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世界史としての日本史 の商品レビュー

3.9

36件のお客様レビュー

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2023/01/09

歴史はそれぞれの楽しみ方があっても良いし、どの人物の視点で解釈するのかによっても理解が変わる。浅学非才の身と謙遜しながら、メモ書きも準備せず、半藤一利相手にズケズケと自説を述べる出口治明という構図に新鮮な思いを感じながら。それって出口氏の感想でしょうと苦々しく読みつつも、しかし、...

歴史はそれぞれの楽しみ方があっても良いし、どの人物の視点で解釈するのかによっても理解が変わる。浅学非才の身と謙遜しながら、メモ書きも準備せず、半藤一利相手にズケズケと自説を述べる出口治明という構図に新鮮な思いを感じながら。それって出口氏の感想でしょうと苦々しく読みつつも、しかし、それを裏付ける両者の教養の深さに、最後には圧倒されてしまった。勉強になりました。 第二次世界大戦はノモンハン事件から始まったとするアントニー・ビーバーの考え。満州事変から語る天皇陛下。ドイツ軍がポーランドに侵攻したのがスタートだと言う見方。1936年のスペイン内戦から始まったと言う歴史家もある。あるいは第一次世界大戦から続いていたと、30年戦争だと言う考え方もある。多角的な視点、それぞれのスケールや論理。面白い。 著者二人にボコボコに言われる松岡洋右。国際連盟脱退。対比して称賛されるのが小村寿太郎。国民に増税、我慢を強いながら何とか勝利した日露戦争。伊藤博文は初めからアメリカの仲介で戦争を終わらせることを考えて金子堅太郎をセオドアルーズベルトとの交渉にあたらせていた。これ以上戦争は続けられない状態の中、何とかポーツマス条約を取り付けたのが小村。しかしロシアから賠償金は得られず、国民はこれ以上戦争を続けられない事情も知らされていなかったために反発。3万人規模が集まっての日比谷焼き討ち事件に繋がる。マスの操作は難しい。危機感を煽るか、嘘を言って士気を高めるか。自虐史観が自尊史観か。会社経営も同じだと。確かにそうだ。戦況の詳細が敵国に伝わる。自国民に詳細を語れぬ場合、どうすべきか。 マウントのためではない真実に近づくための多面的な知識、教養をきちんと身に付けたいと、意欲に繋がる読書となった。

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2022/10/24

直前に読んだ「日本国紀」とは異なり、日本の歴史を、まさに世界史の視点で、冷静に捉えている印象を持った。どっちの捉え方が適切なのかも含め、自分で絶えず勉強して教養を積んでいかなければならないと思った。いずれにしても、自分の国の、一見すると日常とは関わりが薄いと思ってしまう安全保障な...

直前に読んだ「日本国紀」とは異なり、日本の歴史を、まさに世界史の視点で、冷静に捉えている印象を持った。どっちの捉え方が適切なのかも含め、自分で絶えず勉強して教養を積んでいかなければならないと思った。いずれにしても、自分の国の、一見すると日常とは関わりが薄いと思ってしまう安全保障なども含め当事者意識を持って政治に参加していかないとならないと思った。

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2022/02/22

出口氏と半藤氏、お二人の知識量と学びの意欲に敬服。彼等よりも若手の世代に向けた、もっと教養をつけろという叱咤に、目を合わせられない。新書を数冊読んで知ったかぶっているのは僕だ。 quarto 当時の陸軍のエリートたちが根拠なき自己過信を持っていた 驕慢なる無知であった ...

