老乱 の商品レビュー
認知症本人と介護する家族の視点が交互に描かれていて、どちらの葛藤も読んでいて辛い。 出来れば避けて通りたい認知症の問題だけど、自分にも起こり得る事として読めて良かった。
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介護する方とされる方の両方の感情が描かれているので重い題材だけど今後の親との接し方や覚悟して臨まないといけない気持ちにさせられる。 自分の時間を満喫している今、介護は負担でしかないと思っている時点で自分にはムリと現実逃避してしまうかも知れない。今この何もない時に出会えてよかったし...
介護する方とされる方の両方の感情が描かれているので重い題材だけど今後の親との接し方や覚悟して臨まないといけない気持ちにさせられる。 自分の時間を満喫している今、介護は負担でしかないと思っている時点で自分にはムリと現実逃避してしまうかも知れない。今この何もない時に出会えてよかったし、有意義な時間を過ごす事ができた。でも、逃げたい気持ちが強く、前向きに捉える事が出来なかったので星4つ。
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「老乱」する主人公は、独居の男(名前忘れた)。夕食は契約の宅配弁当で、その他は自炊している。当初は車も運転し、悠々自適な生活だったのに。その後、認知症が進行し、まさに「老いて乱れる」様子の描写がスゴかったです。 こんな風に、脳が老化して周囲と衝突していくんだなぁって。 最後、腹...
「老乱」する主人公は、独居の男(名前忘れた)。夕食は契約の宅配弁当で、その他は自炊している。当初は車も運転し、悠々自適な生活だったのに。その後、認知症が進行し、まさに「老いて乱れる」様子の描写がスゴかったです。 こんな風に、脳が老化して周囲と衝突していくんだなぁって。 最後、腹をくくった嫁と息子が自宅介護を決意して、主人公は自宅で息を引き取ることができました。そこに至るまでの認知症のすさまじさと振り回される周囲の惨状は読んでて慄然とするかんじでしたが。 にこには無理だわ。
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これから700万人にもなろうかとする日本の認知症。 国民的な問題である。早く治療薬が開発されることを願っている。 入院もできず、家族が見ることしかできないとしたら、あまりにも負担が大きい。 長寿社会の弊害。なんとかならないか。
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妻に他界されてから一人で生活している父親と、その息子夫婦が主に描かれています。父親のもとを訪れた息子夫婦がその生活の様子から認知症を疑い、受診の結果はレビー小体型認知症の中期と診断される…。父親の思いと息子夫婦の思いがかみ合わず、認知症状は悪化の一途をたどる…。最終的には認知症の...
妻に他界されてから一人で生活している父親と、その息子夫婦が主に描かれています。父親のもとを訪れた息子夫婦がその生活の様子から認知症を疑い、受診の結果はレビー小体型認知症の中期と診断される…。父親の思いと息子夫婦の思いがかみ合わず、認知症状は悪化の一途をたどる…。最終的には認知症の父親を受け入れることになる…。読み終えてみて、ノンフィクションかのように感じたが小説だよね…ってこと、それくらい真実味がありました。家族が感じることだけでなく、当事者どう受け取るのかも描かれているのがよかったです。また父親の日記の変化からも目を離せなかったです。認知症介護の過酷さ、つきなみだけど大変さ、人それぞれだけどどんな過程で認知症は進行していくのか…そんなことを知るための良書とも言えます。多くの人が今後の課題として受け止めてほしいです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「認知症が始まったらどうなるのだろう」認知症の介護する側、介護される側がリアルに描かれ、身につまされます。 認知症の父・幸造が認める日記に、ダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』を思い起こさせる。そして本書のカバー写真を眺め、あらためてやるせなくなる。 本音や建前、そして嘘や言い訳も、きっと間違っていない。 一人暮らしで、自分で出来る限りのことをこなし、生活しているが、徐々に「老い」を感じていくことと、迷惑をかけないようにと少しでも抗う姿がかえって痛ましい。 やがて、思いは、誰もわかってくれない不安となり、冷たい反応は怒りとなったりする。認知症は、何を失敗したかは忘れるけど、怒られたことだけは覚えてる。という。それが積み重なっていく、と。 「認知症介護の一番の問題は、ご家族が認知症を治したいと思うこと」と語る。受け入れられない事実を認める、ありのままに受け留めなければいけないと。 認知症患者は、未来も過去も忘れて、ただただ、子どものように”現在”だけで生きていくという。 要介護認定、在宅介護、入院、有料老人ホームへ。階段を一つずつ進むように、認知症が進んでいく。要介護1から4へ、そして、寝たきりへ。 抗いながらも、受け入れていくこと。自分も家族も周りも。それを忘れてはいけないような気がした。
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老いるとは?いずれ自分もと思うと考えさせられる内容でした。自分も去年父を亡くし最後認知症状がひどくなり…自分の関わりを振り返りました。
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認知症を患った父親とその息子夫婦の物語。 始めは妻が主に介護をしているが、症状が進むにつれ夫である息子も手伝うようになる。しかし、どちらも父親に対して"禁止"することばかり求めるため、次第に夫婦の手に負えなくなって行く。...
