忘れ物が届きます の商品レビュー
大崎梢による、やわらかな不思議と人の心の機微を扱った物語。 ・書名:忘れ物が届きます ・著者:大崎梢 ・出版社:光文社文庫 ・内容: 日常の中にふと入り込む「少しだけ説明のつかない出来事」。 それは派手な事件ではなく、誰かの思い残しや、言葉にならなかった感情のかけらのようなもの...
大崎梢による、やわらかな不思議と人の心の機微を扱った物語。 ・書名:忘れ物が届きます ・著者:大崎梢 ・出版社:光文社文庫 ・内容: 日常の中にふと入り込む「少しだけ説明のつかない出来事」。 それは派手な事件ではなく、誰かの思い残しや、言葉にならなかった感情のかけらのようなものだ。忘れられたはずの品物がめぐりめぐって届くとき、人と人との距離や時間が、静かに結び直されていく。やさしさとほろ苦さが同居する連作短編集。 感想 読んでいるあいだ、ずっと穏やかな風に吹かれているような気分だった。 強い刺激でぐいぐい引っ張るタイプの物語ではなく、ページをめくる指先にそっと体温が乗る感じ、と言えばいいだろうか。 忘れ物というモチーフがうまい。 物は口をきかないのに、持ち主より雄弁だ。置き去りにされた理由、手放さざるを得なかった事情、あるいはただの不注意。そこから立ち上がる人生の断片を、作者は無理にドラマチックにせず、控えめな灯りで照らしていく。 読みやすい。たいへん読みやすい。 文章は親切で、情景も感情もきちんと整理されている。電車の中でうとうとしながらでも、物語に置いていかれる心配はない。 こういう安心感は、長所であり、同時に人によっては物足りなさにもなり得る。 少し踏み込んだことを書くなら、面白さは100点満点の50点ぐらい、というのが正直なところだ。 理由ははっきりしていて、物語の多くが読者の想像を大きく裏切らないからだと思う。展開や着地が比較的素直で、「そうだろうな」という理解の範囲に収まる。胸が締めつけられる驚きや、価値観が反転するような瞬間を期待すると、ややおとなしく感じるかもしれない。 ただ、その「予想の範囲に収まること」自体が、この作品の居心地の良さをつくっているのも事実だ。 疲れている夜、強い酒より白湯を選びたい気分の日がある。たぶんそれに近い。 印象に残ったのは、誰かの後悔や逡巡が、責められることなく扱われている点だ。 人は間違えるし、うまく言えないし、タイミングを逃す。けれど世界はそれでも完全に冷たくはならない。そういうまなざしが一貫している。 派手ではないが、丁寧。 劇的ではないが、誠実。 読み終えたあと、本を閉じる手つきが少し静かになるタイプの一冊だった。
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大崎 梢さんを存じ上げていなくて、表紙からファンタジーかと思って読み始めたら、がっつりミステリーでした。 5つの短編集で、どれも過去の出来事、事件をあるきっかけを通して、真相に辿り着く回想ミステリーなので、現在がわかっていて、安心して読める所はよかったかな。どの話も最後は温かい気...
大崎 梢さんを存じ上げていなくて、表紙からファンタジーかと思って読み始めたら、がっつりミステリーでした。 5つの短編集で、どれも過去の出来事、事件をあるきっかけを通して、真相に辿り着く回想ミステリーなので、現在がわかっていて、安心して読める所はよかったかな。どの話も最後は温かい気持ちになるお話でした。
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すみません。なんか読みにくかったです。 全体的に、回りくどいのかな。 ちょっとした推理モノとタネあかしで構成されている短編集なのだけど、だいたい真相もわかるのだけれど、だから何ってなってしまった。
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久しぶりに大崎梢さんを読みました✨ 過去のモヤモヤの真相が長い時間が経った後に解消するという短編集 明るい話ではないけど、はっきりしなかったことがわかったことで、一歩前に進めると思えました
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完全に装丁に騙された感が(笑)かわいい感じのミステリーかと思ったら意外と可愛くない。 設定がややこしくて2回読みなおしたりもして8割の理解ってな状況で(汗) 雪の糸が特に分かりにくく、理解するのを諦めて読みすすめた有様で(涙) おとなりの、バラの庭の話は私でもわかりやすく感じまし...
