生か、死か の商品レビュー
出所を翌日に控えた男が刑務所から脱走する。不可解な行動の背景から浮かび上がってきたのは、かなわなかった過去の夢と闇に葬られたはずの強盗事件の真相だった。現在と過去の出来事が不規則に記述されながらまったく戸惑わされることなくサスペンスを高め、救いようがない悲劇の先に覗くわずかな曙光...
出所を翌日に控えた男が刑務所から脱走する。不可解な行動の背景から浮かび上がってきたのは、かなわなかった過去の夢と闇に葬られたはずの強盗事件の真相だった。現在と過去の出来事が不規則に記述されながらまったく戸惑わされることなくサスペンスを高め、救いようがない悲劇の先に覗くわずかな曙光が眩しい。
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あらすじに惹かれて手に取った一冊。 物語の全容が見え出す中盤までは貪る様に読み進めて、 なんとなーく「あぁ…」と気付いてからも一気読み。 正直に言えば、色々な名作をキメラにしたような感もあり。 (頼りになる黒人囚人の親友と、冤罪でありながら希望を失わず刑に服する聡明な白人て『シ...
あらすじに惹かれて手に取った一冊。 物語の全容が見え出す中盤までは貪る様に読み進めて、 なんとなーく「あぁ…」と気付いてからも一気読み。 正直に言えば、色々な名作をキメラにしたような感もあり。 (頼りになる黒人囚人の親友と、冤罪でありながら希望を失わず刑に服する聡明な白人て『ショーシャンク~』っぽさがどうも…)後半のドンパチもハリウッド好みなんじゃないだろうかとかとか。 それでいて、筆致には淀みが無く引き込まれるのは、単に著者の力量なんでしょう。邦訳の越前さん(『解錠師』!)のザクザクした感じもとても良かったです。 シリーズ物を手掛けてきたそうで、それも主人公から脇役へ主役が移行するパターンで描かれているとか。是非、是非!モスやデジレーを主役に!! 邦題の『生か、死か』と 表紙のデザインは何とかならなかったんでしょうかね…惜しすぎる。
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ニュージーランドの作家ベン・サンダースが地元ニュージーランドのシリーズから離れ、アメリカを舞台にした作品『アメリカン・ブラッド』でブレイクしたと同様に、オーストラリア生まれの作家マイケル・ロボサムは、永く住んだイギリスを舞台にしたシリーズから離れ、アメリカを舞台にしたこの作品で...
ニュージーランドの作家ベン・サンダースが地元ニュージーランドのシリーズから離れ、アメリカを舞台にした作品『アメリカン・ブラッド』でブレイクしたと同様に、オーストラリア生まれの作家マイケル・ロボサムは、永く住んだイギリスを舞台にしたシリーズから離れ、アメリカを舞台にしたこの作品で何ともはや、ゴールド・ダガー賞(英国推理作家協会賞)を勝ち得てしまった。 二冊の外国人によるアメリカの小説を立て続けに読んでしまったために、ぼくの中で混乱が起きているのは、どちらも三人の目線を主として書かれた小説であり、その一人は女性刑事、どちらも正悪入り乱れ、バイオレンスとサスペンスに満ちた伏線だらけの作品であるからだ。 『アメリカン・ブラッド』は二十代新進作家の若さに満ち溢れたラップテンポとでも呼べるリズミカル作品にウエスタン・ヒーローを配した娯楽作品であるのに対し、本書『生か死か』は、じっくりとスロウテンポで描かれながら、圧倒的な謎の深さで勝負する正統派ミステリであり、同時に純文学的描写力ですら読みごたえを感じさせる重厚無比な大作である。 刑期満了し明日は出獄を迎えた日に敢えて脱走したオーディという主人公像そのものが本書最大のミステリだ。その同僚であったモスは刑務所長により特例で釈放され、オーディの後を追う。さらにFBIの女性捜査官デジレーが別の角度から事件の真相に関わってゆくというトライアングルな視点で、本書は年月を超えた謎の気配を満たしたまま大河のように流れてゆく。 その中で過去の罪を隠蔽しようと現代に悪の手を再び振り上げようとしている権力社会に潜んだ一派らしき存在が次第に見えてくる。