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経済学者日本の最貧困地域に挑む の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2019/10/27

やればできる、けれども禿げ上がるほど大変である。 という感想です。 題名で感じるより遥かに読みやすい、テンポの良い文章です。 行政の縦割りと、ごった煮状態の区民の中に入って動き回った経済学者の鈴木亘さんのお話です。 綺麗事と正統法だけでは絶対に解決しない問題を、経済学者の物の見...

やればできる、けれども禿げ上がるほど大変である。 という感想です。 題名で感じるより遥かに読みやすい、テンポの良い文章です。 行政の縦割りと、ごった煮状態の区民の中に入って動き回った経済学者の鈴木亘さんのお話です。 綺麗事と正統法だけでは絶対に解決しない問題を、経済学者の物の見方とフットワーク、広い人材からなるチームワークで、焦げを削いでいくように進んでいく改革が凄かった。 素晴らしいと思ったのは、自分達の話を正直に明かした上で、面倒な相手であってもしっかりと話を聞いて受け入れるという覚悟です。 会議が騒動屋にひっかき回されても、様々な立場の方達と揉めることになっても、ゴールに向けて包摂していくという姿勢が強く優しく堅実で確実でした。 排除し押し殺して進んでいったら、またどこかで揉めることになる。 そりゃそうだろうと思うけれど、楽で早い解決法として押し通されている事も少なくない。 自分が解決する側に回った時に、鈴木亘さんのようなやり方ができるだろうか。 胆力という言葉が浮かびます。 「理不尽な怒声を浴びせられながら進めなければならない会議」というだけで胃が痛くなる。 終わってから1冊の本になっているので読む方は 「なるほど〜、大変だったけど良かったね!」 だけれども、渦中で闘っていた方々のご心労たるや想像を絶します。 人と人、集団と集団の間を繋ぐ「ハブ人材」の重要性についての本でもあると思いました。 良いものが個別に存在しても、繋がらないと力にならない。 これから社会が良くなるためのキーの1つなんじゃないかな。

Posted byブクログ

2018/12/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

あいりん地区改革の日々が細かく臨場的に描かれていました。 テンポがよく、読みやすい一冊です。 自治体(役所)を動かすにはどうしたらよいか、地域の人を巻き込み街づくりを進めるにはどうしたらよいか、等参考になる内容が多かったです。 また、各章の最後にミニコラムがついており、経済学のミニ知識(ゲーム理論、外部不経済etc)がわかりやすく説明されているのも良かったです。 450ページ以上と分厚い本ですが楽しく読み進められました。

Posted byブクログ

2018/01/28

「改革の中身より、どう実行するかがはるかに重要である」、冒頭に挙げられたこのテーマが見事に実践されていく様を、本書を読むと体験する事が出来る。 多少自画自賛が鼻につくこともあるが、地域の人、お役人、いわゆる活動家そして政治家やマスコミの間を縦横無尽に駆け回り、事案を動かしていく...

「改革の中身より、どう実行するかがはるかに重要である」、冒頭に挙げられたこのテーマが見事に実践されていく様を、本書を読むと体験する事が出来る。 多少自画自賛が鼻につくこともあるが、地域の人、お役人、いわゆる活動家そして政治家やマスコミの間を縦横無尽に駆け回り、事案を動かしていく様は圧巻である。こうすれば、世の中動いていくのかという良いお手本である。もっとも、鈴木先生が当時の橋下市長と昵懇の間柄であったという、大きなアドバンテージは有ったが。 「社会保障亡国論」にも感心したが、鈴木先生はまだ若いし、学者で終わるのはもったいない気もする。もう少し、大きいところで、世の中の問題解決に大ナタをふるってもらいたい。

Posted byブクログ

2017/07/07

大阪市特別顧問として「西成特区構想」に携わった経済学者の鈴木亘氏の実践の記録。 臨場感のある記述で、政策の遂行ということについて、とても参考になる内容となっている。「改革の中身よりも、どう実行するかがはるかに重要である」ということをよく感じることができた。また、今後の社会にとって...

