冬天の昴 の商品レビュー
久しぶりに読んだ弥勒シリーズ。前作を読んでから少々間があきました。その分、新鮮さが増したように感じたのですが、いやいや、間があいたからではなく、5作目は新鮮なものだったように思います。 これまでよりも、グンと本格ミステリーになったような感じ。謎解きがとても楽しかった。木暮の語り口...
久しぶりに読んだ弥勒シリーズ。前作を読んでから少々間があきました。その分、新鮮さが増したように感じたのですが、いやいや、間があいたからではなく、5作目は新鮮なものだったように思います。 これまでよりも、グンと本格ミステリーになったような感じ。謎解きがとても楽しかった。木暮の語り口で謎が解かれていくことの快感を覚えるのです。 そして、遠野屋がもつ切なさが幾分少なくなり、なんというのでしょう、凄技を持ちながら、なんだか人間臭さが出てきたような。それは今作、木暮の動きがより注目されるようになったために、遠野屋の温かみが目だったのかもしれません。同様に伊佐治の人らしさも多く描かれているような感じがしました。木暮がホームズなら、遠野屋はワトソンか、となるのかもしれませんが、私は遠野屋はイリヤ・クリヤキンのように思えました。木暮はナポレオンソロには似ていませんが。 どうにも目が離せないシリーズです。 面白いです。 時々、この二人のセリフをつぶやいてみたくなります。
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「弥勒シリーズ」の第5弾とは知らずに最初に読んでしまった。しかし違和感なく読み切りで完結していた。冷静沈着で事件の筋を絶対外さない同心、木暮信次郎の捕物帳。女郎と武士の無理心中と思われた二つの事件が実は心中に見せかけた殺人事故ではないかと気づいたところから、数日のうちに事件を解決...
「弥勒シリーズ」の第5弾とは知らずに最初に読んでしまった。しかし違和感なく読み切りで完結していた。冷静沈着で事件の筋を絶対外さない同心、木暮信次郎の捕物帳。女郎と武士の無理心中と思われた二つの事件が実は心中に見せかけた殺人事故ではないかと気づいたところから、数日のうちに事件を解決していく。この小説の面白さは、小間物問屋遠野屋の主人、清之介の存在にある。信次郎がシャーロックホームズだとすると、清之介は知らず知らずにさせられているワトソン。元武士である清之介の優しくてすこぶる強い紳士っぷりが、事件解決に役立つことが心地よい。
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- ネタバレ
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今作のおもしろさは、江戸の世を生きる女性の姿にあると思う。 おうの、お仙、お登勢など、各々が紆余曲折を苦悩して、もがいて、乗り越えてきた過去があって、それでもまだ何かに悩んでいる姿がある。 色っぽくて魅力的な女性たちだと思った。 メインは、信次郎、伊佐冶、遠野屋だけど、毎回スポットライトの色や、当たる角度が少しずつ違うので、読んでいて飽きが来ないのかもしれない。
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やはりこのシリーズの魅力は、小暮信次郎の怜悧さとそれを恐れながらも惹かれていく周りの人々(と読者)にあるのでしょうか。信次郎の向かいに清之介が座る時、伊佐治が座る時、そこに生まれる景色が心を捉えてはなしません。 今回は、筋立てが犯人をひっかけていく形なので、ますます景色を楽しん...
やはりこのシリーズの魅力は、小暮信次郎の怜悧さとそれを恐れながらも惹かれていく周りの人々(と読者)にあるのでしょうか。信次郎の向かいに清之介が座る時、伊佐治が座る時、そこに生まれる景色が心を捉えてはなしません。 今回は、筋立てが犯人をひっかけていく形なので、ますます景色を楽しんで、贅沢なひと時を満喫するのがよいのかも知れません。 ただし、次は信次郎の内部に切れ込む展開になりそうなので、楽しみのような怖いような気がします。
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シリーズ5作目。 無理心中に見せ掛けた殺しを軸に、遠野屋さんが木暮信次郎に引かれてく。 あさのさん、読ませるなぁ。 登場人物一人一人が奥深い。 お仙もおうのもお登世も。 次作も楽しみ。
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木暮信次郎のいやらしさ全開、遠野屋清之介との関係も少しずつ変化しているみたい。 次巻も怖い物見たさで手に取るだろう。 感動とは縁遠い。だから読みたくなってしまう。信次郎に毒されているのかもしれない。
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相変わらず小暮様は怖いっ。 怖いというか薄ら寒さを覚えるお人だなぁ、そして伊佐治がまた良い。 小暮様を宥めつつ気を配り軽く悪態もつく。 この2人の距離感が緊迫する話の中で、読み手が一息つけ、考える時間を与えてくれる。 またまだ続いて欲しいシリーズ。
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