認知症を患った父親とその息子夫婦の物語。 始めは妻が主に介護をしているが、症状が進むにつれ夫である息子も手伝うようになる。しかし、どちらも父親に対して"禁止"することばかり求めるため、次第に夫婦の手に負えなくなって行く。 この作品では、父親側からの感情も描かれており、息子たちの対応が父親本人の意思に反し、全く介護になっていないことが分かる。 肉親だからこその愛憎がもどかしく、しかしどの家庭でも起こり得る認知症と介護の問題は、これからの時代必修課題である、とつくづく感じさせられた。
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舅・五十川幸造が踏切の無い線路を渡ろうとして保護され、迎えに来てほしいと連絡を受けた雅美。今まで元気に独り暮らしをしていたためあまり気にかけていなかったが、久しぶりに家に行ってみると認知症を疑わざるをえない状況が多く見つかった。 認知症の家族を介護していかなければならない雅...
舅・五十川幸造が踏切の無い線路を渡ろうとして保護され、迎えに来てほしいと連絡を受けた雅美。今まで元気に独り暮らしをしていたためあまり気にかけていなかったが、久しぶりに家に行ってみると認知症を疑わざるをえない状況が多く見つかった。 認知症の家族を介護していかなければならない雅美(家族側)と、当の本人・幸造の視点が交互に綴られる。おそらく、今まで介護に関わったことのない人間が読めば、雅美がとても自分本位に考えているように見えるだろう。しかし私を含め、実際そういう家族を抱えてみたことがある人が読めば、この本は誇張でもより悲劇的に書かれたものではなく、これが現実で、雅美の考えは人間として至極真っ当で、嫁としてはかなりがんばっている方であると思うのではないのだろうか。幸造が、自分を少しでも保とう(その根底には家族に迷惑をかけたくないという思いがある)と書き続けている日記、そして自分に課した漢字テスト。随分早い段階から、ちいさな「つ」が使えなくなっていたり、頭が混乱する様子が垣間見えて切なくなる。
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筆致に引き込まれ一気に読んだ。 去年亡くなった父と幸造の共通点がいくつかあって、父のことを思わずにはいられなかった。 この本を父が元気なときに読んでいれば、もっと父のために色々と出来たのではないかと思った。 認知症が進むと、「人格が壊れてゆく」みたいな言葉を耳にすることがあ...
筆致に引き込まれ一気に読んだ。 去年亡くなった父と幸造の共通点がいくつかあって、父のことを思わずにはいられなかった。 この本を父が元気なときに読んでいれば、もっと父のために色々と出来たのではないかと思った。 認知症が進むと、「人格が壊れてゆく」みたいな言葉を耳にすることがある。 でも、この本を通して、人格云々は違うのではないかと思った。 認知症の世界、と言っていいのかどうかは分からないが、それを私たちは知らないから、理解の出来ないことが目の前に起こって、それを「人格が壊れた」とごまかしているだけではないか。遠ざけようとしているのではないか。 息子夫婦、特に嫁に雅美はきついと感じた。自分のことしか考えてないじゃないかと。でも、それは自分も同じだった。あそこまできつくないにしても。 でも、最後は息子夫婦も幸造を受け入れた。そして、幸造は 「幸せな一生だったよ・・・・・・ 自分の人生はこれでよかった。だから、今、こんな穏やかでいられる。」 と感じ、最期の時を迎えることができた。 涙、涙で読んだ一冊。
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