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綴られる愛人 の商品レビュー

3.4

23件のお客様レビュー

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2024/09/11

面白かった。まず最初に。 井上さんの小説って読んでて楽しいけれど、ぐいぐい引き込むタイプではなかった気がしたのですが、これは凄かったです。 手紙を交わし合っていただけの二人(年齢や環境の違い過ぎる二人、秘密はお互いの腹の探り合いや執着に拍車をかけていくことに)だったはずが、自身...

面白かった。まず最初に。 井上さんの小説って読んでて楽しいけれど、ぐいぐい引き込むタイプではなかった気がしたのですが、これは凄かったです。 手紙を交わし合っていただけの二人(年齢や環境の違い過ぎる二人、秘密はお互いの腹の探り合いや執着に拍車をかけていくことに)だったはずが、自身の作品を書かせてもらえない児童作家は支配者たる夫を愛しているのか、これは愛なのか、愛はそもあったのかを、送られてくる手紙の男を通じて思考する。 男はまた、ミステリアスで儚げな彼女の手紙に自分自身の何ももっていないことを塞ぐ役割を与えだし、それは愛のような飢餓感を生み出していく。 そして共通認識としてお互いを自由にするものとしてやり玉にあがる夫の真意。 そこに落とし込むまでの彼女の包み込むような、蝕むような愛が読んでいて気持ちが良かった、私は性格が悪いのだと思った。

Posted byブクログ

2019/12/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 ずっと前にこの本気になるなって思った記憶があった。  柚と夫のこじれた関係がちょっとなに言ってるかわからない状態だった。愛?契約?結局、柚はどっちなのか。死んで欲しいと感じているときと、そうでもなさそうなときとの感情の起伏が大きすぎて、どれが本心なのか最後までわからなかった。あ、むしろ作者はそういうことを書きたかったのかな?人間の感情って難しいのよ、移ろいゆくものなのよ、的な。だとしたら、確かに大学生くらいだと真に受けちゃうよね。さらに恋とかしちゃってたらもうね。自分に向けて発された言葉は全部その人の紛れもない本心で、その人そのもので、それが明日にはひっくり返ってる可能性なんか微塵も考えないで全部受け止めようとしちゃうクモオの未熟さとか若さは、身に覚えがある。  全体を通じて抱いた微かな違和感の正体は、クモオにあんまり同情というか感情移入できなかったこと。なんだかよくわからないけどとにかくムカムカしてイライラして、だから凛子さんの手紙に溺れていつのまにかわけがわからなくなって思わず事件を起こしちゃったわけだけど、そこまでいく過程にもっと鬱屈エピソードがあったらよかったな。彼女とうまくいかない、友達がいない、くらいで会ったこともない相手にそんなにのめり込むかな。もっと底の底まで落ちないと文通相手の夫をわざわざ殺しには行かないんじゃないかな。なんて思ったのでした。

Posted byブクログ

2019/11/24

読んだことを忘れてしまっていて、再読。手紙だけで殺人教唆をしてしまう女性作家の技。就職活動もしないでいる大学生がどんどん罠にはまる様がサスペンス。落ち着いて考えてみれば、そんな馬鹿なと思えることが起きてしまう。ネットだともっと多いんだろうね。荒野さん、こわいわ~。

Posted byブクログ

2019/03/10

「言うべきことではなくて、言えることしかひとは言わない。」 「いったいこの中に誰が、本当に本当のことを喋っているというのだろう」

Posted byブクログ

2018/09/29

手紙だけでやり取りされる狂気 すぐに連絡がとれて顔を見て通話することもできて、な現代だからこそ、妄想だけで膨らんでいく思いは加速するんだろうな

Posted byブクログ

2018/08/28

この時代にLINEでもメールでもなく、文通。 手書き、選ばれた便箋、かすかな香り(多分)などから相手の存在を生々しく感じる。 だから余計に引き込まれてしまうのかも……。 でも、こんなお願いされたら文通やめるな。「あ、利用される」ってわかったら冷めてしまいそう。

Posted byブクログ

2018/08/23

面白かった、し、そう来るか、って思った。けど、私は手紙が中心になる本には日本語遊びみたいなものを求めてしまう、なにその言い回し聞いたことない!みたいなの求めちゃう、だから、面白いけど星3くらい

Posted byブクログ

2018/04/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

井上荒野ワールド全開 「誰よりも美しい妻」「だりや荘」などにも共通する狂気の世界。一気に読み進んだ。 大学生と作家である主婦の手紙の書き方をうまく書き分けているのはさすが。 いるいるこんな大学生と何度も思わせられる。たかが文通が恐ろしいまでにされど文通であることを思い知らされる展開。 二人が会ったときの航大の凛子に対する感情の表現が秀逸。もはやあれほど恋い焦がれた凛子にも、正体である絵本作家である唯にも見えず、ただの女にしか見えないと。なるほどそう来たかと思いつつ妙に納得。 旦那さんの復讐が展開されることを予測させる終わり方かと思いきや、むしろその逆に… なるほどねぇ、荒野さん、まだまだ読み続けますよ〜〜。

Posted byブクログ

2017/07/26

文通で繋がった凛子とクモオ。 凛子は自分をじわじわと拘束する夫を殺してほしいと、クモオに願うようになる。 不気味な雰囲気が漂うストーリー。 柚と柚の夫の関係性がそれを象徴している感じ。 やる気のないハッキリしないクモオが嫌。 クモオというペンネームにも違和感と、気持ち悪さを感...

文通で繋がった凛子とクモオ。 凛子は自分をじわじわと拘束する夫を殺してほしいと、クモオに願うようになる。 不気味な雰囲気が漂うストーリー。 柚と柚の夫の関係性がそれを象徴している感じ。 やる気のないハッキリしないクモオが嫌。 クモオというペンネームにも違和感と、気持ち悪さを感じました。 手紙の中で、架空の自分を作り、凛子にハマっていくのは気味が悪かった。 昔からある文通、メル友など、ここまでの事はなくても、こういう世界はいつの時代にもあり、その盛り上がり方は想像は出来る気がします。 設定からはもっと綺麗でハッピーな話も出来るのでしょうが(ハリウッド映画 ユーガットメールは大好きです)、著者ならではの展開と納得。 先が気になり一気読みでしたが、後味はイマイチ良くない話でした。

Posted byブクログ

2017/07/17

読んでてなんだか桐野夏生さんの本の気がしちゃって、なんかもっと凄いことが起きる‼って期待しちゃった。井上さんだもんね(^^;緩やかな破壊って感じでした。

Posted byブクログ