超金融緩和からの脱却 の商品レビュー
はじめに 第1章 本書の目的と審議委員としての経験 第2章 金融政策を取り巻く環境の大きな変化 第3章 なぜ世界の主要中央銀行は2%の物価安定目標を目指すのか 第4章 金融政策の正常化に向かう米連邦準備理事会(FRB) 第5章 異次元緩和を継続する日本銀行―緩和不足批判から緩和過...
はじめに 第1章 本書の目的と審議委員としての経験 第2章 金融政策を取り巻く環境の大きな変化 第3章 なぜ世界の主要中央銀行は2%の物価安定目標を目指すのか 第4章 金融政策の正常化に向かう米連邦準備理事会(FRB) 第5章 異次元緩和を継続する日本銀行―緩和不足批判から緩和過剰批判へ 第6章 非伝統的政策の本格的開始が遅れた欧州中央銀行(ECB) 第7章 物価の安定と金融システムの安定―どちらが優先されるべきか 第8章 金融政策と財政政策―ヘリコプターマネーと政策協調はどう違うのか 参考資料
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エコノミストによる金融政策の解説書。日銀の政策委員を務めている時に行った金融緩和政策について、実施の詳細と意図、効果を正確に書いている。また、米欧の金融政策の詳細と、それぞれの比較など、学術的に有意義な書籍だと思う。ただ、私の知識が浅いため、すべてを吸収することができなかった。 ...
エコノミストによる金融政策の解説書。日銀の政策委員を務めている時に行った金融緩和政策について、実施の詳細と意図、効果を正確に書いている。また、米欧の金融政策の詳細と、それぞれの比較など、学術的に有意義な書籍だと思う。ただ、私の知識が浅いため、すべてを吸収することができなかった。 「日本を含むアジアの輸出が大きく伸びていくことは期待できないといえます。日本を始めとする主要国は。輸出の量よりも付加価値の高い輸出を増やして、企業収益を高めることに軸足を移しつつあり、この傾向はさらに拍車がかかると思われます。また、このことは金融緩和の副次的効果として通貨安をもたらしても輸出量の拡大には結びつきにくいことを示しています。中国を含むアジアでは、そうした変化を踏まえた新しいビジネスモデルの構築が必要になってきています」p41 「人口の伸び率の低下は、技術進歩や生産性の停滞とともに、投資機会を減らして貯蓄超過をもたらすこと、政府が介入して総需要を増やさなければ経済成長は低下することを警告しています」p47 「そもそも主要中銀がなぜ2%を目指すのかを考えて見たいと思います。本来、物価安定とは「物価が上昇も下落もしない状態で、インフレがゼロ%程度で推移する状態」を指しているはずです。それでもあえて2%を掲げる理由は、デフレはインフレよりも望ましくないので、デフレに陥るリスクを減らすためにその程度のインフレがバッファーとして必要だとの見方が、世界で共有されているからです」p57
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これまでの日銀会合での白井さんの意見と、政策の意図が確認できて良かった。米欧との比較もわかりやすかった。
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本書は、2016年3月まで日銀政策委員会審議委員を務めていた白井さゆり氏による、近年の金融政策について、日銀と海外の中央銀行の両面から細かく解説した本である。本の内容としては、金融政策の理論的な面に触れつつ、近年の特異な市場反応をはじめとした実際の金融政策の効果について解説してお...
本書は、2016年3月まで日銀政策委員会審議委員を務めていた白井さゆり氏による、近年の金融政策について、日銀と海外の中央銀行の両面から細かく解説した本である。本の内容としては、金融政策の理論的な面に触れつつ、近年の特異な市場反応をはじめとした実際の金融政策の効果について解説しており、理論と実践のバランスが取れており非常に理解がしやすかった。また、白井氏は元々の専門が国際金融であるため、海外の金融政策についても知見が豊富であり、海外と日本の金融政策を比較しながら解説してあり、そのような点も非常に興味深かった。 自分は昔マクロ経済学で金融政策を学んでおり、現在では金融についてはなんとなく覚えている程度だったので、本書を読むことで近年のトレンドをつかもうと思ったのだが、それのみならず昔学んだ理論がどれほど当てはまっているのかなどについても知ることができたのでとても読んでて楽しかった。例えば、イールドカーブやフィリップス曲線は近年はフラット気味だという話はとてもリアリティがあり興味深かった。マクロ経済学もだいぶ忘れているので、時間があればまたマクロ経済学をきちんと復習した上で、本書を再度読んでみたいと思う。 以下、素人的発想かもしれないが、本書を読んで、今後ますます行動ファイナンス論的な観点から方法論的個人主義的に金融政策を評価する時代がくるのではと思った。一方で、無論マクロ的側面も重要だし、行動ファイナンス論にしても実際企業および個人の異質性をいかに捉えモデルに組み込む かも重要な観点になってくるだろうと感じた。
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著者はつい最近まで日銀の審議委員を務められていたが、さすがに素晴しい知見である。現在の黒田日銀の意図と狙い、そしてその差鉄までもがキッチリと描かれている。 本書の優れた所は、日経新聞を読み込んだ程度の小生にも、黒田日銀、アメリカFRB、欧州ECBの金融政策をエッセンス程度とはいえ...
著者はつい最近まで日銀の審議委員を務められていたが、さすがに素晴しい知見である。現在の黒田日銀の意図と狙い、そしてその差鉄までもがキッチリと描かれている。 本書の優れた所は、日経新聞を読み込んだ程度の小生にも、黒田日銀、アメリカFRB、欧州ECBの金融政策をエッセンス程度とはいえ、解ったような気にさせてくれるところである。 しかし読後に思ったのだが、各国の中央銀行はなんと無理をしていることか。 本書で綴られる三つの中央銀行の風景は、まるでサーカスの空中ブランコのような危うさを含んでいるようにも思えた。
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