円空と木喰 の商品レビュー
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2016.12―読了 円空が遺したさまざまな「善財童子」像の多くは自刻像であろうとされている。所謂、木彫による自画像という訳だ。その円空の自刻像について、五来重は 「自画像や自刻像をつくる芸術家は少なくない。しかし山伏修験、あるいは遊行聖の自刻像は、芸術家のそれとまったく異質な動機から出ている。それは自己顕示のためではなく、衆生救済の誓願のために作るのである。 禅宗では一休のように自画像を描くこともあるが、多くは授法のために、自分の肖像画を頂相-ちんぞう-として、画家または画僧に描かせる。これも仏相単伝の禅を人格として表現するのである。 山伏修験は自己を大日如来と同体化して、即身成仏を表現する。また自らの誓願を具象化するために、自刻像を残すのである。この自刻像を自分の肉体そのもので作ったのが、羽黒山に多い「即身仏」、すなわちミイラである。 それは自己を拝する者には諸願をかなえ、諸病を癒そう、との誓願を具象化したものである。円空はミイラを残さずに自刻像を残したのであり、「入定」によって誓願を果たそうとした。円空の自刻像は「入定」とまったくひとつづきの信仰であった。飛騨の千光寺の円空自刻像が、「おびんづるさん」として、撫でた部位の病を癒すと信じられたのも、このような信仰から理解されるのである。」と。
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