〈情報〉帝国の興亡 の商品レビュー
ちょっとおもしろそうなので手にとってみた。 今で言うところの情報産業を、まとめてソフトパワーとし、その切り口で過去の覇権国を見定めていくような感じの内容でした。 オランダ、イギリス、おメリカという3つの覇権国家が情報伝達の新しいテクノロジーをどう利用してその地位についたのか、と...
ちょっとおもしろそうなので手にとってみた。 今で言うところの情報産業を、まとめてソフトパワーとし、その切り口で過去の覇権国を見定めていくような感じの内容でした。 オランダ、イギリス、おメリカという3つの覇権国家が情報伝達の新しいテクノロジーをどう利用してその地位についたのか、というのはかなり興味深く読むことができた。ただし電話とアメリカの覇権の関係だけはどうも明確には理解しがたい。 他の著書もちょっと手にとってみようと思える内容。
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本書では、オランダ、英国、米国が、情報網をどのように掌握したか、またそれを活用して、ヘゲモニーの一時代をどのように確立したかについて、著されています。 ヨーロッパ商業の国際展開の中核であったオランダと、活版印刷技術が商取引のテンプレート化に果たした役割について、本書を読んで初め...
本書では、オランダ、英国、米国が、情報網をどのように掌握したか、またそれを活用して、ヘゲモニーの一時代をどのように確立したかについて、著されています。 ヨーロッパ商業の国際展開の中核であったオランダと、活版印刷技術が商取引のテンプレート化に果たした役割について、本書を読んで初めて認識しました。 また、電信網を張り巡らせ、情報を迅速に伝達・収集することによって情報帝国としての地位を確立した英国。19世紀にはユーラシア大陸を横断する電信網や海底ケーブルまで敷設し、グローバル電信網を構築していた事実に驚きました。これが今に続く、海運・金融セクターでのロンドンの国際的な地位の確立に大きな役割を果たしていることがよく分かりました。 更に、アメリカが電話網の構築により、よりライブな情報である音声の伝達を通して新たな情報帝国として台頭し、IMFのような国際機関やブレトンウッズ体制の構築により20世紀に超大国となったこと。 本書での中心は、上記3か国についてですが、個人的にはフランスのユニークな腕木通信という情報伝達ネットワークが、ナポレオンの情報戦略を支えていた、という件を興味深く読みました。フランスはインターネットに先駆けミニテルを発明・展開したことも良く知られています。 またサミュエル・モールスがなぜ電信信号を発明したか、その動機には、彼の妻の死があることを本書で初めて知りました。重要なことをいち早く情報として伝達することを実現するためなのですが、もともと画家であった彼がモールス信号を発明するに至る背景に、彼の妻への愛を感ぜずにはいられませんでした。
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情報に焦点を当て、ヘゲモニー国家の500年にわたる興亡について書いた本。著者によると今までヘゲモニー国家といえるのは、オランダ、イギリス、アメリカの3か国しかない。その3か国を情報の視点からみると、オランダは印刷機、イギリスは電信、アメリカは電話によって情報管理をしていた。ヨーロ...
