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職業としての小説家 の商品レビュー

4.3

149件のお客様レビュー

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2024/12/11

村上作品はこのようにして創られているのかととても面白く読み進めた。個人的には、ドカベンの作者が「まさかあそこでドカベンがホームランを打つとは思わなかった」と語っていたのと同じ感覚を村上春樹さんが小説内の人物から得ていることが特に興味深かった。

Posted byブクログ

2024/10/24

 小説家になるためには、どんなことが求められるのかを著者の体験をもとに語っていく。著者によると、小説を1つ書くこと自体は簡単とまでは言わないが、誰にでも書けるという。しかし、何十年も継続して小説を書くのは困難である。これはある種の才能が必要とされる。とはいえ先ほど述べたように、小...

 小説家になるためには、どんなことが求められるのかを著者の体験をもとに語っていく。著者によると、小説を1つ書くこと自体は簡単とまでは言わないが、誰にでも書けるという。しかし、何十年も継続して小説を書くのは困難である。これはある種の才能が必要とされる。とはいえ先ほど述べたように、小説を書くことに何らかの制約はない。言い換えると、小説家とはどんな経歴の持ち主でも参加できるプロレスリングのようなものである。  当然の話ではあるが、小説家になる以上、できるだけ多くの本を読むことをすすめる。優れた小説、それほど優れていない小説、ろくでもない小説、どんなものでもいいので、若いうちから幅広い読書をしていくことは書くうえで重要である。加えて、自分が目にする事物、事象を子細に観察する習慣をつけることも重要である。これは周囲の人間の観察も含まれる。さまざまな人(それがたとえ苦手な人であったとしても)の外見、言動の特徴を把握することが登場人物を創り上げる際に必要とされ、現状に近い形で頭に留めておくことがのちに効く。  では実際に何かを書こうと考えたとき、何を表現すべきか。多くの人はこの段階で思い悩む。その悩みにたいして著者はこう答える。自分にとって何を求めていないのかを考えるべきだと、つまり、自分がそれをしているときに楽しい気持ちになれないものを考えて、自分にとって不要なコンテンツを捨てて、情報系統をすっきりさせていくべきだという。そうすることで、自分が表現したいこと、いわばオリジナリティのある作品を創作できるという。とはいえ、自分が創り上げた作品が今後残る保証はない。それは時の試練を受けて初めてわかることなので、こればかりは自分自身ではどうしようもない。小説家にできることは、作品ごとに全力を尽くして創作することである。  そこで、著者がこれまで長編小説を書きあげるのに、どれほどの仕事量、時間を費やしたのかを具体的に語る。著者が長編小説を書く場合、1日400字詰めの原稿を十枚書く。たとえ調子が良い状態また体調がすぐれない日でも決まって朝4時に起きて、毎日机で4~5時間執筆する。ポイントは、その日の気分、体調にかかわらず、上記の枚数を毎日書く。なぜなら著者にとって規則性を保つことが長期間の執筆を続けるのに大切だからである。このように、自分の意志でコントロールできる箇所には積極的に関与して、一定の生活リズムを保つことが著者にとって小説を描き続けられる要因なのである。

Posted byブクログ

2024/11/01

村上春樹の文句言ひ  再読。  個人的な体験を隠蔽してきた村上春樹、かれの文句が拝める点でいい本ではある。芥川賞、いやそもそもどんな賞でもどうでもいいんだとか、なんとか。言ってゐる。  学生運動を支持してゐたが、殺人が起きて幻滅した、ともある。  「オリジナリティーについて」は...

村上春樹の文句言ひ  再読。  個人的な体験を隠蔽してきた村上春樹、かれの文句が拝める点でいい本ではある。芥川賞、いやそもそもどんな賞でもどうでもいいんだとか、なんとか。言ってゐる。  学生運動を支持してゐたが、殺人が起きて幻滅した、ともある。  「オリジナリティーについて」は、私も同様に、やはり創作するうへでは基礎的なかんがへになってゐる。  村上春樹の(ほんの一部の)正体を摑むうへでは読んだほうがいいだらう。読まなくてもいいけれど。

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2024/09/30

村上Radioの声で読んでいた。何故、村上春樹はこんなに英語が出来るのか?という疑問を話していたことがこの本を手に取ったきっかけ。216ページあたりからバッチリ答えが載っていた。皆んなが真似できる訳ではないけど、軸のブレなさが本当にかっこいい。悩んだり迷った時に村上春樹ならどう考...