出口氏と半藤氏、お二人の知識量と学びの意欲に敬服。彼等よりも若手の世代に向けた、もっと教養をつけろという叱咤に、目を合わせられない。新書を数冊読んで知ったかぶっているのは僕だ。 quarto 当時の陸軍のエリートたちが根拠なき自己過信を持っていた 驕慢なる無知であった エリート意識と出世欲が横溢していた 偏差値優等生の困った小さな集団が天下を取っていた 底知れず無責任であった

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2021/08/21

全体的に、今までの課題図書での日清戦争→日露戦争→太平洋戦争の学びが、 徐々に繋がってきている感覚を覚えています。 ・元寇は失業対策の一環でもあった説は意外でした。 ・半藤氏の 坂の上の雲は爽快すぎ という意見も新鮮であった ・ノモンハンの夏 もいずれは読みたいと思います。 ・...

全体的に、今までの課題図書での日清戦争→日露戦争→太平洋戦争の学びが、 徐々に繋がってきている感覚を覚えています。 ・元寇は失業対策の一環でもあった説は意外でした。 ・半藤氏の 坂の上の雲は爽快すぎ という意見も新鮮であった ・ノモンハンの夏 もいずれは読みたいと思います。 ・満州国についてはあまり詳しくないので、もっと深く知りたいですね。  →奥さんのお祖母さんは、当時引き揚げてきた一人だったそうです。 ・ドイツのベルリン改造計画[「ゲルマニア」に興味を惹かれました。 ・「ヒトラー、スターリン」の次は「ルーズベルト、チャーチル」

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2021/06/18

日本史だけを見るのではなく、世界史の中でその出来事がどうして日本で起きたのかを見なさい。豪華なこのお二人の対談のメッセージです。明治維新の頃、欧米では何が起きていたか(ボーア戦争で英仏は手が離せず、アメリカは南北戦争)。高度経済成長が可能であった条件とは(冷戦、人口ボーナス、軍事...

日本史だけを見るのではなく、世界史の中でその出来事がどうして日本で起きたのかを見なさい。豪華なこのお二人の対談のメッセージです。明治維新の頃、欧米では何が起きていたか(ボーア戦争で英仏は手が離せず、アメリカは南北戦争)。高度経済成長が可能であった条件とは(冷戦、人口ボーナス、軍事費負担なし)。現在の日本の諸問題も、同じように世界の状況の中で考えなければならないだろう。 それにしても、出口さんの博識ぶりにはあらためて驚愕。半藤さんがあとがきで書いておられますが、出口さんは対談中、一切のメモ書きを持たずに、これだけの内容をすらすらと話されたという。ビジネスの世界に身を置きながら、ここまで教養を深められるのか。

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2020/11/17

歴史作家の半藤一利氏と立命館アジア太平洋大学学長の出口治明氏の対談である。この二人の対談なのだから内容が濃いのはもちろんだが、改めてこの二人の教養の高さを感じた。 最近は自分が信じたいことが書いてあるものしか読まないという人が増えています。そして日本では中国はこんなにもひどいと...

歴史作家の半藤一利氏と立命館アジア太平洋大学学長の出口治明氏の対談である。この二人の対談なのだから内容が濃いのはもちろんだが、改めてこの二人の教養の高さを感じた。 最近は自分が信じたいことが書いてあるものしか読まないという人が増えています。そして日本では中国はこんなにもひどいという本はたくさん出版されています。でも中国には「日本はこんなにひどい国だが中国はこんなにも素晴らしい」という内容の本はほとんど見当たらないようです。中国にとってもはや日本など眼中にないのです。 この二人が共通して危機感を持っているのは日本人の知性の劣化です。OECD諸国の大学進学率の平均は62%で日本は50%で最低レベル。教育予算のgdp比率もOECD諸国で最低です。しかも日本の大学では学生がほとんど勉強していない。 戦後日本が経済大国となったのは、冷戦時代で日本はアメリカにとっての不沈空母であり、アメリカに追いつけというキャッチアップモデルがあり、人口ボーナスなのですから何も考えずひたすらがむしゃらに働けば8%程の経済成長を実現できました。そしてその頃は、あまり考えるより黙って働くことの方が重要でした。多くの人にとって教養は邪魔でしかなかった。だから日本人は勉強することはしないで、ただひたすら長時間働いた。 明治時代の岩倉使節団は、国ができたばかりのときに、政府の半分くらいの大幹部が1年半もかけて出かけているので、ものすごい英断だった。その人たちは、日本がどれだけ遅れてしまったかということをつぶさに学び、「日本は富国強兵」をして西欧諸国と肩を並べる力を身につけなければ日本は植民地化されてしまうという危機感で国を引っ張る。 戦前の日本人は、日本は遅れているという危機感を持って、世界に伍したいい国にしようと思って、一生懸命に勉強した。 今の日本人は、「日本は素晴らしい国で、中国や韓国はひどい国だ」と決めつけながら、自分の意見と合う情報しか獲ようとしない。 若い人でこの2人のように、しっかり勉強している人が増えなければ、日本の将来は危うい。私は65歳の年寄りだが、日本人の一人としてしっかり勉強しなければと思いました。