情報に焦点を当て、ヘゲモニー国家の500年にわたる興亡について書いた本。著者によると今までヘゲモニー国家といえるのは、オランダ、イギリス、アメリカの3か国しかない。その3か国を情報の視点からみると、オランダは印刷機、イギリスは電信、アメリカは電話によって情報管理をしていた。ヨーロッパの歴史に詳しく、説得力ある話の展開がなされており、役に立った。 「アムステルダムは武器貿易の中心であった。それにより、戦略、戦術に関する情報が比較的容易に入手できたことは、極めて重要であった」p26 「オランダは活版印刷術、イギリスは電信、そしてアメリカは電話を使用した。これらが要因となって商業情報の中心となり、ヘゲモニーを握ることができたのである」p28 「ヘゲモニー国家とは、経済的に何が正しいのか決められる国家である」p31 「(16世紀まで)ヨーロッパでは、長い間、修道士などが書物を筆写して新しい写本を作成していた。筆写しか方法がなかったのだから、書物の出版数は、なかなか増えなかった。知識は、修道士などの一部の階級の独占物にとどまっていた。彼らが、情報発信と知識の担い手であった」p37 「個々の商人は情報の非対称性を利用して利益を得るが、社会全体としてはそれを縮小させなければ適切な経済活動が困難になる」p43 「フランス革命によって、フランスの貿易量が大きく低下したからこそ、イギリスがヘゲモニー国家になれたのである」p50 「17世紀のヨーロッパ商業の中心地はアムステルダムであった。アムステルダムが持つ、もっとも重要な機能は、商品の流通と情報の集約・発信であった。1600年に6万5000人だった人口が、1700年には23万人になった。さまざまな地域から、人びとが移住したからである」p68 「西欧の一人当たりの出版点数は、清や日本のようなアジア諸国と比較して、はるかに多かった。しかも、活版印刷術の改良により、書物の価格は安価になった。要するに、西欧はアジアよりも大きく進んだ知識社会であった」p71 「オランダにせよポルトガルにせよ、商業情報のネットワークとは、商人のネットワークだった」p85 「パリからブレストにはだいたい550kmの腕木通信線が整備されていました。そしてパリから発信された腕木通信の信号は、何とものの480秒(8分)後にブレストに届いたといいます。これは秒速1125m、音速の3倍以上の速さで信号が駆け抜けたことになります」p90 「アメリカという国は、アメリカ大陸以外の地域から大きく離れている。したがって、攻撃を受けにくい一方で、他地域を攻撃することができるという利点がある。それが如実に現れたのが、二つの世界大戦であった。第二次世界大戦が終わると、アメリカは圧倒的な経済大国として登場する」p134 「イギリスが世界に張り巡らした電信は、世界中で使われ、その使用料がイギリスに流入した。世界経済が成長するほど、イギリスは儲かるうえに、世界各国はイギリスが作り上げたシステムを使うほかなかった」p151 「明確なヴィジョンなき破壊のあとには、よりたいへんな生活が待っているだけかもしれない」p188 「ウォーラーステインによれば、飽くなき利潤追求が、近代世界システムの特徴である」199 「企業が短期的成果しか求められないのは、近代世界システムと新しく生まれつつあるシステムの構造の問題に由来するものと思われる」p202 「人は知らず知らずのうちに、貧困にあえいでいる人たちから搾取する可能性がある」p203
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「〈情報〉帝国の興亡 ソフトパワーの五〇〇年史」 読み終わった。インターネット以前の情報史(出版、腕木通信、電信、電話)がまとまっていて手軽に読むには良い本。ただ、もう少しインターネットについて書かれていても良い気がする。
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非常に面白く感じました。 気になりましたのは筆者の誠実すぎる引用なんです。 「ウォーラステインでは・・」 きちんと引用先示して反対意見も筆者なりにNOと書いている訳ですよ。 引用先や資料先より知識を体得し血なり肉なりにしていらっしゃるにも 関わらず、いちいちこまめに書くと読んでる...
非常に面白く感じました。 気になりましたのは筆者の誠実すぎる引用なんです。 「ウォーラステインでは・・」 きちんと引用先示して反対意見も筆者なりにNOと書いている訳ですよ。 引用先や資料先より知識を体得し血なり肉なりにしていらっしゃるにも 関わらず、いちいちこまめに書くと読んでるこちらが なんというか「躓く」おっとっと・・・という感じで。 ズバリと筆者のストレートな強烈なパンチを出さないと 読んでる方は騙されません・・・。「そうか・・そうだよな!」とgo!go!とはなりません。 職人気質の学者さんですよね。仮構でもぐわーっと・・ 読み物ですしね・・・
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※このレビューにはネタバレを含みます
さらさら読めるんだが、主語が拾いにくい。端的に言えば、分かりにくい。 オランダのゲヘモニー。活版印刷の普及は商業の発展に繋がった。ヨーロッパ内での情報の共有化による価格の均一化や情報の正確性の向上から国際貿易商人の活動が活発となった。17世紀、ヨーロッパ商業の中心地はアムステルダムだった。宗教的寛容、人の移住移民による商業技術の伝搬を背景に商取引が拡大した。 さらっと読んでしまった、イギルスのゲヘモニー。イギリスは国家が自由経済に介入したからこそ成長した。イギリス帝国は電信によって維持される帝国だった。電信の敷設は、国内では国が、対ヨーロッパは私企業によって敷設された。電信は蒸気船とセットで世界を縮めた。蒸気船は航海の確実性を増大させた。この事は、商業的にも軍事的にも極めて重要なことだった。イギリスが成功した背景には、ヨーロッパにおいてはオランダの、ヨーロッパ外世界ではポルトガルの商業を巧みに利用し奪い取っていった点がある。電信の発達は商業慣行を国際的に統一する傾向を生み出し、近世の無国籍の国際貿易商人を多国籍の国際貿易商人にした。(あと、電信の速度とか金融がうんとか書いてあった。) ここまでで、あとは読み流し。活版印刷が社会にどう影響したのかを知りたく手にとった一冊。資本主義社会の成り立ちについて書かれた本の引用があり、この点有意義だった、引用された本を読んでみようと決意した一冊。
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情報を切り口に、オランダから始まるヘゲモニー国家の経緯と、今後の展望について論じられております。 ドイツ発の印刷技術を起点に、広告戦略など情報の集約と拡散により、商業起点をアムステルダムに築き、世界の貿易を制したオランダ。 産業革命による機械化だけでなく、電信インフラを世界中に構...
