夜の庭師 の商品レビュー
ディズニー映画化が決まっているそうですが、いつでしょうね(2016年の初版の帯に記載)。 カナダ図書館協会児童図書賞・TDカナダ児童書賞受賞作。416頁なので、児童書としては長め。 ゴーストストーリーですが、ゴーストは子供たちの成長を描く道具立てとしては恐ろしすぎて、ハラハラド...
ディズニー映画化が決まっているそうですが、いつでしょうね(2016年の初版の帯に記載)。 カナダ図書館協会児童図書賞・TDカナダ児童書賞受賞作。416頁なので、児童書としては長め。 ゴーストストーリーですが、ゴーストは子供たちの成長を描く道具立てとしては恐ろしすぎて、ハラハラドキドキしましたが、ラストはいい終わり方でした。登場人物が少なく、キャラの個性がわかりやすくて読みやすいです。大人が読んでも楽しめる名作だと思います。 巻末の「著者ノート」に、最大のインスピレーションを与えてくれたのは、レイ・ブラッドベリ『何かが道をやってくる』を父が声を出して読んでくれて、心底震えあがって悪夢を見たと書いてありました(未読なので、この後に読んでみます)。この『夜の庭師』も、親に読んでもらったら同じような感想を持つ子供がいるかも知れないですね。 あとは、これ以上書くとネタバレになるので、ざっくりとしたあらすじだけ以下に。 海を越え、イングランドにやってきたアイルランドの姉弟。嵐で親と離ればなれになり、生きるために都会で仕事を探すも見つからず、ようやく見つけた仕事は田舎の屋敷での使用人。14歳の姉は、物語を語る才能があり、11歳の弟は生まれつき左足が不自由でしたが、庭仕事が得意でした。 その二人が手に入れた馬車で屋敷に向かう途中、道を訪ねた人々は口々に不吉なことを言ったあとに口をつぐみ、何も教えてくれません。そんな中、道中で出会った語り部の老婆が、噂話とともに道を教えてくれます。しかし、たどり着いたのは、不気味な巨木がめりこんだ古ぼけた屋敷。 そこに住んでいたのは、青白い顔をした夫婦と子供ふたりのウィンザー一家。この屋敷には恐ろしい秘密が隠されており、次第にふたりは翻弄されていきます… ※読むに当たって、アイルランドの「ジャガイモ飢饉」について調べておくと物語に入りやすいかもしれません。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『人の心の弱さと共に成長する大木を愛でる夜の庭師』 森の奥の大木に取り込まれた屋敷。 夜中に徘徊する男の影。 そんなお化け屋敷のような家に奉公することになった姉弟。 どことなくジメジメと暗い雰囲気の中… ファンタジーというよりはホラー寄りのファンタジー…かな?
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親を失った姉弟、巨木に抱かれた館、青白い顔の家族、語り部、夜に響く怪しい足音、緑の扉の部屋、願いを叶えてくれる木、勇気という名の松葉杖、打ち明けられない秘密、そして訪れる夜の庭師。 様々な要素に心捕まれ引きずり込まれる。
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何、この傑作!出だしからディズニー映画の映像が眼に浮かぶ。イングランドにたどり着いた姉弟のモリーとキップはようやく雇ってくれる森の中の屋敷を見つけた。天性の語り部モリーと足の悪いキップ。一癖も二癖もあるウインザー家の人々。そして夜になると不気味な足音を立てて夜の庭師がやって来る。...