罪深い罠にかけられた無罪の主人公こそオーディであるのか? 多彩な登場人物が繰り広げる神話のような物語はどこでどう繋がってゆくのか? 迷宮を歩く不安と謎への探求心がページを否応なく繰らせてゆくパワフルなミステリ。 だからこその受賞である。イギリスを舞台とした臨床心理士ジョー・オローリンのシリーズ、またはそのスピンオフ作品も多く書いてきた作家である。日本語翻訳作品はオローリン・シリーズ第一作『容疑者』のみとなるが、今後注目を集める作家のひとりとなるのに違いない。良い作家と出会えた幸運を感じさせられる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
10年の刑に服してた男が出所日の前日に脱獄、何故? この掴みで一気に物語に引き付けられる。主人公、主人公を追うために出所させられた同房の男、事件を追うFBI職員、この3人の視点で物語が多角的に描かれる。 それも現在の逃亡劇だけでなく、過去主人公が起こしたとされる現金強奪事件の真相を徐々に明らかにしていく展開は見事で、後半一気に謎が解けラストになだれ込む緊迫感の盛り上げ方はうまい。 さらには、横糸となる主人公と最愛の女性、その息子、逃亡中に知り合う女性と娘との関わりなど、ドラマ部分もしっかり出来ているので感情も移入できる。 文章も描きこみがしっかり出来ていて、マイケル・ロブサムという人は初めて読んだが抜群の出来。 こんな練り上げられた作品を読むと日本の作家の粗製乱造ぶりが嘆かわしい。
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大変面白かったです。読書時間が通勤時がほとんどですが、駅を乗り越しそうになるほど、読みだすと止まらなくなりました。 刑務所からの釈放される一日前に脱獄したオーディ・パーマー。あと一日で自由の身になれるはずなのに、なぜそんな事をする必要があったのか? 読者は何も分からないままオーデ...
大変面白かったです。読書時間が通勤時がほとんどですが、駅を乗り越しそうになるほど、読みだすと止まらなくなりました。 刑務所からの釈放される一日前に脱獄したオーディ・パーマー。あと一日で自由の身になれるはずなのに、なぜそんな事をする必要があったのか? 読者は何も分からないままオーディの逃亡劇をまるで今まさに目の前で起こっている出来事かのように、臨場感たっぷりの筆致で追っていく。 そしてこの脱獄劇の裏に隠された陰謀と愛など、予想だもしなかった意外な理由を知ることになる。 それにしてもオーディ・パーマーの半生とは何と過酷なものなんだろう。なんて強い人なんだろう。この人こそ今後はもっと幸せな人生を送るべきと思う。 物語の最初と終わりはともに水辺での場面。泳げないオーディが水面でもがく姿が象徴的だ。冒頭の回想場面でで父が語っていた言葉「崖でくすぐられている一本腕の男みたいにしがみつくんだ」が結末あたりにも登場してきたときにはフッと目頭が熱くなった。。。 スケールの大きな感動作、映画化されたらいいのになぁと思う。 そして続編も出たらいいなぁと、欲を言えばまた越前さんに翻訳していただければなぁと願う! 人生は短い。愛は果てしない。あすがないつもりで生きよ。
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寒い週末の午後一気読み 半分読んだくらいかな?筋書きが見えたのが。その筋書きが見える前と見えた後でもスピード感が変わらない。おもしろかったぞ。外国ミステリー読書週間を勝手に決めたから、もう少し他のミステリーも漁ってみよう。
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釈放前夜に脱獄した主人公。設定から面白かったが、主人公、その友人、FBI捜査官の3者の視点が交差しながら物語が進行していき、引き込まれた。最後ちょっとあっけなかった感じはするが、非常に面白かった。
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