魔法使いの塔(上) の商品レビュー
アメリカのファンタジイは、全くの異世界を舞台にしたものであっても、魔法に一定の法則を求める事、それがある程度科学的な思考法に沿うものである事がトレンドである、と思う。 つまり、ぱっと杖を振ったから何かの魔法が発現する、ということにはならない。呪文をひとつ唱えたからどう、というので...
アメリカのファンタジイは、全くの異世界を舞台にしたものであっても、魔法に一定の法則を求める事、それがある程度科学的な思考法に沿うものである事がトレンドである、と思う。 つまり、ぱっと杖を振ったから何かの魔法が発現する、ということにはならない。呪文をひとつ唱えたからどう、というのでもない。 ヴァルデマール年代記における魔法は、ウィッカの魔法に近いもの(つまり、土地などが持つ力を借りて魔法の力を得るもの)と、〈使者〉の心理魔砲すなわち超能力に近いものなど何種類かある。 本巻で最も大きくスポットが当てられるのが、大地の魔法であり、暗き風は、これがはるか昔、まだハードーン人が放浪の採集民であった頃にさかのぼる、最も原初的な、リーダーと土地を結びつけて力と一定の制限を与える「絆」である、と考える。 そして、トレメイン大公がハードーンとこの絆を結ぶ事でどういう影響が出るのかという事が、物語の中心となる。 勿論、そうすればトレメインは帝国に帰ることは、ますますできなくなるわけだ。 一方、帝国の方ではチャーリス皇帝がその健康を維持できなくなりつつあり、新たな帝位継承者が指名される。それはなんと、トレメインの政敵メレスだった! 最も魔法に頼り、それゆえ最もひどく魔法嵐の被害を受けつつ在る帝国でも大きく物事が動いていくが、この窮地をメレスがどう切り抜けていくかがなかなか興味深い。
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