何、この傑作!出だしからディズニー映画の映像が眼に浮かぶ。イングランドにたどり着いた姉弟のモリーとキップはようやく雇ってくれる森の中の屋敷を見つけた。天性の語り部モリーと足の悪いキップ。一癖も二癖もあるウインザー家の人々。そして夜になると不気味な足音を立てて夜の庭師がやって来る。なんと魅力的な登場人物たち。両親がいなくても健気に召使いとして働く2人と謎めいた屋敷の秘密、そしてゴースト。すべてが明かされると最終章は児童書らしからぬサスペンスアクションのような急展開は血だらけで人がわんさと死んでいく。それでもラストはハリウッド映画のように、そして希望へ。娘が幼い頃に枕元で読んでやりたかった
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ホラーファンタジーを題材とし、人としての生き様を考える。巨木を覆い隠すように屋敷が建っており家族四人暮らし。そこに孤児の姉弟が奉公に来る。既にその屋敷が薄気味悪いのはご近所で評判。巨木は人の願いを叶える代わりに「魂」(=生体エネルギー)を吸い取る。抜け殻みたいになったら木の下に埋...
ホラーファンタジーを題材とし、人としての生き様を考える。巨木を覆い隠すように屋敷が建っており家族四人暮らし。そこに孤児の姉弟が奉公に来る。既にその屋敷が薄気味悪いのはご近所で評判。巨木は人の願いを叶える代わりに「魂」(=生体エネルギー)を吸い取る。抜け殻みたいになったら木の下に埋められる。もう家族は駄目だ。よくない、と思っていても抜けられない。使用人2人は「これは邪悪」と本能で感じ取り、巨木の思い通りにはされない。スマホゾンビ共も巨木という名ではない何か巨大で邪悪な物に飲み干されればいいのさ。
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両親を失ったモリーとキップの姉弟はイングランドの巨木に取り込まれたようなお屋敷にメイドと庭師として雇われる。借金の取り立てに苦しむ主人、冷ややかに見つめる奥様、お菓子ばかりを食べて太っている息子、甘えん坊でお話が大好きな妹。そして、夜になると歩き回る謎の男。 日に日に不健康になっ...
両親を失ったモリーとキップの姉弟はイングランドの巨木に取り込まれたようなお屋敷にメイドと庭師として雇われる。借金の取り立てに苦しむ主人、冷ややかに見つめる奥様、お菓子ばかりを食べて太っている息子、甘えん坊でお話が大好きな妹。そして、夜になると歩き回る謎の男。 日に日に不健康になっていく主人一家。怪しい夜の男の正体は? お話が得意なモリーと、片足の不自由なキップが、知恵と勇気で主人一家を救う。読んでいて、先が気になりどんどん読みすすんでしまった。 映画化が決まっているというが、うまく映像化してもらいたい。
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ゴシックホラー風味の児童文学。 健気な姉弟が働くことになったお屋敷では‥? 19世紀アイルランドでは飢饉が起こり、食べるにも困った国民は、生き延びるために、多くが移住するしかなくなります。 船で親とはぐれた14歳のモリーは弟キップと共に、命からがらイングランドにたどり着きました...
ゴシックホラー風味の児童文学。 健気な姉弟が働くことになったお屋敷では‥? 19世紀アイルランドでは飢饉が起こり、食べるにも困った国民は、生き延びるために、多くが移住するしかなくなります。 船で親とはぐれた14歳のモリーは弟キップと共に、命からがらイングランドにたどり着きました。 やっと見つけた仕事は、町外れのお屋敷のメイドと庭師。 出会う人はみな止めたのですが。 そこには異様な巨木が家を取り込むかのようにそびえ、夜には庭を動く何者かの気配が‥ 奥様と子どもたちは青白く、留守がちな旦那様はなにかのトラブルを抱えている様子。 キップに言えない秘密を抱えたモリーは、お屋敷の謎に関わり、思わぬことに。 弟思いでしっかり者の姉と、ぼんやりしているようでいろいろなことをちゃんと見ている幼い弟。 二人の成長譚でもあります。 ホラーっぽいので夏向きかと。 本当に怖いのは苦手ですが、児童文学風味のこれぐらいなら大丈夫(笑) 子どもたちの生命力に救われます☆
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1800年代のイングランドのお屋敷を舞台にした、少しホラーなファンタジー。ホーンデットマンションのような… 細かく区切られた表題で、字が細かいわりには読みやすかった。 登場人物が少なめで関係性もシンプルだったから外国名でもすんなりはいってきたのもよかった。 アイルランドと英国の歴...
