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弱いつながり の商品レビュー

4.2

34件のお客様レビュー

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2025/01/18

哲学とか批評とかに基本的に興味のない読者を想定した本、と序盤に明示されているように、ライトな語り口の本人的にも自己啓発といっている種類の本でした。でも散漫な語り下ろしの感じではなく、(語り下ろし、ってことばを東さんの本でしか見ない) 世界各地の名前別の章立てになっていてほんのり...

哲学とか批評とかに基本的に興味のない読者を想定した本、と序盤に明示されているように、ライトな語り口の本人的にも自己啓発といっている種類の本でした。でも散漫な語り下ろしの感じではなく、(語り下ろし、ってことばを東さんの本でしか見ない) 世界各地の名前別の章立てになっていてほんのり「旅する」小文の構成でそれぞれにテイストも違うという工夫もあり、面白く、思いの外満足感が高かった。 紀伊國屋じんぶん大賞受賞作。いい賞だ。 モノ至上主義とコトバ至上主義の思想について(ミシェル=フーコー)興味をもった。 ・動物的な感情、「憐れみ」を活かそう ・偶然的な弱い絆こそ強い ・新たな検索ワードを持つために旅に出よう キャッチーでわかりやすい言葉ながら、その思想もよく腑に落ちた。 特に「新たな検索ワードを持つ」は新しいスキーマで世界を読むということに先日別の本で印象を深めたことに通ずるものがあったし、 随所で「ノイズこそ大事」というのにも納得感がある。 ちまたで流行っている『移動する人はうまくいく』ってどんな内容なのかなー 寺山修司『書を捨てよ、街にでよう』ってどんな内容だったっけかなー と余計なことを考えながら読んでいた。

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2024/08/11

人間は環境に規定されてしまう。 そんな人間が「かけがえのない自分」として生きていくためのヒントとして、環境にノイズを忍び込ませること、記号では捉えきれない「モノ」があると認識すること、無責任・軽薄に生きる側面を持つこと、すなわち「観光客」として生きてみることが提案されている。 ...

人間は環境に規定されてしまう。 そんな人間が「かけがえのない自分」として生きていくためのヒントとして、環境にノイズを忍び込ませること、記号では捉えきれない「モノ」があると認識すること、無責任・軽薄に生きる側面を持つこと、すなわち「観光客」として生きてみることが提案されている。 最近、法律の勉強に時間を割かれ、記号の世界に閉じ込められていた。お金も時間もないし、友人が海外旅行する様をInstagramで見て、俺は日常の中に小さい幸せを見つけられるんだ、なんて小さい捻くれた世界に閉じこもっていた。 旅に出たいと本気で思う本だった。今の僕の人生には明らかにノイズが足りていない。脳みそも心もどんどん痩せ細っていってるのが分かる。旅に出よう。

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2024/08/08

(2014/10/11) ネットは弱いようで強いつながりだという。 固定した仲間としかつるまない。 新しい環境に触れるには、 弱いリアルを求めるのが一番。 そのためには旅をしようという。 ネットでストリートビューをすれば現地の様子はわかる、 でもそれは旅ではない。 その違いは移...

(2014/10/11) ネットは弱いようで強いつながりだという。 固定した仲間としかつるまない。 新しい環境に触れるには、 弱いリアルを求めるのが一番。 そのためには旅をしようという。 ネットでストリートビューをすれば現地の様子はわかる、 でもそれは旅ではない。 その違いは移動時間にあるという。 その場に行くまで、帰るとき、 体を一定時間その場に拘束すること、そして欲望することに 意味があるという。 深い。 だから著者はダークツーリズム、チェルノブイリ観光を実施し、 さらに福島原発を観光地化しようとする。 平野啓一郎氏の分人化にも触れている。 ただ、平野氏がそれぞれの村人であれ、というのには反対し、観光客でいい、という。 日本人は村人になりたがる。正社員もそれ、と。 従来の仲間ではなく、パーティであっただけの人の言葉をきっかけに転職する、 なんて話もあった。 弱いつながりがきっかけになると。 同感できる。 気楽に、でも新しい刺激を求めたい。 ネットをやるなら日本語以外で検索を。そうだよなあ。。。 目次 0 はじめに――強いネットと弱いリアル 1 旅に出る 台湾/インド 2 観光客になる 福島 3 モノに触れる アウシュヴィッツ 4 欲望を作る チェルノブイリ 5 憐れみを感じる 韓国 6 コピーを怖れない バンコク 7 老いに抵抗する 東京 8 ボーナストラック 観光客の五つの心得 9 おわりに――旅とイメージ

