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ビジネスエリートの新論語 の商品レビュー

3.4

38件のお客様レビュー

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2017/03/14

やっぱり司馬遼太郎さんはすごい。 1つ1つの言葉に意味がちゃんと込められていて、そこから紡ぎ出される文章がなんて深いんだろう。 60年前に書かれた本とは思えないほど、現代でも通用するところが多いし、歴史を感じることもできる。 文章で生活して行ける人は、本当にすごいと改めて思わされ...

やっぱり司馬遼太郎さんはすごい。 1つ1つの言葉に意味がちゃんと込められていて、そこから紡ぎ出される文章がなんて深いんだろう。 60年前に書かれた本とは思えないほど、現代でも通用するところが多いし、歴史を感じることもできる。 文章で生活して行ける人は、本当にすごいと改めて思わされた。

Posted byブクログ

2023/11/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

鍍金(めっき)を金に通用させようとする切ない工面より、真鍮を真鍮で通して真鍮相当の侮蔑を我慢するほうが楽である。〈夏目漱石〉  ずいぶんと人を食ったコトバである。こうクソミソにコナしつけては実もフタもないが、真鍮は真鍮なりの光がある。その光の尊さをみつけた人が、平安期の名僧最澄でだった。「一隅ヲ照ラス者、コレ国宝ナリ」 「私は科学的なものでなければ信頼する気になれませんわ。一ダース位の重宝な格言を準備して置いて、それを世渡りのいろんなポイントに使い分けして、したり顔に暮らしている世間のエライ人達を観ていると、気が遠くなりますわ。あんな瘡蓋のような思想が社会の表面を被うている限り、我々の人生は何時まで経っても明るくも正しくもならないのだ――、貴方はそうお感じになりませんか?」  橋本先生の思想的な立場をはっきりしておく必要がある、彼女は、マルキストである。それも、今日のそれではなく、昭和八年ごろのそれ、女子大を出て間もなくといった、当時としては尖端的なインテリ女性像というニュアンスがその思想にある。彼女は、マルクス・レーニズムによる社会科学が、人間と社会を“整然”と分析でき、まちがいなく救済できる唯一万能のものだとかたく信じている。徹頭徹尾、自分を社会主義的人間に仕立て上げていく以外、生存の目標をもっていない理知的でしかも戦闘的な女性である。  当然、格言などというマヤカシの存在を憎悪するわけだ。また、問題を深部まで分析、批判せずに、そういうマヤカシだけでイナしてゆく生き方をを憎悪するのである。  こういう、息の短い、歯ギシリ噛んだ態度には、健康な生活感情は、多少の反発を感ずる。また、大ナタでたち割るように、古い格言文化に対する粗大な否定の仕方は、いろんな意味でデリカシィに富み始めた今日のコミュニストなら、もはや採らないはずだが、かといって、橋本先生の言葉に含まれている本当なものは否定できないのである。 〈中略〉が、たいていの場合、格言ずきな人達は、ちょうど新聞記事に見出しをつけるような調子で、事態に似合った格言を抽出しのなかからぬきだして問題の上に貼り付け追求への努力を省略してしまう癖はないだろうか。  金言や、格言が、ある努力に対する推進力になったり、問題解明へのイトグチを作る発想の動機になったりする作用は、けっして見のがすことはできない。それでこそ、ルナールも「うまい言葉の一言は、悪い本の一冊にまさる」という格言の“格言”をのこしているのだし、ニーチェですら「立派な箴言は、文学における大いなる逆説であり、変化し行くものの中で不滅のものであり、ちょうど塩のように常に尊重されて不変の、利かなくなることのない食物である」といっているのだ。  戒心すべきことは、これらを人生に応用する態度の問題である。金言を、念仏や呪文のように自己催眠や自己弁解のために使用するとなれば、いかにすぐれた真理をふくんでいるにせよ、それは麻酔薬にすぎないのである。

Posted byブクログ

2017/02/12

60年以上前に執筆された文章であるにも関わらず、現代にも通じてしまうという、日本社会に対して一種残念さを感じてしまう名著。 後半部分の記者としての体験や記者になるまでの話は、まるで物語のような面白さです。

Posted byブクログ

2017/02/18

司馬遼太郎が昭和30年に出したサラリーマンについてのエッセイ。当時は福田定一という本名名義だったとか。歴史上の名言を一言上げた後、サラリーマンに関する考察を述べる形式の前半が主。後半に自身が新聞記者になるまでの経緯を同僚・先輩に絡めての話を掲載。後に日本史を中心にした歴史小説の大...

