わたしたちの猫 の商品レビュー
愛というより恋の詩がたくさんだなあと思っていたら、後書きで答え合わせが出来ました。 今の私からすると少し若くて眩しい感情が詰まっていて、どうしても他人事のような感じがぬぐえなかった。 恋という感情がそもそもあんまり自分事ではないような人生だからかもしれないけど…。 特に片思いの...
愛というより恋の詩がたくさんだなあと思っていたら、後書きで答え合わせが出来ました。 今の私からすると少し若くて眩しい感情が詰まっていて、どうしても他人事のような感じがぬぐえなかった。 恋という感情がそもそもあんまり自分事ではないような人生だからかもしれないけど…。 特に片思いの、苦しさや執着や期待や寂しさを感じるものが多かった。 共感というか共鳴というか、心に響くものが経験の少なさ故にあまりなかったのが残念。 猫の詩集なのかなとタイトルだけを見て手に取ったので思ったのとは正直違ったけど…。 表題の「わたしたちの猫」が1番よかったし、その他にも好きなフレーズはいくつもあった。 ピンクの紙にグレーのスピンが可愛い。 ------- 本物の猫をこわごわと抱いたとき、 その身体のあたたかさに わたしは許された心地がした。 幸福のかたちを思いあぐねて わたしたち、ねじれてしまった。 はじまることが苦手な人は 春にくじけていくものだ。 君は出会ったときから なつかしい人だ。
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恋にまつわる詩集。 猫をモチーフにした詩が多く、心を猫に喩えたり、傘に喩えたり、象徴的な表現が多くて面白い。 ふつうに読んでいても意味が分かりにくいぶん、じっくり読む必要があるのもいい。 ただ、意味がわからなくても「いまこの詩の中の二人はうまくいっていないんだな」とか、状況はちゃ...
恋にまつわる詩集。 猫をモチーフにした詩が多く、心を猫に喩えたり、傘に喩えたり、象徴的な表現が多くて面白い。 ふつうに読んでいても意味が分かりにくいぶん、じっくり読む必要があるのもいい。 ただ、意味がわからなくても「いまこの詩の中の二人はうまくいっていないんだな」とか、状況はちゃんと伝わる。 恋の歌って、恋をしているかしていないか、もしくは恋に焦がれているかいないかによって響き方が全く違うよね。 それは友情とか親子愛とかでも同じかもしれないけれど…。 誰かを恋しく思う状態って流れがあるからなぁ。 文月さんの比喩表現は、いつも繊細だし、読んでいるとギュッと寂しい気持ちにもなる。 一人でいたくないのに、どうしようもなく一人であることを抱えている感じ。 特にこの詩集は恋愛、それも片思いを表現した詩集だと思うので、読んでいると思春期の頃の不安定だった自分を思い出す。 思春期のころは恋なんてしてないんだけど、自分のことを必要以上に感じ取っていた時期。 「誰のものにもなれなくて/人はみんな迷い猫だ」 「はじまることが苦手な人は/春にくじけていくものだ」ってフレーズは、今の私自身にも当てはまって、自分は寂しがりなんだな…と気付かされる。 恋の歌でもあるけれど、人とのつながりに対して、なんらかの不安を抱える人にとって、「ああ、私の中にある寂しさとか不安の正体ってこれかも…」と思うかもしれない。
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もう、干からびているからか、恋の詩は全く響かない。恋の詩集と知っていたら、買わなかったろうに。。 清原伽耶さんのInstagramに載ってたので、すぐ買って読みました。というか、パラパラかな。入り込めない。 こんなにも「あとがき」に共感したのは初めてで… by 清原さん ...