村上Radioの声で読んでいた。何故、村上春樹はこんなに英語が出来るのか?という疑問を話していたことがこの本を手に取ったきっかけ。216ページあたりからバッチリ答えが載っていた。皆んなが真似できる訳ではないけど、軸のブレなさが本当にかっこいい。悩んだり迷った時に村上春樹ならどう考えるか想像してみたら割と答えが見つかりそうな気がする。

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2024/08/31

この本のいくつかの村上氏の私見を理解することで、小説の読み方がより深くなると思う。 特に、最近読んだセンスと哲学に語られてた部分と重なる点がいくつかあり興味深い。 以下印象に残ったところ。 小説を書くというのは鈍臭い作業である。自分のテーマをたとえばを繰り返しメタファーとして記...

この本のいくつかの村上氏の私見を理解することで、小説の読み方がより深くなると思う。 特に、最近読んだセンスと哲学に語られてた部分と重なる点がいくつかあり興味深い。 以下印象に残ったところ。 小説を書くというのは鈍臭い作業である。自分のテーマをたとえばを繰り返しメタファーとして記していく極めて非効率な作業。 人生をできるだけ苦労しろと言うつもりはない。でも、何かしらの苦境にいることできつい思いをしているのなら、今はまあ大変でしょうが、先になって実るかもしれませんのと言いたい。 小説を書いているとき、文章を書いているというよりは音楽を演奏している感覚があった。その感覚を今でも大事にしており、頭ではなく体感で文章を書く。 自分のオリジナリティを見つけ出すには、加算ではなくマイナスしていく作業が必要。選択肢が多すぎる現代で不必要なものを減らし、情報系統をスッキリさせる。単純に、それをしているとき楽しく思えるか?といつ単純な問い。 小説家になりたいなら、まず本をたくさん読む。その次に自分が目にする事象を仔細に観察する。物事の意味や価値を求めるのではなく、その素材として注意深く見つめて、そのまま脳内にインプットする。 小説家は小説を創作していると同時に、小説によって自らのある部分を創作されている。

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2024/04/13

村上春樹の考え方は謙虚なのに、行動に狂気が混じっていて最高。そんな人の考えを知る機会なんてなかなかないから読書はいいんだよ。 身の回りの違和感を観察し、自分の無意識に深く降りていって、内的に発生する感情を言葉にする。そうして生まれるキャラクターは勝手に物語を作り上げる。小説を書く...

村上春樹の考え方は謙虚なのに、行動に狂気が混じっていて最高。そんな人の考えを知る機会なんてなかなかないから読書はいいんだよ。 身の回りの違和感を観察し、自分の無意識に深く降りていって、内的に発生する感情を言葉にする。そうして生まれるキャラクターは勝手に物語を作り上げる。小説を書くのって孤独で自由で救いがある行為なんだろう。

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2024/04/11

物書きとして、人生を賭して生きてみようという勇気を喚起された。村上春樹さんの生き様、息遣いがボクの心身に染み渡った。

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2024/03/30

Audibleで読了。 村上春樹の自分語りというか、どんなスタンスで物書きをしているかを茶目っ気たっぷりに書いてある。 特に面白かったのは海外へ自分の作品を売り込む話。 バブル期にあって充分日本で贅沢できたところを、逆に海外へ目を向けて地道に売り込みをかける所が素晴らしいと思った...

Audibleで読了。 村上春樹の自分語りというか、どんなスタンスで物書きをしているかを茶目っ気たっぷりに書いてある。 特に面白かったのは海外へ自分の作品を売り込む話。 バブル期にあって充分日本で贅沢できたところを、逆に海外へ目を向けて地道に売り込みをかける所が素晴らしいと思った。

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2024/03/17

なぜかわからないけど読み終わるまでに結構時間がかかった小説。 小説家になりたい人だけじゃなく、一人の人間の生き方として色んなひとにも読んでもらいたいかも。得るものは多かったです

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2024/02/25

パーソナルな語り口に終始して、過度に一般化しないところが好きでした。 良くも悪くも売れた時期のためにミーム化したり揶揄されている印象が読書を邪魔していた。だがこの本を読んで、作られた像でなく村上春樹という人そのものを小説家という切り口で知ることができてとても興味深かった。小説をま...

パーソナルな語り口に終始して、過度に一般化しないところが好きでした。 良くも悪くも売れた時期のためにミーム化したり揶揄されている印象が読書を邪魔していた。だがこの本を読んで、作られた像でなく村上春樹という人そのものを小説家という切り口で知ることができてとても興味深かった。小説をまた再読してみようと思う。

Posted byブクログ