ホルケウ英雄伝(上) の商品レビュー
キリスト教色強いイメージの作者だったので、少し身構えて読み始めてしまったが、途中から気にせずに読めた。主役が美形で、素朴な人柄の人物が多く好感がもてる。ただし、チキランケの辿る道がどうしてもいただけない。嫌な予感しかしないのがストレス。下巻に期待
Posted by
エミシの視点から見る古代東北史。 まつろわぬ人と言われ、結局討伐されて歴史の中に消えていったエミシ。 そんな彼らがどうやって暮らし、どう大和朝廷に滅ぼされていったのか。 扉の後の地図は、北はケセ(気仙沼)から南はミヤンキ(宮城)平野まで。 ウォーシカは(牡鹿)、トヨマナイは(登...
エミシの視点から見る古代東北史。 まつろわぬ人と言われ、結局討伐されて歴史の中に消えていったエミシ。 そんな彼らがどうやって暮らし、どう大和朝廷に滅ぼされていったのか。 扉の後の地図は、北はケセ(気仙沼)から南はミヤンキ(宮城)平野まで。 ウォーシカは(牡鹿)、トヨマナイは(登米)、クリパルは(栗原)ピタカムイは(日高見。 アイヌ語由来の地名も散見する東北の地だから、この辺は実にスムーズに読める。 エミシの話す言葉や風俗も、アイヌの影響が大きい。 だから、最初は読みやすかったのだけど、途中からエミシとアイヌの類似が著者の恣意的なものだとして、エミシ=アイヌなのか、たまたま近いものを借りてきたのかが気になって、少し読書の勢いが削がれてしまった。 これは下巻を読めば納得がいくのだろうか。 初めて生まれ故郷のケセから出て、諸国遍歴の旅に出たばかりの若者マサリキンと、ひょんなことから知り合った美少女チキランケの恋。 すれ違いばかりの恋。 そして物語の骨子であるエミシの反乱。 これについては結末を知っているだけに、この結果が二人の恋にどのような影響を与えるのか。 神の前には誰もが平等で、必要なものは必要な分だけ神様から頂く。 困った人がいれば当然手を貸し、人を出し抜くことを知らないエミシ。 帝のもと、誰もが身分を決められ、下のものを搾り取って上の身分を手に入れなければならないウェイサンペの世界は文明社会と言われる。 人は嘘をつき、隣人を出し抜き、心の余裕を失っていく。 ストーリーとは関係ないが、ウェイサンペの人々は、今の人が「はひふへほ」と発音するところを「ぱぴぷぺぽ」と発音する。 これは歴史的に正しくて、知識としては知っていたけど、大国が「オポクニ」と呼ばれ、オホタラシヒコは「オポタラシピコ」と呼ばれているのを読むと、ああそうだったのか…とわかる。 ストーリーは単純なんだけど、それだけに終わらない面白さがあって、ぐいぐい読める。
Posted by
- 1