もう、干からびているからか、恋の詩は全く響かない。恋の詩集と知っていたら、買わなかったろうに。。 清原伽耶さんのInstagramに載ってたので、すぐ買って読みました。というか、パラパラかな。入り込めない。 こんなにも「あとがき」に共感したのは初めてで… by 清原さん あとがきは、よかったなあ。
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きれいな装丁にひとめぼれ。 どの言葉も好きだけど、女の子という名のわたし が特に響く。 雨宮まみさんの書き下ろしエッセイもよかった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
文月悠光さんの詩集は第一詩集も第二詩集も拝読したのですが、あまりにも感性が若い時にかかれたものであるせいか(第一詩集は14歳から17歳の時に書かれ、中原中也賞を受賞されています)それとも、私の感性がにぶいのか、とても難しくかんじました。 この2016年に出版された、19歳から5年間のあいだに綴られた「恋にまつわる詩」を集めたというこの詩集は平易で、たいへん読みやすかったです。 一番最後のページに載っている「物語の恋人」は、物語の主人公に恋をしているのでしょうか。それとも読書の好きな恋人がいるのか、物語を書く恋人なのかよくわからないのですが、本に関する恋の詩なので、ブクログにふさわしいと思ったので紹介します。 「物語の恋人」 読みたいから会いにいく。 走り出すバスの中、 本を開いて冬をはじめる。 なつかしい冒頭の鮮やかさ。 彼のまるい背中が、一冊の本に綴じていく。 わたしの好きな人は皆、物語を生きる。 いつだってペンを片手に 次のページへ息吹を傾ける。 この本のどこか、 ふたりで見た雪のことも記されるのだ。 文字はしんしんと 手のなかに降り落ちていく。 (一行一行に線を引きながら、その人はかなしいことを飲み込もうとしていた。蒸発する雪たちの痛みが打ち寄せて、手袋のなかひっそりと、ゆびさきが割れた。余白を分けてください。あたたかな息を吹き込んでください。きみにもらったことばでわたし新たに語り継ぐから) かつての恋人たちのくせが乗り移ったまま、 冬の車窓に白く残されている。 物語りの終わりに付された「。」のように 消しがたく、在る。 その一行の集積で わたしは城を築くだろう。 あまたの「。」を踏み切って 気高い冬の白線を去る。 「愛は比べようもなく」「ばらの花」「主人公」「耳のはばたき」「迷い猫」もよくわかる気がしました。 あと、巻頭の序文の題名のない詩。 とても淋しい詩だと思いました。 泣けました。 あなたが誰かのものになっていく。 触れることもせず、 祈るように見つめるわたし。 彼らの暮らす水槽は あまりに澄んでいたから。
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付き合ってはじめてのクリスマス、何がほしいかきかれ、この詩集を選んでプレゼントしてもらいました。心が弱っているとき、どうしようもなく不安なとき、寝る前にゆっくり読むと、ふしぎと穏やかな気持ちで眠れます。この詩には、人の心を落ち着かせる力があります。
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恋と言って 「恋」と言った途端 過ぎていく 余韻 鯉を見た時 「鯉」と口に出したら もう 揺れる水面と 赤い尾が 流れていく その輪郭を なぞるだけの 確かな恋を 私は知らない 触れられないものを 言葉で描き出せるという 不思議を 奇跡のように思う 知らな...
恋と言って 「恋」と言った途端 過ぎていく 余韻 鯉を見た時 「鯉」と口に出したら もう 揺れる水面と 赤い尾が 流れていく その輪郭を なぞるだけの 確かな恋を 私は知らない 触れられないものを 言葉で描き出せるという 不思議を 奇跡のように思う 知らないものに 触れても 分かったことにはならない その 遠すぎる 隔たりを 言葉が 超えていく 空に憧れた 手を 伸ばしても 触れられない月と重なる その一瞬は恋に似て ――あぁ… だから私は 言葉に恋をしたのだと 思った
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最年少受賞詩人、天才少女詩人と紹介され注目を浴びて、恋よりも早くザルツブルクの塩坑ならずもゲンダイシの詩坑で、ダイヤモンドの小枝を手にした詩人は、どうやら生身の恋は奥手に見える。(宮尾節子)
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デビュー作よりは落ち着いて読めました。普通に年を経て少し成熟した文月さんに会えます。「洗礼ダイアリー」もよかったし、さらに期待が膨らみます。
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装丁がうつくしいので購入した。表紙が千代紙のような和紙のようなざらついた質感で、見返しは真っ青なタント紙?で、本文用紙もやわらかーい桜色の用紙。さすが名久井さん。 恋にまつわる詩集だが、恋に積極的でない人におすすめしたい本である。著者も言うように恋を「自分とは遠いパラレルワール...
装丁がうつくしいので購入した。表紙が千代紙のような和紙のようなざらついた質感で、見返しは真っ青なタント紙?で、本文用紙もやわらかーい桜色の用紙。さすが名久井さん。 恋にまつわる詩集だが、恋に積極的でない人におすすめしたい本である。著者も言うように恋を「自分とは遠いパラレルワールドで起こっている出来事」のように考えがちな人に。 言葉選びがやさしくて上品。ひらがな言葉が多いので読みやすい。よくわるくもクセのない人だなという印象だった。 「雨が降ったら迎えにいくよ。 傘はきみに持ってもらおう」 ここが可愛くてすきだった。
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