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2024/06/29

面白いなぁ。エッセイ的な旅の話を読みながら、哲学的なことを考えられる本。こんなの今まであっただろうか。

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2024/01/17

メモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1747426657865253143?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw

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2023/12/13

言葉→メタ化する、抽象化する× 旅(リアル)→言葉では表象不可能なもの/科学的には言語化できない痛み(ホロコースト等)を空間として認識させ、自己の中に表象可能なものとして受け取らせる。(感情を操作する)◯ ↓ 検索エンジンに支配された固定的な人生から脱する...

言葉→メタ化する、抽象化する× 旅(リアル)→言葉では表象不可能なもの/科学的には言語化できない痛み(ホロコースト等)を空間として認識させ、自己の中に表象可能なものとして受け取らせる。(感情を操作する)◯ ↓ 検索エンジンに支配された固定的な人生から脱するためにも、自らの検索ワードを増やす→記号を旅するために現実を旅する + 「モノ」→弁証法的な記憶の書き換えに抵抗する。 ————————————- ネット→強い絆を深める(身近な交友関係、興味関心を強固なものにする)△ 旅→「無責任な弱い繋がりを増やす。」◯ →偶発性に頼り、計画性を棄てる人生 ⇄移動は人類を滅亡させる

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2023/10/28

訂正する力→ゲンロン戦記ときてこれを読んだ。時系列的に遡ってる感じ。ある意味、著者の考えの筋道とか一貫性とかが見通せる感じで、良い流れではなかったかと思う。次に読むのは近々くるはずの「訂正可能性の哲学」になる(その前にゲンロン15か?)と思うけど。本棚で「存在論的、郵便的」が待っ...

訂正する力→ゲンロン戦記ときてこれを読んだ。時系列的に遡ってる感じ。ある意味、著者の考えの筋道とか一貫性とかが見通せる感じで、良い流れではなかったかと思う。次に読むのは近々くるはずの「訂正可能性の哲学」になる(その前にゲンロン15か?)と思うけど。本棚で「存在論的、郵便的」が待っているのではあるが。

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2023/05/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

人生にノイズを入れる必要がある、と思わされた一冊。 情報に溢れた社会の中では、それ自体が強い繋がりとなって自分を固定化してしまう。それに抗い、人生にノイズを入れること、弱いつながりをつくることで、その情報をもっと豊かにでき、一度きりの人生を豊かにできるのだ、と。 深く入り込まなくてもいい、浅く、好奇心を持って、半村人であるような感覚でいればいいと説く。 それだけではなく、東氏がいいたい哲学的、かつ本質的な部分は何度か読むことによって理解できていくのだろうと思う。

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2023/03/25

環境を変える!っていうのが目的になると、曖昧にはなるから見失う可能性は高いなとは思う。内発性が動機にある方が続けやすいと思うけれど、観光客として新しい空気をとりこむとか、日常から非日常への飛躍は大切で、そのための旅はすべきやなー。

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2023/03/12

自分が今いるコミュニティから外に出てよその文化を体験するってことの重要性はとても共感。これは自分の視点として私自身も日頃から志向している。 そこからさらに、よそ者がよそ様のコミュニティに無責任に首を突っ込んで当事者でもないのに好き勝手思ったことを発信すること は咎められがちだけど...

自分が今いるコミュニティから外に出てよその文化を体験するってことの重要性はとても共感。これは自分の視点として私自身も日頃から志向している。 そこからさらに、よそ者がよそ様のコミュニティに無責任に首を突っ込んで当事者でもないのに好き勝手思ったことを発信すること は咎められがちだけどむしろ新たな解とか可能性を見出すヒントになりうるからOK という社会の視点は言われるまであまり考えたことがなかった。でも確かにそうだなと学びになった。 この本を読んで、自分は視野を広げるとか自分自身のことしかなかなか考えていないけど、東さんは世の中の健全な有り様がなんなのかについても当事者意識?を持って考えられているんだなということが改めてしみじみ実感できて、さすがだな と思った。 陳腐だけど、積極的に未知な領域に飛び込んで、よそ者であることから気後れするのではなくよそ者であるからこその気づきを堂々と述べていこうと思った。

Posted byブクログ