司馬遼太郎が昭和30年に出したサラリーマンについてのエッセイ。当時は福田定一という本名名義だったとか。歴史上の名言を一言上げた後、サラリーマンに関する考察を述べる形式の前半が主。後半に自身が新聞記者になるまでの経緯を同僚・先輩に絡めての話を掲載。後に日本史を中心にした歴史小説の大家になった人だが、出てくる名言はむしろ西洋の名句か当時の近現代のそれらばかり。彼の教養がいかに凄いか驚かされる。またさらにサラリーマンに関する諸考察は2017年現在においても思い当たるものばかりで全く色褪せない。短い彼のサラリーマン生活は苦悩であり、そこから出てきたものだという。そう。サラリーマンは実力のそれより運か運命に翻弄される。そんな人ばかりなんだろうと思った。

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2017/02/04

博覧強記な司馬さんらしく、角界の先人の言葉をサラリーマンのために書き綴った新書です。 若かりし頃の福田定一さんの文章という感じが出ていて、愉快に読めました。 また、戦後の経済発展時期のサラリーマン社会から、現代の不安定雇用の時代におけるサラリーマンを取り巻く環境は激変していますが...

博覧強記な司馬さんらしく、角界の先人の言葉をサラリーマンのために書き綴った新書です。 若かりし頃の福田定一さんの文章という感じが出ていて、愉快に読めました。 また、戦後の経済発展時期のサラリーマン社会から、現代の不安定雇用の時代におけるサラリーマンを取り巻く環境は激変していますが、サラリーマンという範疇に身を置くものとしては、読んでおいて損はない本です。 また、家庭を持つこととは、戦後の社会的環境はこれまた、激変しておりまして、男女雇用機会均等法時代の夫・妻に身を置く人間としては、びっくりするような記述もありますが、人間長らく生きるということは楽しいことであります。

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2017/01/29

初めての司馬遼太郎。 独特の言い回しに初めは慣れなかったけれど、よくよく読んでいくと挙げられている例は面白いし、ご自身の中でたくさん考えられた上で練られて、得られた答えが随所に散りばめられていて、それが素直にわたしの中に入ってくる文章だった。 日頃考えていること(何が幸せか?サラ...

初めての司馬遼太郎。 独特の言い回しに初めは慣れなかったけれど、よくよく読んでいくと挙げられている例は面白いし、ご自身の中でたくさん考えられた上で練られて、得られた答えが随所に散りばめられていて、それが素直にわたしの中に入ってくる文章だった。 日頃考えていること(何が幸せか?サラリーウーマンとして、どういうキャリアを描くか?とか)に答えになるヒントを与えてくれる本だった。

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2017/01/29

司馬遼太郎氏が新聞記者であったころに本名で昭和30年 ごろに書いた内容だそうです。 少し古めいたところは多くありますが、会社員として わからなくはないと思う部分もあります。 また、時代の移り変わりもやっぱり見てとれて、 今の時代には起こりえないであろうことも書かれてあります。 と...

司馬遼太郎氏が新聞記者であったころに本名で昭和30年 ごろに書いた内容だそうです。 少し古めいたところは多くありますが、会社員として わからなくはないと思う部分もあります。 また、時代の移り変わりもやっぱり見てとれて、 今の時代には起こりえないであろうことも書かれてあります。 とはいえ日本も会社員も会社も、社会もすくなくとも 進歩しているのでしょう。 第2部の『二人の老サラリーマン』『あるサラリーマン 記者』の2作は面白かったと思います。

Posted byブクログ

2017/01/24

期待外れ。司馬遼太郎観が変わってしまいそう。正直言って、単に世相を皮肉っているだけの文章にしか感じられない。

Posted byブクログ

2017/01/22

論語云々というより,日々のサラリーマン生活の中で感じる事柄を,過去の言い回しを用いてエッセイ風に仕上げた日記のように読める.今はもう出会えない歯に衣着せぬ文体は,為人が漂ってきて逆に心地よい.

Posted byブクログ

2017/01/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

司馬遼太郎が文字通りサラリーマンの時、サラリーマンの立場で書いた作品。非常に示唆に富んでおり、感心させられる。思わず、その通りと、一人相づちを打ってしまう。

Posted byブクログ