苦海浄土 全三部 の商品レビュー
指を切って血で清書させるくだりが強く印象に残った。何年もかけて綴られた文。文学。ペンの強さを信じ続けていたのだろう。方言や詩、報告書などの引用──様々な形態をとりながら描かれ、迫真の文学だ。
Posted by
石牟礼道子が亡くなって3年半も経つということが、にわかに信じ難い。 三部作の合本は鈍器のように重いが、物理的な重さを超える重量と重力が宿る。執念いやむしろ怨念めいた筆致の裏には、彼の地に根付いてる宗教的人類への博愛と、断罪が滲んでる気がしてならない。 マイルストーンとはこういう作...
石牟礼道子が亡くなって3年半も経つということが、にわかに信じ難い。 三部作の合本は鈍器のように重いが、物理的な重さを超える重量と重力が宿る。執念いやむしろ怨念めいた筆致の裏には、彼の地に根付いてる宗教的人類への博愛と、断罪が滲んでる気がしてならない。 マイルストーンとはこういう作品のことだと思う。
Posted by
読み終わった、にしたがとても読み終われるものではない。 衝撃。 途中、ユージン・スミスの写真集を傍らに読んだ。
Posted by
近・現代社会が排除してきた、十全なメンタリティ。 それは、水俣病の被害者の方々にこそ守られていたのではないか? 筆者の表現力にも、敬意を感じた。
Posted by
言葉が生きていて、突き刺さってきた。 この分厚い本を読み切ることができるのか?と思っていたけれど、どんどんペースをあげて気がついたら読み終わっていた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
三部作目途中まで読んでいての感想。読んでいてつらいっす。久しぶりにじっくり読み込んでます。引用を入力するにしても、常用漢字以外を調べるのに、この字をここで使うか!!と驚きと感銘があり読み応えがあります。 第一部 苦海浄土 患者や家族自身が発せられる言葉に傷ついた。ただ今までのように生活していきたい。との気持ちが前面に出されていて、読んでいくのにしんどかった。いま被害者(この言葉が適切であるかどうかは疑問をもってしまう)は己を受容し生きているのだろうか。筆舌に尽くせない内容だった。 第二部 神々の村 村を語る合間にちらちらと水俣病の姿が見える。ただの村が水俣病によって神格化されているのになんとも言えない気分になる。第一部にもあったが、少女の月ものの処理のくだりは、筆舌に尽くしがたい感情が湧きあがった。残された子の、先に逝った親の、共に命を奪われたその苦しみに思いを馳せると、言葉に詰まる。 第三部 天の魚 闘争の中で出てくる言葉の一つ一つに様々な思惑があり、どの発言も切実に訴えるものがあった。裁判の経過について書かれているこの三部はほか二2部とは変わった面で読みにくかった。 全三部作を読んでの感想 公害について初めて考えたのは、小学5年生の時。公害を一枚の新聞として各自まとめるように言われたときだった。私は、イタイイタイ病を選び自分なりに書きあげたと思う。今になってあのとき書き上げた物は表面的なものにすぎなかったのではないかと振り返る。 この本を読むに当たり、関連する多くの動画を見た。ショッキングなものもあったがそれを押してでも読み切れたのは、日々の生活の一部が描写されていたからだと思う。又その一面が病を反逆的に浮かび上がらせていたのも事実だ。 日本はこれまで多くの公害に遭遇したけれども、新しい化学物質や技術の進展により、今後もブラックスワンは起こると思う。その時どうするのか、とても考えさせられた内容だった。
Posted by
- 1