手のひらの音符 の商品レビュー
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P117 ドはどりょくのド、レはれんしゅうのレ、ミはみずきのミ、ファはファイトのファ... そこに水樹が入るのは、すごくいい。 そこから一気に物語に引き込まれる。題名からして、音楽の話かなと思った。この歌が出てくるころには、あ...音楽の話じゃない。これは後からどういう風に生きてくるんだ?とドキドキしながら読み進める。 P307 どんなに遅れてもいいから全力で走ってこい。半周遅れでも一周遅れでもいい。必死に走ってバトンを渡せ、って。そしたら自分も全力で走れるから。 (中略) バトンを渡した先に何があるかは分からない、諦めるな。受けとる側にとってはバトンをもらう順位よりも、どんな気持ちでそのバトンが渡されたか、その方が重要なんだって。 P322 「だって彼しかいなかったから」 「お父さんしかいなかった」 お父さんを選んだ自分の人生に後悔はしていない 最後に、父親を受け入れた母親も長男の、なんで?って思ったら、お母さんが受け入れたからなんだね。そしてお父さんはお母さんを見つけったって、そう思える娘も素敵。 p323 虚しいというのは何も為さないことではなくって、幸せな時間を生きてきたと思えないことだから。 (中略) 他人からすれば不完全な人生だと思えるかもしれないけれど、私にとってはこれよりほかにない人生だったの。 そう思える人生を歩みたい。 最後に遠子先生が、 「だから、瀬尾さんも、自分の本当の気持ちを大切にすること」 といったことで、この物語のすべてなんじゃないかとすら思えてくる。 P330 諦めない心の先に何かがあるかもしれない
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大きく見ると恋愛ものなのかもしれないけどほとんどは人間ドラマ。 京都とか東京が舞台で、アパレルにまつわる話だけど、ほとんどは人間ドラマ。 昔の、子どもから見た日本の雰囲気がすごく懐かしくて。 自分も団地っ子だったそういえば。 貧しさや家庭環境アピールの小説って最近めっきり読んでなかったから、 実際その頃(70~80年代かな?)ってそういう人達が今よりもずっと多かったんだろうなと考えさせられた。 バブルに家族や周りが翻弄されたりとか、 学生の時にバブルで華やかなバイトをしたりとか、 郷愁に駆られる方々多そう。 この言い回し好き。 「いつも遊んでいた児童公園は、両手にすっぽりと収まりそうなくらい小さく感じられ、遊んでも遊んでも満足することのなかった当時の膨らんだ気持ちを、この公園が包みきっていたことが信じられない。」 この台詞シビレタ。 「(陸上のリレーで)諦めるって気持ちは、周りの人間に伝染するんだ。(中略)バトンを渡した先に何があるかはわからない、諦めるな。受け取る側にとっては、バトンをもらう時の順位よりも、どんな気持ちでそのバトンが渡されたか、その方が重要なんだって」 「(中略)今の日本は、昔のような右肩上がりの状態ではないかもしれない。でもだからといっておれたちの世代が走ることをやめると、次の世代はもう走る気を完全になくすんじゃないか。」 ホントそう。マジでそう。 自分がロスジェネだからって上の世代や時代のせいにしてやる気無くしたら下の世代に悪影響!
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京都弁や岡山弁?で語られてる部分が好き。 子供時代の5人をもっと沢山観ていたいと思った。 そのせいか、先生と憲吾の関係にはちょっと違和感。 けどラスト、会えて本当に良かった!
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主人公・水樹は、29歳の時ファストファッションを目指し始めた会社を辞して、デザイナーとして今の服飾メーカーに転職した。十六年を経て、会社が服飾から撤退すると告げられる。 未婚の彼女は、これからを考える。そんな時、高校の同級生から、恩師の病気の連絡が入る。久しぶりに帰郷した彼女は、...
主人公・水樹は、29歳の時ファストファッションを目指し始めた会社を辞して、デザイナーとして今の服飾メーカーに転職した。十六年を経て、会社が服飾から撤退すると告げられる。 未婚の彼女は、これからを考える。そんな時、高校の同級生から、恩師の病気の連絡が入る。久しぶりに帰郷した彼女は、高校から幼少期まで思い出を遡っていく。 ここに至るまで、彼女を支えてくれた友人達。貧しく生活するだけで精一杯だった団地生活。そこで助け合っていた同級生家族。何故か連絡先さえわからない彼ら。 過去の思い出の中に、今が描かれていきます。 辛い記憶が多くても、今の拠り所となる過去。 子供は時間をかけて大人になる、そう言った少年達が、時間をかけて築いたものに感銘します。45歳は、まだこれからね。
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初作家さんです。 楽しかったこと、苦しかったこと、友達を傷つけたかもしれないこと。幼馴染は元気かな?...自分の学生時代ことをたくさん思い出させてくれる作品でした。 辛い出来事も多かったけれど、ラストは感動でした。長い間想い続けられる人がいるっていいな。 感動より、辛い出来事...
