狂気の巡礼 の商品レビュー
ホラー。短編集。 タイトル通り、人間の狂気を描いた作品集。 タイトル・装丁・短編すべて含めて、とにかく雰囲気が良い。 「海辺の別荘にて」「チェラヴァの問題」「大鴉」あたりが好み。
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幻想的なホラー短編集。じわじわと狂気が忍び寄るような、静かな読み心地です。地味なのだけれど、不気味さはすこぶる強烈。 お気に入りは「薔薇の丘にて」。閉じた庭の描写がミステリアスで美しく、序盤の美しく穏やかな風景から一転して恐怖へと導かれるさまがなんとも恐ろしい一作です。 「狂気の...
幻想的なホラー短編集。じわじわと狂気が忍び寄るような、静かな読み心地です。地味なのだけれど、不気味さはすこぶる強烈。 お気に入りは「薔薇の丘にて」。閉じた庭の描写がミステリアスで美しく、序盤の美しく穏やかな風景から一転して恐怖へと導かれるさまがなんとも恐ろしい一作です。 「狂気の農園」も好き。こちらは最初から不気味さ全開で救いようなし。どこからどこまでおぞましい物語でした。 「チェラヴァの問題」は実に奇妙な話で引き込まれました。いったいどうなってしまうのか、起伏に満ちたストーリーが魅力的です。
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ポーランドのラヴクラフトもしくはポーと評されるステファン・グラビンスキの14の短編。どの話も偏執的な奇想が楽しく、読むたびに溜息出るような贅沢な一冊。 「斜視」はウィリアム・ウィルソンぽさあるし、「大鴉」はタイトルが既にで、ポー好きの自分には堪らない。「灰色の部屋」は部屋に籠る...
ポーランドのラヴクラフトもしくはポーと評されるステファン・グラビンスキの14の短編。どの話も偏執的な奇想が楽しく、読むたびに溜息出るような贅沢な一冊。 「斜視」はウィリアム・ウィルソンぽさあるし、「大鴉」はタイトルが既にで、ポー好きの自分には堪らない。「灰色の部屋」は部屋に籠る念の残滓を追い払う過程がコミカルで、そこからのラストが素晴らしい。「薔薇の丘にて」は好きすぎて何度も読んでる
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
メンがヘラっているというか もうね、クルッテイル、狂ってるんですぜ? くれぐれも気持ちが落ち込んでいるときに 読まないことね。 なお落ち込みます。 日常が、非日常へ変貌し 恐怖へと変わっていく… 謎の過去の住居人の過去をそこで住むことにより よみがえらせていく… 何と言うか最後が超怖いのよ。 それと死体と一夜を過ごすなんて言う めでたくないお話もあります。 そりゃあ変な現象も起こるでしょうな!! 勘弁願いたいところです。 狂気の描写が巧み。 なんか、ずっと浸っていたい その瘴気を浴び続けたい。
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かなり酷評をします。「ポーランドのポー」と言われる所以は、 なんとなく分からないでもないが、 「ポーランドのラヴクラフト」と呼ばれるのは、 同時代を生きた者として屈辱なのでは。 何故、ラヴクラフトが「アメリカのグラビンスキ」と 言われなかったのか。 そこに何かしらあるのではと思う...
かなり酷評をします。「ポーランドのポー」と言われる所以は、 なんとなく分からないでもないが、 「ポーランドのラヴクラフト」と呼ばれるのは、 同時代を生きた者として屈辱なのでは。 何故、ラヴクラフトが「アメリカのグラビンスキ」と 言われなかったのか。 そこに何かしらあるのではと思う。 大仰しい。全てが大仰しい。私には、それ以外の感想は無い。 ただ『チェラヴァの問題』はジキルとハイドでなく、 映画「戦慄の絆」を思い起こし楽しめたが、 映画の物語の方が良い。 例えば、最後の短編『領域』の主人公は詩人として 早々に枯渇したのは、自らの芸術を死という形で 浄化させたがために名もなき人々を殺し、 別荘に現れる悪霊は殺してしまった人々であり、 悪鬼に取り憑かれたのちに、怪物と成り果てしまった。 と解釈することも出来るが、 そこまで読者に委ねるには、なんだか少し違う。 大仰な言葉を連ねる前に、 主人公の頭の中をきちんと覗かせて欲しい。 概ね、そんな短編ばかりだった。 装丁は素晴らしい。バーコードが無い本を久しぶりに手にした。
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『けれどもヴジェツキの目に映っだ問題はいささか異なっていた。彼は最大傾斜点の選択において、ある種の様式を認識できるようになった。配列に偶然以上の何かが見えた』―『接線に沿って』 計算された狂気は驚きを産むことあっても深い戦慄を引き出すことは希だ。狂気の行く末を按じて恐ろしいと思...
『けれどもヴジェツキの目に映っだ問題はいささか異なっていた。彼は最大傾斜点の選択において、ある種の様式を認識できるようになった。配列に偶然以上の何かが見えた』―『接線に沿って』 計算された狂気は驚きを産むことあっても深い戦慄を引き出すことは希だ。狂気の行く末を按じて恐ろしいと思うには、先の見えない行動様式の不定が必要であるのた。例えば一気に高速で上下動を繰り返されても、それが頑丈な枠組みの軌道を辿るだけならばほとんど危険の無い。そのことを理解していればこそ人々はそれに乗車するために列をなすのだろう。左右に揺さぶられて大きな声を上げたとしてもそれを恐怖にかられて上げた悲鳴であると受け取る必要すらないのだ。その対極に、ステファン・クラビンスキの描き出すものは、そのような用意されたお化け屋敷じみたものではなく、着地点の見えないままに軌道から放り出された貨車に乗せられた状態の作り出す本物の恐怖が呼び覚まされる。 時間の枠外にはみ出ることは空想科学小説的にはよくある話だと思うし、とある場所に思念が巣食う話も怪談話としては珍しくない。それだのにクラビンスキの書くものから冷気のようなものを感じるのは、その移動や場所のもたらす曖昧な違和感ではなく、背後にある先の知れぬ狂気の気配のせいなのだと思う。それを凡庸なる頭脳には敢えて覆い隠されている闇の存在と言ってみることも出来よう。それが真の恐怖を呼び起こすのは、その闇からどれだけ離れようとも安全であることが保証されぬというということが事実であろうことが予感されるからだ。何故ならそれは誰しもが持っている暗黒の存在であるから。自分自身の中に巣食うどろどろとした想い。そんなものをその物語が指し示すからだと思うのだ。一旦、その存在に気付いてしまうと、それは自意識の制御を無視し独自の意思を持った存在であるかのように振る舞う。そして、そのことのもたらす恐怖を拭い去ることが出来なくなってしまう。クラビンスキの描く物語は、キューブリックのシャイニングをどこまでも彷彿とさせる本。
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日本独自編集の短編集。 帯に『ポーランドのラヴクラフト』とある。確かに『孤高の怪奇小説作家』というイメージは共通しているかもしれない。 SF要素が含まれつつも正統派の怪奇小説の香りも濃いという独特の作風を堪能。造本も凝ってて所有欲が満たされるw 国書の本は手触りが良くていいね。
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