遠い唇 の商品レビュー
独立した短編集だったせいか、北村さんの印象と違う作品もあった。特に表題作がしみじみ良かった。『冬のオペラ』の探偵が登場する作品もあったけど、読んだのが昔すぎてどんな人だったかまるで覚えてない。
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-時が、一瞬によみがえった- 何十年ぶりに見た大学時代の案内ハガキ。先輩が宛名書きをしてくれたもので縁取りのようにアルファベットが書かれていたが、当時はその意味が分からなかった。-表題作「遠い唇」- 謎解きを中心とした短編集。 勉強不足かもしれませんが、北村薫が謎解きを書くイ...
-時が、一瞬によみがえった- 何十年ぶりに見た大学時代の案内ハガキ。先輩が宛名書きをしてくれたもので縁取りのようにアルファベットが書かれていたが、当時はその意味が分からなかった。-表題作「遠い唇」- 謎解きを中心とした短編集。 勉強不足かもしれませんが、北村薫が謎解きを書くイメージはありませんでした。 「遠い唇」と「しりとり」は暗号ものでどちらも過去の宿題です。もし、その時に意味が分かっていたなら…と切なさが残る作品。 「パトラッシュ」は結果から状況を推理するもの。ザワッとしたけれど、ハッピーエンドでホッ。 テイストが一変した「解釈」は正に言葉の解釈。たぶん日本人でこれを読む年齢の方なら疑問にも思わない言葉が、そんな風に解釈できるのかとクスクス。言葉を大切にする作家さんならではの発想なのだろうかと思えました。 「続・二銭銅貨」前の話でも名作を出してましたが、こちらは芥川龍之介。本家を読んでなかったのが悔やまれます。 「ゴースト」は謎解きという訳ではなかったんですが、一番らしい気がしました。他作品の派生なのでしょうか。 「ビスケット」は探偵も出てくる王道の犯人探し。刑事ものなら証拠がなければだめだろうけど、探偵ものは純粋に推理を楽しめるということがよく分かる話でした。 後書きにもありましたが、確かに昨今は謎解きだけであっと言わせるのは難しくなりましたね。この作品も謎解きをモチーフとしながら、人を描いているのだと感じました。
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北村薫さんの本を読むといつも、もう一度国語の授業を受けたくなります。 〈大學に来て踏む落葉コーヒー欲る〉 いいですね。
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あちこちに発表された7編をおさめた短編集。 バラエティーに富んだ、と言えないこともない。 けれど、暗号を読み解くだけのもの、知識がないとサッパリ意味がわからないもの、スケッチのようなもの、冗談SFのようなもの…と、途中まで北村さん、どうしちゃったの?!という感じで、違和感をおぼ...
あちこちに発表された7編をおさめた短編集。 バラエティーに富んだ、と言えないこともない。 けれど、暗号を読み解くだけのもの、知識がないとサッパリ意味がわからないもの、スケッチのようなもの、冗談SFのようなもの…と、途中まで北村さん、どうしちゃったの?!という感じで、違和感をおぼえながら読んだ。 決してつまらないわけではない。 『遠い唇』『パトラッシュ』は、普通に短編小説として好きだけれど… 北村さんの近作は、どうも文学っぽいというか、"わかる人にだけわかればいい"というような感触がして、古典や文学の知識が足りない身にはさびしいところ。 最後におさめられた『ビスケット』で、名探偵巫弓彦に再会出来て嬉しいので、星3つ。 巫弓彦の事件簿、シリーズにならなかったのは残念だった。 これで少しだけ、気がすんだ。
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表題作の切ない感じの話も良かったが,「ビスケット」の謎解きが面白かった.巫さんに事件のあらましを話したあゆみに関係者に竹河という人物はいないかとの回答.源氏物語が突然現れるのか素晴らしい.このような謎かけが出てくる短篇が7つだが,どれも楽しめる.
