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有馬敲詩集 の商品レビュー

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2026/02/16

有馬敲さんの詩集ですね。 思潮社の現代詩文庫です。  有馬敲さんの詩は、ユーモラスでありながら辛辣で時代を反映したぼやき節でもあり、フォークソングでも歌われているほど馴染みやすいです。  ノンセンスとも称されて、多彩な文芸家ですね。        「橋上」  雑踏を抜けて  ...

有馬敲さんの詩集ですね。 思潮社の現代詩文庫です。  有馬敲さんの詩は、ユーモラスでありながら辛辣で時代を反映したぼやき節でもあり、フォークソングでも歌われているほど馴染みやすいです。  ノンセンスとも称されて、多彩な文芸家ですね。        「橋上」  雑踏を抜けて  ふと立ち止まる。  川面から吹き上げてくる  もうろうとした水蒸気のかなたで  対岸の崩れかけた、石垣の街が、  蜃気楼のようにかすんでいる。  長いコンクリートの橋、ーーこれを  越えて、おれの求めていく場所は  肉親の朽ちた家か、  まだ踏まない土地の女の棲み家か。  放射状にレールぎ分散する  ターミナルの駅に出たら  いずれの方角をえらんでもよいが、  欄干にもたれ、空を仰ぐと  夕暮れでもなく、夜明けでもない  あやしげな雲行だ。河風が  冷たく 頬をなぶる。なぶられながら  おれは、通り越してきた街と  これからでかける街について考える。  ーーいつか門出にも  こんな、ちっぽけな自由の時間があったっけ。  濡れたオーバーの襟を立てて  おれはふたたび歩きだす。  目の前には、コンクリートの橋が  薄明のなかにまっすぐ、伸びている。      「クノックスの謎」  紀元前の空の青の下で  六十歳過ぎのぼくはきわめて卑小な存在だ  眼の前のクリティ海が日の光を反射して  オリーブ畠の緑の茂みがまぶしく輝き  斜面の土の中に埋もれた古い王宮は  堀りかえされて 巨大な壺を残したまま  神でも英雄の裔でもないアジアの小男が  見えないアリアドネの糸の先を探している      「いちょうしぐれ」  そのときや  なにごとかいなと思うた  ふいに黄色いもんがぎょうさん  折からのきつい風に吹かれて  空から舞い降りてきたんや  快速バスが賀茂大橋を過ぎて  百万遍にむかって走っとるとき  窓のそとをよう見たら  目の前のいちょう並木から  黄葉がしぐれになって散っていくやんか  ーーこのあたりは  湯川秀樹博士はじめ  ノーベル賞学者を出した京都大学が………  そとの風景に見とれとると  乗客に案内する若い女の声までが  黄色う聞こえきてな  季節はずれの黄砂とちごうて  なんともいえん ええ気分やった  デカダンで歯切れのいい親しみやすい楽しい詩人さんなので愉快に味わいました(=゚ω゚=)  

Posted byブクログ