夢みる葦笛 の商品レビュー
SF=好奇心×想像力×創造力 そんな式が頭をよぎった。上田さんの描く小説を読んでいると、思考はどこまでも羽ばたいていけると感じる。 一種の浮遊感すら覚えるような、不思議な感覚。 正直、読んでいて怖くさえなる。 まだ見ぬ何かに想いを馳せる。 それはこんなにも自由なものかと。 人間...
SF=好奇心×想像力×創造力 そんな式が頭をよぎった。上田さんの描く小説を読んでいると、思考はどこまでも羽ばたいていけると感じる。 一種の浮遊感すら覚えるような、不思議な感覚。 正直、読んでいて怖くさえなる。 まだ見ぬ何かに想いを馳せる。 それはこんなにも自由なものかと。 人間の、地球の未来は、どう考えたって明るくない。 滅びに向かって歩んでいるようにしか見えない。 それでも、どこかに希望があると信じていたい。それを随所から感じる。 上田さんの描く生き物たちもすごく興味深い。 興味深いけれど、どれも怖い。どれとも遭遇したくない。 こんな世界を頭に描きながら、現実世界でも生きていけるものなのだろうか。そんな風に思ってしまうくらい、幅広く現実味のある物語ばかりで、圧倒された。 どれもよいけれど、「滑車の地」が一番好きかな。 この世界の、他の物語も読んでみたい。
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SFだったりホラーだったりファンタジーだったり、上田氏の短編10作品を収録した本。人間とは何かを奥深くまで追究している作品群である。表題作の「夢見る葦笛」はイソアという歌を歌う異形の生物。これが人間を魅了し、人間がどんどんイソアになっていく。人間は葦だが、イソアは葦笛ということだ...
SFだったりホラーだったりファンタジーだったり、上田氏の短編10作品を収録した本。人間とは何かを奥深くまで追究している作品群である。表題作の「夢見る葦笛」はイソアという歌を歌う異形の生物。これが人間を魅了し、人間がどんどんイソアになっていく。人間は葦だが、イソアは葦笛ということだろう。「上海フランス租界祁斉路三二〇号」は歴史小説かと思いきや、途中から一気に並行宇宙のSFになる。「アステロイド・ツリーの彼方へ」は既読作品。猫型ロボットの人工知性と人間が通わせる友情のようなものが胸を打つ。
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アマチュア音楽家の亜紀が街中で遭遇した人型の白いモノ。イソギンチャクのような頭を持つ奇妙な生物の正体とは!? 日本SF大賞受賞作家の真骨頂! 人工知性、地下都市、パラレルワールド、人の夢―― あなたの想像を超える全10編を収録!
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内容(「BOOK」データベースより) 日本SF大賞受賞作家、上田早夕里の真骨頂!妖しくも宝石のごとく魅力を放つ珠玉の傑作短編集!!人工知性、地下都市、パラレルワールド、人の夢―あなたの想像を超える全10編を収録!!
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世界観に飲まれた。詳しい説明はない。その辺り、躯体上の翼と同じような感覚だったな。長編が読んでみたいと思わせる短編集だった。面白かった!
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魚舟・獣舟からこの方「いま、ここに地球環境に不可逆なターニングポイントがあり、世界の形がガラリと変わる」という主題の変奏。いつもの上田さん。
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29:同人誌を書いたり読んだりしていたせいで久しぶりに商業SFを読んだけど、これだ……!って腑に落ちた感がありました。水みたいに身体に馴染んでいく、読みたかったSF。 人造の知性をはじめ、人間以外の知性に関する視点は、私ももっと広く深く持たねばといい意味でものすごく衝撃的だったし...
29:同人誌を書いたり読んだりしていたせいで久しぶりに商業SFを読んだけど、これだ……!って腑に落ちた感がありました。水みたいに身体に馴染んでいく、読みたかったSF。 人造の知性をはじめ、人間以外の知性に関する視点は、私ももっと広く深く持たねばといい意味でものすごく衝撃的だったし、プロってすごい、と改めて思い知らされました。 読書の楽しみを味わえました……!
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『破滅の王』が直木賞候補作になった上田早夕里の短編集。 白いイソギンチャクのような生き物が歌を歌い人々を巻き込む「夢みる葦笛」 人間になりたい警察のシムが生体脳を10個つなげ逃亡する「完全なる脳髄」 遠い宇宙に行く人工知性の猫がた外部出力のバニラを通して私...
『破滅の王』が直木賞候補作になった上田早夕里の短編集。 白いイソギンチャクのような生き物が歌を歌い人々を巻き込む「夢みる葦笛」 人間になりたい警察のシムが生体脳を10個つなげ逃亡する「完全なる脳髄」 遠い宇宙に行く人工知性の猫がた外部出力のバニラを通して私たちがどう感じるか考えてさせられる、「アステロイド・ツリーの彼方へ」 など、宇宙、人間の脳、歴史改変とバラエティーに富んだ一冊。コミュニケーションとは、自我とはなにかあらゆるテーマで書いてあります。
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技術の進歩、未知の領域への進出、人体と精神の改変、それを良しとするか恐れを感じるかという葛藤があったとき、上田作品ではとくに変化を恐れない主人公が多い傾向があった。でも今回の短編集は世界観がバラエティに富んでいることもあり、登場人物たちはそこまで単純に踏み出せない。表題作も含め複...
技術の進歩、未知の領域への進出、人体と精神の改変、それを良しとするか恐れを感じるかという葛藤があったとき、上田作品ではとくに変化を恐れない主人公が多い傾向があった。でも今回の短編集は世界観がバラエティに富んでいることもあり、登場人物たちはそこまで単純に踏み出せない。表題作も含め複雑な後味の作品もあり、また違う上田早夕里を見せてもらった気分。
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年間傑作選に採られていた「プテロス」が良かったので、この短篇集も読むことに。 収められてる十篇のなかには、やや毛色の変わったものもあるけれど、雰囲気は共通している。叙情的だけど、決して感傷的ではなくて、とてもクール。しーんと寂しいような透明感があって、そこはとても魅力的。美しい...
年間傑作選に採られていた「プテロス」が良かったので、この短篇集も読むことに。 収められてる十篇のなかには、やや毛色の変わったものもあるけれど、雰囲気は共通している。叙情的だけど、決して感傷的ではなくて、とてもクール。しーんと寂しいような透明感があって、そこはとても魅力的。美しい文章だと思う。 わたしの好みで言うと、ちょっと言葉で説明しすぎかなあと思われるところがあって、そこにひっかかる。
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