大阪市特別顧問として「西成特区構想」に携わった経済学者の鈴木亘氏の実践の記録。 臨場感のある記述で、政策の遂行ということについて、とても参考になる内容となっている。「改革の中身よりも、どう実行するかがはるかに重要である」ということをよく感じることができた。また、今後の社会にとっての「アゴラ」の重要性の指摘も興味深かった。 そして、経済学の観点から、西成特区構想に関わるエピソードを読み解くコラムが秀逸。

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2017/02/24

大阪市西成区の地域問題に経済学者が挑む 橋下市長の特別顧問という肩書きだが特に法的な権限は無い。それでも地域の人々の中に飛び込みボトムアップ型の提案をまとめ上げた。 youtubeに当時の公開討議の録画があり見た。活動家のヤジが酷い。そんな中よくまとめ上げたものだと思った。ま...

大阪市西成区の地域問題に経済学者が挑む 橋下市長の特別顧問という肩書きだが特に法的な権限は無い。それでも地域の人々の中に飛び込みボトムアップ型の提案をまとめ上げた。 youtubeに当時の公開討議の録画があり見た。活動家のヤジが酷い。そんな中よくまとめ上げたものだと思った。まさに粉骨砕身。

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2017/01/09

それにしても鈴木先生は、社会保障関連の専門家だと思ったら、こんなことまでやっていたとは驚きです。彼の年金問題の解決法等も非常に現実的でいい案だと思っていましたが、自分の理論を自分で証明してしまおうというバイタリティーとそれを本当に具現化してしまう実行力は、そのまま政治家になっても...

それにしても鈴木先生は、社会保障関連の専門家だと思ったら、こんなことまでやっていたとは驚きです。彼の年金問題の解決法等も非常に現実的でいい案だと思っていましたが、自分の理論を自分で証明してしまおうというバイタリティーとそれを本当に具現化してしまう実行力は、そのまま政治家になってもいいのではと思うほどのリーダーシップです。本の内容的には、日本の最貧困エリアである、あいりん地区の街づくりを経済学者としての視点から、実際に具現化するためのアプローチをドキュメントした本。そして街の住民含む利害関係者をしっかり巻き込んで、その道筋を作るところまでが描かれています。それもこれも橋下元大阪市長の元だからできたこととはいえ、ここまで持っていくだけでも相当の労力だったのではと思います。

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2017/01/02

「政策実行はかくあるべし。」 そう思わせてくれる本です。橋下大阪市長時代に行われた西成特区構想の特別顧問である鈴木亘学習院大学教授が行った構想の策定・まちづくり会議の組織・運営など、構想をボトムアップで行う道筋をどのようにつけていったのかを理論的(経済学的な視点も含めながら)に整...

「政策実行はかくあるべし。」 そう思わせてくれる本です。橋下大阪市長時代に行われた西成特区構想の特別顧問である鈴木亘学習院大学教授が行った構想の策定・まちづくり会議の組織・運営など、構想をボトムアップで行う道筋をどのようにつけていったのかを理論的(経済学的な視点も含めながら)に整理した「政策過程本」である。実現しなければならない政策は数多くあり、その多くの政策は政治的コストの高さ、行政的コストの高さから行われていない中で、その象徴的ともいえる大阪市が抱える西成区あいりん地域(昔のドヤ街)の再生問題をいかに取り組んできたのか、その内容がしっかりと記録されている。 少し話がずれますが、この本を読みながら和田中の元校長の藤原和博氏の講演をyoutubeで見ていたら、共通点がありました。藤原氏は「これからは情報編集力が求められており、数ある選択肢から正解を探す情報処理力はもう必要ない時代になっている」と述べていますが、まさにこの本で鈴木氏が取り組まれたのが政策分野でおける良き実例だと感じました。鈴木氏は、行政トップダウン方式では政策は実現しえないということを早い段階から気づいており、刻々と変化する住民の感情、大阪維新の会が仕掛ける政局をしっかりとキャッチアップし、その都度ごとに最適解を導き出して政策を進めていきます。言うは易し、行うは難しの「ボトムアップ型の政策実現」を見事にやり切った記録です。ぜひ自治体関係者は一読すべきだと思いました。

Posted byブクログ