1800年代のイングランドのお屋敷を舞台にした、少しホラーなファンタジー。ホーンデットマンションのような… 細かく区切られた表題で、字が細かいわりには読みやすかった。 登場人物が少なめで関係性もシンプルだったから外国名でもすんなりはいってきたのもよかった。 アイルランドと英国の歴史、とりわけアイルランドの歴史的苦難によって、モリー達がこうならざるをえなかった状況が、最後の作者ノートでわかり、何ともやるせない気持ちに… 最後の男たちが団結しているところや、コンスタンスに人間らしい雰囲気が出てきたりとなかなかよかった。 映像化するとしたらどんな感じなんだろうと妄想しながら読んだ。きっと実写だろうな。
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故郷を離れイングランドへ辿りついたモリーとキップ姉弟。 メイドと庭師として働くことになった屋敷には、生気のない一家と夜の男。 姉弟の成長は大人になることを強いられているようにも見えて、少し痛々しい。それでも最終章のモリーが語り部として楽しそうで本当に良かった。 これだけ児童文学の...
故郷を離れイングランドへ辿りついたモリーとキップ姉弟。 メイドと庭師として働くことになった屋敷には、生気のない一家と夜の男。 姉弟の成長は大人になることを強いられているようにも見えて、少し痛々しい。それでも最終章のモリーが語り部として楽しそうで本当に良かった。 これだけ児童文学の王道な作品を、いきなり創元推理文庫で刊行してるのにちょっと驚いた。岩波少年文庫あたりで読んだ懐かしい感覚。 見落としてるだけでハードカバーも出てるのかな。 ホラー要素強めなんだけど、恐怖より不思議さの方が印象に残った。 ホラーファンタジー、かな。
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ホラーテイストのファンタジーで、思春期の子どもが主人公で、その子どもの成長物語でもある、っていうのが欧米の児童文学で流行っているのか? 先日読んだ『ゴーストハウス』もそうだったし。共通してるのはいかにも映像化されそうな舞台設定と展開、不安定な家族、主人公(の一人)が体が不自由で恵...
ホラーテイストのファンタジーで、思春期の子どもが主人公で、その子どもの成長物語でもある、っていうのが欧米の児童文学で流行っているのか? 先日読んだ『ゴーストハウス』もそうだったし。共通してるのはいかにも映像化されそうな舞台設定と展開、不安定な家族、主人公(の一人)が体が不自由で恵まれない境遇にある、悪者のゴーストが不死身(まあ、ゴーストだから当たり前と言えば当たり前だけど)、など。 で、どちらも読んで大して面白くもなく、映像を見れば十分という点も共通している。 なんか、いかにも作られた感じの話なんだな。こうすると劇的でしょ、怖いでしょ、みたいな。 こういう物語はウェストールの『かかし』あたりが最初ではないかと思うけど、ウェストールがいかに才能があったかが、こういう物語を読むとよくわかる。他ではダウドとネスの『怪物はささやく』も良かった。そういう単にホラーファンタジーに終わらない深さのある物語とどこが違うかというと、やっぱり人物造形と心理描写ではないかと思う。 この主人公の姉弟は親と別れて貧困にあえいでいるわけだし、姉は機転の利く利発な娘なのだが、ウェストールやネスの主人公たちのように、読者が身を切られるような切なさ辛さを感じることはない。たとえばこの姉がもう少しシニカルであったり、弟が内省的であったりすれば物語に深みが増したのではないかという気もするが、そもそものホラー描写がありきたりだからなあ。 ディズニーが映画化するらしいけど、巨木と一体化した屋敷や庭師の様子なんかは、ディズニーの技術力で、多分本より雰囲気も迫力も出るんじゃないかと。 これから読もうか迷っている人には、読まずに映画で大丈夫と伝えたい。
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