初作家さんです。 楽しかったこと、苦しかったこと、友達を傷つけたかもしれないこと。幼馴染は元気かな?...自分の学生時代ことをたくさん思い出させてくれる作品でした。 辛い出来事も多かったけれど、ラストは感動でした。長い間想い続けられる人がいるっていいな。 感動より、辛い出来事の方が多く印象に残ってしまったところが、個人的に少しマイナス点でした。
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ネタバレも含みますので、ご注意を。 主人公は40すぎの瀬尾水樹。東京で服飾デザイナーとして働くも、その服飾部門から手を引くと社長に告げられる。 ちょうどその頃、高校3年のときの同級生、憲吾から連絡があり、担任だった先生が体調を悪くされ、もしかしたら来年まで持たないと。 京都で過ごした高校まで。小学生の時の近所の兄弟と遊んだこと。その兄弟たちの思い出。 入院中の先生との会話と、今の水樹の進路を決めてくれた先生との思い出。 主人公は母親が内職でバービー人形の服を作っていたため、それを手伝うことから自分の服を作ったりして服飾に興味もつも、高校を卒業したらすぐに就職しないといけない。それを、服飾に興味あるなら専門学校で専門的な事を身に着けて就職すればいいと勧めてくれる。 憲吾は現在京都の呉服産業で培った技術を生かして新しいことを始められないか考えている。 それを水樹に手助けしてほしいと。 そこから水樹が自分で立ち上がっていく様子と、ずっと会えなかった近所の兄弟との再会。 ラストのシーンは印象的でした。
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2人のピュアで一途な思いが すれ違ったり重なったりして 切なくて、もどかしかった 自分をずっと支えてくれる幼馴染とか 憧れるなぁって思った どんな環境で育ったとしても 自分が情熱を持って取り組めるなにかを見つけた人って かっこいいなと思う 自分は自分の戦い方を見つけていきたい
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東京で夢を叶えてデザイナーとして働く瀬尾水樹は 高校時代の恩師が病気との連絡を受けて地元である 京都に帰郷する。 余命幾ばくもない恩師、連絡をくれた学級委員長憲吾との再会。 懐かしい記憶に思いを馳せる水樹には忘れられない幼馴染の三兄弟がいて… いつも一緒だったあの頃の思い出にも...
東京で夢を叶えてデザイナーとして働く瀬尾水樹は 高校時代の恩師が病気との連絡を受けて地元である 京都に帰郷する。 余命幾ばくもない恩師、連絡をくれた学級委員長憲吾との再会。 懐かしい記憶に思いを馳せる水樹には忘れられない幼馴染の三兄弟がいて… いつも一緒だったあの頃の思い出にもう。゚(゚´ω`゚)゚。 最近ユルユルの涙腺ですがホント切ない。 先が気になって読む手も止まらず寝不足です。 藤岡陽子さんの作品は切ないけど必ずハッピーエンドってわかってるけど(/ _ ; ) 皆んなよく頑張ったね! わたしも頑張るよ〜! そんな素敵な作品でした(^ ^)
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初めて読む作家さんでしたが、すごく良かった。途中からうるうるしっぱなしで、ラストシーンの手紙を読んで、分かってはいるのに涙腺崩壊。 主人公と、同じ団地に住んでいた森嶋三兄弟のエピソードを中心に過去と現在のシーンが入れ替わり立ち替わり出てくるのだが、読みづらくなく、スッと頭に入ってくる。 信也は、これが最後の会話になるかもしれないと分かっていて、水樹にシューズ入れの直しを頼んだんだなとか、東京の専門学校まで水樹に会いに行ったのに、自分とは別世界の煌びやかな人たちを見て会う勇気がなくなってしまうところとか、年を重ねるごとに、自分は会いたいって思ってるけど相手は迷惑かもしれないって思いが強くなるところとか、切なすぎて、共感できて、胸が痛くなった。 水樹は専門学校で自分に想いを寄せてくれる圭とのエピソードがすごく好き。圭の真っ直ぐで誠実な人柄が好きすぎる。自分をこんなに好きになってくれる人を好きになれないなんて、自分はどうかしている。って思う水樹もばかまじめで好き。 人の人生は短く、離ればなれになったり一生会えなくなったりするかもしれない。何が起こるかわからないのだから、今、この瞬間の本当の気持ちを大切にしなくてはいけない。そう思った。
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主人公は仕事が大好きな45歳独身で自分から見るとまだ先の未来の話だし感情移入しにくいと不安に思ったが過去の回想シーンで幼い頃から現代までの水樹の生きてきた環境や出会いにすぐに身近な存在のように読みいってしまった。 そして読み進めていくうちに最初は水樹と同じように仕方がないとかし...
主人公は仕事が大好きな45歳独身で自分から見るとまだ先の未来の話だし感情移入しにくいと不安に思ったが過去の回想シーンで幼い頃から現代までの水樹の生きてきた環境や出会いにすぐに身近な存在のように読みいってしまった。 そして読み進めていくうちに最初は水樹と同じように仕方がないとかしょうがないとか諦めがちな気持ちだったが登場人物たちに自分自身が励ませるような自然と勇気をもらえる、自信が出るような気持ちになりました。 一途さと勇気と前向きさを思い出したい人には是非読んでほしいと思います!
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