するために斡旋業者と国家がグルになる。オークションのように吊り上った身代金は、犯罪者の街を潤すばかりか流通する貨幣すらも変えてしまう。ジャーナリストにとって同志だと思われていた反政府組織が、金のために簡単に寝返る。想像するのも悍ましいぐらいだが、これが中東諸問題の実態なのである。冷戦が終わり、グローバリゼーションがもたらした世界を著者は「新世界無秩序」と表現する。海賊で悩むソマリアも、イスラム国のテロによる被害者も、シリア政府に弾圧されている人々も、人道支援や心情的応援はまったくありがたいと思わず、唯一忠誠を誓うのは「金」だけ。それを理解していない、正義感というエゴに取りつかれた「勘違いジャーナリスト」「勘違い人道支援者」が、犯罪者マーケットを潤すために、今日も中東を目指して飛び立つ。
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無政府状態で様々な組織が群雄割拠、欧州政府が巨額の身代金を払うため、食料や武器を買う金を得るために誘拐する。地域経済が海賊で回るソマリア。誘拐組織のしくみを難民の密入国輸送に転用、より容易に多くを稼ぐようになった。 グローバル化で世界のどこへでも安心して旅行できる、そんな状況が...
無政府状態で様々な組織が群雄割拠、欧州政府が巨額の身代金を払うため、食料や武器を買う金を得るために誘拐する。地域経済が海賊で回るソマリア。誘拐組織のしくみを難民の密入国輸送に転用、より容易に多くを稼ぐようになった。 グローバル化で世界のどこへでも安心して旅行できる、そんな状況がなくなっていることがわかりました。なぜ一般人や要人でなく人道支援家やジャーナリストがターゲットにされるのかも。
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「パイナップルアーミー」「MASTERキートン」で描かれた、世界のテロ・誘拐情勢をアップデートするのに適している。 資本主義に「人命は地球より重い」というスローガンが合わされば、必然的に生まれる、営利誘拐というビジネス。対するには「メメント・モリ」への意識転換が必要か。テロリスト...
「パイナップルアーミー」「MASTERキートン」で描かれた、世界のテロ・誘拐情勢をアップデートするのに適している。 資本主義に「人命は地球より重い」というスローガンが合わされば、必然的に生まれる、営利誘拐というビジネス。対するには「メメント・モリ」への意識転換が必要か。テロリストとは交渉しない(裏交渉もしない)、というのは、ダッカ事件の頃とは違い「国は助けてくれない」という認識が一般的になった日本なら出来そう。
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