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最初の2話と宇宙人の話は確かに面白いんだけど、それ以外はちょっとやっつけでした。いや、ファンの方には満足なのでしょうか…。パトラッシュはもう謎解きでもないし、あとは説明文話とか、「ヤマもオチもない…で?」話とか、あんた死に際にトンチ考えてる場合か!?話とか、正直に言ってイマイチでした、ごめんなさい。
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それぞれ独立した話の短編集。 『ビスケット』で久々に名探偵に会えたこと でも時代の流れで名探偵以外の人が名探偵の 頭脳を拝借できるものが存在するようになったことに 対する北村氏の少し寂しさを感じさせる考察に しみじみした気分になりました。
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ノンシリーズの短編集。暗号解読ものの短編が多数ですが、【パトラッシュ】や【続・二銭銅貨】など毛色の異なる短編もあり、なかなか興味深い一冊になっています。 お気に入りは【遠い唇】。僅か18頁ですが、何とも言えない切なさが残ります。 犯罪が絡む【ビスケット】はダイイング・メッセージも...
ノンシリーズの短編集。暗号解読ものの短編が多数ですが、【パトラッシュ】や【続・二銭銅貨】など毛色の異なる短編もあり、なかなか興味深い一冊になっています。 お気に入りは【遠い唇】。僅か18頁ですが、何とも言えない切なさが残ります。 犯罪が絡む【ビスケット】はダイイング・メッセージものの傑作で一読の価値はあると思います。
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人類に「言葉」という物があることは最高に幸せだなあ~と思ってしまう一冊。 『解釈』の、地球外生命体の誤解に大笑い。 言葉や文字に関する、謎と解明の短編集。 『遠い唇』 大学時代の思い出を、今ひもとく。 先輩からのハガキに、謎の文字が並んでいた。 「何でもないわ。――いたずら書き...
人類に「言葉」という物があることは最高に幸せだなあ~と思ってしまう一冊。 『解釈』の、地球外生命体の誤解に大笑い。 言葉や文字に関する、謎と解明の短編集。 『遠い唇』 大学時代の思い出を、今ひもとく。 先輩からのハガキに、謎の文字が並んでいた。 「何でもないわ。――いたずら書き」そう言った先輩の硬く結ばれた唇。 『しりとり』 亡くなった夫が病院で、和菓子の包み紙の裏に書いた、真ん中の抜けた俳句らしきもの。 空間には、「黄身しぐれ」が置かれていた。 『パトラッシュ』 パトラッシュ…疲れたり眠かったりしたとき、そっと寄り掛れる存在… 『解釈』 エキサイト翻訳に日本語文章を入れて外国語にする。 その外国語を入れて日本語に翻訳する… そうするとこんなふうになります(笑) 『続・二銭銅貨』 「二銭銅貨」は、暗号文を文字に当てはめていく、江戸川乱歩の名作ミステリ。 『ゴースト』 この作品だけは毛色が違う物、と作者があとがきで触れる。 脳は、記憶やイメージを勝手に重ねて勘違いしてしまうことがある… 『ビスケット』 北村作品の「名探偵」は、その頭の中に驚くべき量の知識が詰め込まれている。 そして、大量の引き出しから即座にひらめいた組み合わせで正解を導き出す。 しかし、名探偵の頭脳がなくても、謎が解けてしまうことがある…時代になったのかもしれない。 商売あがったりだ。
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北村薫さんの本を読むと「文学」って気分に浸ってしまいます。品があって、おもしろくて、作品を読むと贅沢な時間を過ごしたな、って。 今回は、標題含む7作品です。 「遠い唇」は、大学時代の先輩が残した暗号の謎。タイトルが本当にぴったりです。 「しりとり」は、ご夫婦にまつわる歌の謎解...
北村薫さんの本を読むと「文学」って気分に浸ってしまいます。品があって、おもしろくて、作品を読むと贅沢な時間を過ごしたな、って。 今回は、標題含む7作品です。 「遠い唇」は、大学時代の先輩が残した暗号の謎。タイトルが本当にぴったりです。 「しりとり」は、ご夫婦にまつわる歌の謎解き。これが一番好きでした。 「解釈」は極端でしたけど、おもしろくて深い。 どれも楽しむことができました。
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