情報を切り口に、オランダから始まるヘゲモニー国家の経緯と、今後の展望について論じられております。 ドイツ発の印刷技術を起点に、広告戦略など情報の集約と拡散により、商業起点をアムステルダムに築き、世界の貿易を制したオランダ。 産業革命による機械化だけでなく、電信インフラを世界中に構築し、情報をいち早く統制することにより、域外に広大な植民地を統制・管理したイギリス。 元々の広大な領土の性質上、ポテンシャルある工業生産力だけでなく、電話による音声通信の研究・発達と共に、情報の速報性を武器に、第二次世界大戦後に、世界の中心となったアメリカ。 非常にユニークな視点で、なかなか面白い書物でした。
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情報という観点から世界のヘゲモニー国を見た歴史書。活版印刷で欧州の商業習慣が統一化されそれが世界に広まった、その情報が承認国家であるアムステルダムに集まりオランダのヘゲモニーが始まる。それを受け継いだイギリスは産業革命を実現したがその裏では電信を主要な航路や陸路に引いて情報を集約...
情報という観点から世界のヘゲモニー国を見た歴史書。活版印刷で欧州の商業習慣が統一化されそれが世界に広まった、その情報が承認国家であるアムステルダムに集まりオランダのヘゲモニーが始まる。それを受け継いだイギリスは産業革命を実現したがその裏では電信を主要な航路や陸路に引いて情報を集約、またその手数料を稼いで金融帝国を作り上げた。アメリカは電話を電信網では知らせることに成功し、特にその広大な国土を文化的に統一することで国民経済を作り上げ、イギリスにはない経済力を持った。その後インターネットを解放したがそれは情報を集約することにはならず曲のない世界が出来つつある。
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情報を核に世界を制した国家は3つ。オランダ、イギリス、アメリカなのだという。 だけどいずれも軍事力あってのものだよね。いかに情報をテーマにしているとはいえ、他の要因を軽視し過ぎじゃないかな。 ネットにより、今後は中核なき情報世界が予見されるとしてるけど、ホントかな。今のネットも誰...
情報を核に世界を制した国家は3つ。オランダ、イギリス、アメリカなのだという。 だけどいずれも軍事力あってのものだよね。いかに情報をテーマにしているとはいえ、他の要因を軽視し過ぎじゃないかな。 ネットにより、今後は中核なき情報世界が予見されるとしてるけど、ホントかな。今のネットも誰かの意思に操られているんじゃないのかな。
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※このレビューにはネタバレを含みます
情報という側面からヘゲモニー国家の移り変わりを分析する。オランダ・出版物、イギリス・電信、アマリカ・電話という流れだが、全体を通しての論旨は弱く感じた。まず本書の中でのヘゲモニー国家という概念が明確でない。オランダとイギリス、アメリカを同列にするのは無理がある。イギリスと電信の関係は興味深いが、アメリカのヘゲモニーと電話のつながりは薄いので、本書の全体的な主張が見えにくい。またインターネットの登場で中心が消失したと述べられているが、いまだに世界はアメリカ中心で動いているのではないか。
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