黒面の狐 の商品レビュー
物理波矢多シリーズ第一弾、炭鉱を舞台としたホラーミステリ。 作者の他作品に比べるとホラー色は薄め。 戦後の歴史、炭鉱社会などしっかりとした描写が多く、序盤は読むのがキツイが事件が起こりだすと物語一気に加速していく。 ラストはいつもの多重解決どんでん返しで三津田ファン満足の作品!
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敗戦後の日本を舞台にして、奇っ怪な殺人事件が発生する。坑夫を主役にしており、膨大な資料と格闘した形跡は見えるものの如何せん、面白さが足りず読むのに難儀した。殺人事件もテンポよく立て続けに起きるが、どうにも読み応えがない。真相もそこまで驚くものではなかった。
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57蟹工船の次に読んだのが炭鉱のお話し。戦後の混乱と社会の大きな変動に取り残されたようなヤマの生活は興味深かったが、最後の最後で全部種明かしする手法はかなりしんどい。
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実際の事件が起こるまでかなり長い前置きというか人物や状況の説明があり少し心が折れそうになる。炭鉱の知識が映画で位しかないのでイメージもボンヤリとしたものになってしまうが、実際に事件が起きてから解決までは見事というか怒涛というかするすると読めてしまう。最後までドキドキさせられるが三...
実際の事件が起こるまでかなり長い前置きというか人物や状況の説明があり少し心が折れそうになる。炭鉱の知識が映画で位しかないのでイメージもボンヤリとしたものになってしまうが、実際に事件が起きてから解決までは見事というか怒涛というかするすると読めてしまう。最後までドキドキさせられるが三津田氏特有の怖さがほとんどなく少し残念。
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冒頭、お母様に捧げるとの一文で期待値増! で、作品は良くまとめられており、私は比較的読み進めるに難儀しなかったが、オカルト感は少なめで そこは刀城シリーズのファンである自分には物足りなかった。 ただ、 以前、刀城シリーズにあった遊郭を舞台にした作品にも遊郭での女性達の苦役、...
冒頭、お母様に捧げるとの一文で期待値増! で、作品は良くまとめられており、私は比較的読み進めるに難儀しなかったが、オカルト感は少なめで そこは刀城シリーズのファンである自分には物足りなかった。 ただ、 以前、刀城シリーズにあった遊郭を舞台にした作品にも遊郭での女性達の苦役、慟哭を描いたものがあり、その悍ましさに甚だ辟易したのだが、炭鉱労働もそれに負けず劣らず劣悪な環境を醸しており、 その描写がつぶさで居た堪れない気持ちになったが、それ故に優れたルポルタージュとしても読むことが出来た。 今でこそ労働環境は徐々に整備されつつあるものの、まだ充分とは言い難いし、 故人を悪く言うのは嫌なものだが、時の総理大臣が打ち出した改革なるもののお陰で、現在の雇用態形は企業側に都合の良いだけのものとなった。 (企業利益にあまりに全フリされており、セーフティはあるものの会社側がそんなもの順守すると思えず、もっと労働者側とのバランスを『しっかりと』取るべきだつた) そう言った意味では、作中の時代ほど露骨な搾取は見られなくなってはいるものの、依然として労働者からの搾取はより巧妙により陰湿に今日も行われている。 いっとき世界へ向けて盛んにアピールしていたODAにしても突き詰めれば安い労働力の確保に他ならない。 どうして人は他人の命や人生をそんなにも安く見積もれるのだろう? もし、『他人だからだろ』と言う回答が蔓延する恥も外聞も無いような世界なら、暗闇からやってくる黒い狐に誰彼なく連れ去られてしまえば良い。 と、思う。
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長かった〜 炭鉱に行くまでが特に長くそっからは結構スラスラ読めた。 合里が実は生きてるんじゃないかとは途中まで疑ってたが、死体の入れ替えは思いつかなかった! さらにそれが朝鮮人の人とは、思わなかった。 炭鉱での暮らし、特に朝鮮人たちの暮らしはかなりり酷く現実もこんな扱いを受けてたら、日本人の事嫌いになるよなーと思った。 朝鮮と日本だけでなく、シベリアで捕虜にされた日本人たちも同じように酷い扱い受けてたし、植民地にされる、捕虜にされるっていう事はこーゆー事かと今の情勢的に考えさせられた。
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ホラー色強めかな…とドキドキしながら読み進めたらそこまででもなくってちょっと安心。逆に心霊系の怖さではなく、人間の怖さを大いに感じさせられる話でした。途中、これどこかで読んだことあるぞ?と思った場面があって、よくよく思い返したら、昔、三津田氏が編集した本の中に炭鉱の怪談が掲載され...
ホラー色強めかな…とドキドキしながら読み進めたらそこまででもなくってちょっと安心。逆に心霊系の怖さではなく、人間の怖さを大いに感じさせられる話でした。途中、これどこかで読んだことあるぞ?と思った場面があって、よくよく思い返したら、昔、三津田氏が編集した本の中に炭鉱の怪談が掲載されていて、それで読んだことを思い出しました。その実際の怪談から話を組み上げていく手腕がすごい。
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戦後、朝鮮半島から引き揚げてきた主人公の物理波矢多は、あてどなく流れていく旅の中で、炭鉱夫として働くことになる。波矢多は戦後の厳しい炭鉱の世界を経験する。そこは物の怪もまだ真剣に信じられていた世界だった。 そんな時、炭坑内での落盤事故が起きる。親友は炭鉱に取り残される。一方、地上では人が死んだ。それは密室での不審死。そして現場では物の怪らしい姿が目撃された。物語が進むにつれ、密室での不審死が相次ぐ。これは何かの祟りなのか?それとも連続札事件なのか? ホラーを求めて読み始めたらミステリでしたの巻。謎解きを進めていって、すべての容疑者の可能性がなくなったところで、さあこれで物の怪が犯人??人知を超えた世界へ進むか!!と一瞬期待しましたが、ぎりぎりミステリ側にころんだという感じ。個人的には、どちらかに振り切れていた方が好きではあります。 当時の炭鉱をとりまく取材を徹底したのでしょう。重厚な雰囲気に圧倒されます。頭が下がります。
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おどおどしい感じがゾクゾクした。 密室トリックとかはイマイチだけどなんしか面白かった。 こういうのを読むと 未だにネチネチ日本を毛嫌いする朝鮮人の気持ちが少しだけわかる。
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戦後間もない炭鉱での不可解な連続死。相次ぐ事故や不審死は人による殺人なのか、黒い狐神による怪異なのか… 戦中の炭鉱夫たちの過酷な労働実態や朝鮮での強制動員について詳しく描写されていて、読んでいて正直辛い部分もあった。 前半はほとんどがそういった内容でなかなか進展しなかったけど、それらの描写が事件の核心に深く関わっていたとは…
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