よっつ屋根の下 の商品レビュー
以前アンソロジー『Wonderful Story』でこの作品の1話目『海に吠える』を読んだとき、とても感銘を受けました。その続きを読むことができるのは嬉しいことです。父親の左遷に反発した母親のせいで、バラバラに住むことになった家族。母の決断は単に都会のお嬢様の我が儘だと思っていた...
以前アンソロジー『Wonderful Story』でこの作品の1話目『海に吠える』を読んだとき、とても感銘を受けました。その続きを読むことができるのは嬉しいことです。父親の左遷に反発した母親のせいで、バラバラに住むことになった家族。母の決断は単に都会のお嬢様の我が儘だと思っていたのに、実は家族の中で最も重い事情を抱えていた母。それを10年の時をかけて家族が理解をし、新しい家族の形を作ってゆく過程は感動的です。家族の形は様々なんだな。表紙のイラストとともに、素敵な作品でした。
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父の左遷がきっかけで、家族に変化が生じ、自分と家族どちらが大事なのか、それぞれの家族の思いが揺れ動く。家族の気持ちにすれ違いが生じ、やがてそれが後にどうなるのか、バラバラになるのではと不憫な気持ちも感じながら読み進めていった。家族が離れ離れになってしまっても、様々な心情、喜怒哀楽...
父の左遷がきっかけで、家族に変化が生じ、自分と家族どちらが大事なのか、それぞれの家族の思いが揺れ動く。家族の気持ちにすれ違いが生じ、やがてそれが後にどうなるのか、バラバラになるのではと不憫な気持ちも感じながら読み進めていった。家族が離れ離れになってしまっても、様々な心情、喜怒哀楽、悩みを乗り越え、見えない絆で結ばれていると思う。家族のあり方は多種多様であり、正解はなく、幸せであればこれの一つの形だと感じる。銚子の風景と、そこに溶け込む家族の姿、懸命に生きる子供たちの様子が繊細に精巧に描かれているのが良い。
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父、母、兄、妹の4人それぞれが自分なりの解釈をしていた。家族であったとしても、時にはしっかり話し合い、お互いの考えを照らし合わせてみることも必要なのかも。 友人などから、家族のことを知らされたのはラッキーだったのかもね。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
【収録作品】海に吠える/君は青い花/川と小石/寄り道タペストリー/ひとつ空の下 病院の問題を告発したことで僻地に飛ばされた父親。彼を責める妻の一族。妻と私立小学校に通う娘は残る。父を責める親戚に反発した長男は父親に付いていくことを選ぶが。 家族を愛しつつも信念を曲げられなかった父親、家族のために不正をのみこめなかった父親を責める親族の価値観から逃れられない母親。どちらの気持ちも身につまされるが、気持ちよくまとめられている。 「海に吠える」では、小6の長男の視点で新たな生活になじんでいく過程が描かれる。「君は青い花」では、父親と高嶺の花だった母親との出会い、「川と小石」では母親の葛藤、「寄り道タペストリー」では高2になった娘がある事件を通して父親の考えを理解するまでが描かれる。そして、「ひとつ空の下」で、四人四様の生き様が示される。 家族がいても、いつか一人になる。そのとき、納得して生きていくためには、自分に誠実であることが大切だ。
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勤め先の大病院の不祥事隠蔽を批判し、銚子の病院に飛ばされた父。私立中学受験を断念し、父についてゆく僕。 裕福な家庭に育ち、白金での暮らしを捨てられない母。 母とともに東京に残った私立小学校に通う妹。 大学生になり、僕は千葉へ、妹は札幌へ・・・。 親子四人、それぞれの生活と思い...
勤め先の大病院の不祥事隠蔽を批判し、銚子の病院に飛ばされた父。私立中学受験を断念し、父についてゆく僕。 裕福な家庭に育ち、白金での暮らしを捨てられない母。 母とともに東京に残った私立小学校に通う妹。 大学生になり、僕は千葉へ、妹は札幌へ・・・。 親子四人、それぞれの生活と思いを綴る、家族の物語。
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周囲からは、恵まれ幸せそのものに見えても、それぞれが抱えている気持ちがある。一緒に暮らしていなくても、この家族は間違いなく幸せなんだも思う。
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とある家族の物語を、それぞれの視点から描いたもの。 1作目の長男史彰のパートだけはアンソロジーで読んだことのあるもの。 父滋が、人間として素晴しいことに大感動。 家族は大事だけど、でも、医者として患者の命をおろそかにはできないという、その姿勢。 なんていう素晴しい。 左遷された千...
とある家族の物語を、それぞれの視点から描いたもの。 1作目の長男史彰のパートだけはアンソロジーで読んだことのあるもの。 父滋が、人間として素晴しいことに大感動。 家族は大事だけど、でも、医者として患者の命をおろそかにはできないという、その姿勢。 なんていう素晴しい。 左遷された千葉についていった史彰もかっこいい。 父親が大好きなのね。もちろん、他の家族も。 妹麻莉香のパートで、その行為に大きな意味があったことが分かってとっても嬉しい。 なんだかんだで、彼らの気持ちは、決定的に離れたわけではない。最後の章のタイトルから伝わるように、一緒に暮らさないことが家族の分裂ではないのだから。
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だれもが家族を愛していて、家族とともに暮らす生活を大切に思っていて。 なのに、「普通の暮らし」ができなくなったとき、自分はどの道を選べばいいのか。その道を選ぶために選ばなかった道を捨ててしまえるのか。 多分、日本中にこの平山家のような家族がたくさんいるだろう。原因はいろいろだろう...
だれもが家族を愛していて、家族とともに暮らす生活を大切に思っていて。 なのに、「普通の暮らし」ができなくなったとき、自分はどの道を選べばいいのか。その道を選ぶために選ばなかった道を捨ててしまえるのか。 多分、日本中にこの平山家のような家族がたくさんいるだろう。原因はいろいろだろうけど、別れて暮らす生活はやはり少しずつひずみが生まれたりもするし、一番弱いところ、幼い子のところで問題が蓄積されて大きくなっていったりする。 それをどうやって崩してならしてまた新しい形を育てていくか、が親の責任であり逃げてはいけないところなんだろう。 フミくんが母親や親せきからのプレッシャーに負けずに父親との暮らしを選んだ、そして見知らぬ土地での生活のなかでまっすぐに育って行った、その彼自身と彼の時間が愛おしくて。 一面からだけ観れば母親を一方的に責めたくなるのだけど母親が抱いていた問題が明らかになるにつれそっとかばってあげたくなる自分がいた。 この夏サイコーの家族の物語です。
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