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2020/09/27

日本史というか日本近代史。対談形式でとても読みやすい。「第2次世界大戦はノモンハン事件からはじまった」など、なるほどと思わされる部分が多い。 最終章の推薦図書が非常に参考になった。これから少しずつ読んでみようかなとおもう。

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2020/05/11

お二人ともさすがの教養。片方が本を挙げればもう片方もすでに読んでいるという。しかも読んだことがしっかりと頭に入って血肉となっている。読んだはしから忘れてしまう身としてはうらやましい。世界史の中で日本を冷静に見る視点がいい。たしかに日本史を学ぶときは常に他の国の状況も同時に学ぶべき...

お二人ともさすがの教養。片方が本を挙げればもう片方もすでに読んでいるという。しかも読んだことがしっかりと頭に入って血肉となっている。読んだはしから忘れてしまう身としてはうらやましい。世界史の中で日本を冷静に見る視点がいい。たしかに日本史を学ぶときは常に他の国の状況も同時に学ぶべきだ。そうすれば単なる年代の暗記でなくなるかな。自虐史観も自尊史観も表裏一体で日本が特別な国という思い込みはやめたほうがいいと。どの国もその人にとっては愛する故郷なのだからそれは当然と思ったり、移民せざるを得ないようなひどい国の人はどう考えるだろうと思ったり。ところで沖縄の基地問題も東京の羽田の問題も日米安保条約が諸悪の根源だと思っていて、自衛隊がいるのになぜアメリカの傘が必要?と思っていたけど、自力で守るにはその他の経費がいろいろかかるそうな。もっと勉強しなくては軽々には語れない。

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2019/10/16

今どきのひとは勉強が足りませんよ。もっと広い視点で物事をとらえましょうね、という話が、俺は好きなんだろうなぁ。なんかそういう話を聞く(読む)と、ついほうそうなんですか、と耳を傾けてしまう。  実は再読なんだけどね。ふと手に取って読み始めたら、つるつると最後まで読んでしまった。知...

今どきのひとは勉強が足りませんよ。もっと広い視点で物事をとらえましょうね、という話が、俺は好きなんだろうなぁ。なんかそういう話を聞く(読む)と、ついほうそうなんですか、と耳を傾けてしまう。  実は再読なんだけどね。ふと手に取って読み始めたら、つるつると最後まで読んでしまった。知識的な部分も面白いし、勉強しようよと誘ってくれるところも気持ちが盛り上がる。  まぁこういう新書ってのは、読みやすさが売りだからね。こういう本で刺激を受けたら、もう少し歯ごたえのあるものに進んでいくのが筋というものなんだろうな。こういう本ばかり読んで、勉強した気になるんじゃなくてね(苦笑)。

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2018/11/23

イオンモール新瑞橋の未来や書店でみつけてあえて紙版で購入。楓太にあげようと思ったのだ。昭和史は、読んでいると気持ちがキツくなるので厳しいのだが。まずは、世界史を読もう。

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