完全に装丁に騙された感が(笑)かわいい感じのミステリーかと思ったら意外と可愛くない。 設定がややこしくて2回読みなおしたりもして8割の理解ってな状況で(汗) 雪の糸が特に分かりにくく、理解するのを諦めて読みすすめた有様で(涙) おとなりの、バラの庭の話は私でもわかりやすく感じました。おとなりののおとなりの奥さんのキャラが好みでしたし。バラの庭は続きが気になって仮眠タイムに仮眠しすぎてしまうくらい食いつけました。 私の乏しい読解力でこんなに続きを求められたのはこのバラの庭、でした。 私の読解力のなさのために、 装丁買いを後悔しかけましたが、最後に楽しいと感じられる物語があって良かったです。 時々、さりげなく人物描写のなかでさらっとディスる感じが私のツボとマッチしていてくすっとなるところもありました。
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何となく、うやむやになってしまった過去。 当時はどうにもならなくて、今は忘れてしまいたい過去。 人にはいろいろな過去がある。 そんな過去が一定期間の時を経て、「忘れ物」として自分の元に届いたら・・・ というテーマの短編集。 本関係以外の作品を読むのは、多分初。 他人の自分の心にし...
何となく、うやむやになってしまった過去。 当時はどうにもならなくて、今は忘れてしまいたい過去。 人にはいろいろな過去がある。 そんな過去が一定期間の時を経て、「忘れ物」として自分の元に届いたら・・・ というテーマの短編集。 本関係以外の作品を読むのは、多分初。 他人の自分の心にしまっておきたいと過去をほじくり出すような感じで描かれた1作目の「沙羅の実」があまり好きではなく、他の作品も何となく嫌なフィルタがかかったまま、読んでしまった感じ。 短編の分、状況の描写が分かりにくく、ずっと違和感を持ちながら作品を読み進めると言うのも、今作では多く感じられた。 最後まで読めば、なるほど・・・となるのだけど、過程の引付が弱いのか?個人的な好みなのか?
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沙羅の実は一回では理解できず、2回読みました 野ばらの庭へ おとなりの が好きです。 過去って忘れがちだけど、大切なことが今になって見えてきた時、心の動きが細かく描写されています
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ミステリの連作集だが、探偵役も含めてキャラクターやシチュエーションも一作毎に異なり、記憶の中の事件を扱うという大枠だけが共通する。たとえ名探偵にせよ、記憶の中の事件にばかり遭遇するというのも変な話で、ある意味、当然の設定とも言えるが、その代わりの無理も生じている気がする。例えば、...
ミステリの連作集だが、探偵役も含めてキャラクターやシチュエーションも一作毎に異なり、記憶の中の事件を扱うという大枠だけが共通する。たとえ名探偵にせよ、記憶の中の事件にばかり遭遇するというのも変な話で、ある意味、当然の設定とも言えるが、その代わりの無理も生じている気がする。例えば、「沙羅の実」の元教師の異様なまでの強引さや、「雪の糸」の探偵役に証拠があまりにも都合良く集まる感じとか。とはいえ、その辺は目くじらを立てても詮無いところ。作者さんの持ち味や表紙絵の印象よりはハード目だが、後味の悪い話ではないので、まずは手堅い。
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過去の後悔、疑念・・・時を超えて知らされる真実。 切なくも優しい、5つのストーリー。 正に過去の忘れ物が見つかったような物語。なんだか小さな刺が刺さっているようで心の片隅で気になっていたことが、ぱあっと晴れるよう。ハラハラしつつも温かい気持ちになれました。 「沙羅の実」 不動...
過去の後悔、疑念・・・時を超えて知らされる真実。 切なくも優しい、5つのストーリー。 正に過去の忘れ物が見つかったような物語。なんだか小さな刺が刺さっているようで心の片隅で気になっていたことが、ぱあっと晴れるよう。ハラハラしつつも温かい気持ちになれました。 「沙羅の実」 不動産仲介会社で営業をしている『弘司』は、担当先で小学校時代の教師と再会する。すると彼は弘司に関わりのある二十年前の二つの事件について語り始める。 二つの事件とは、当時六年生の児童拉致監禁と、その子の同級生の父親の転落死。切ない事件の真相は何となく察しがついたが、はっきりと書ききってしまわないことと、ミスリードを利用した最後の一押しがなんともいい。物悲しくも優しい余韻を残す。 「君の歌」 高校の卒業式の後、『芳樹』はあまり話したことなない『高崎』に声をかけられる。訝しむ芳樹に彼が語り始めたのは、当時別々だった彼の中学で起きた女子生徒が襲われた事件だった。 逃げ場のない教室から消えた犯人、事件は未解決のまま。謎自体は難しくない。青年期の揺らめく心情を楽しむ話。 「雪の糸」 別れを決めたカップルが最後の時を過ごす馴染みの喫茶店。彼女が告白した他愛もない悪戯に、彼の表情が変わった。 頼んでおいた時間より一時間遅く起こされたことを知らなかった為、先輩に電話する約束を破ってしまった結果になったことに気付く彼。もしかしたら先輩は命を絶っているんじゃないかと想像しドキドキしたけれど、むしろ良い方に変わっていたようでホッとした。 「おとなりの」分譲地に住む『小島』は、商店街の知人に、事件の日息子を見たといわれ動揺する。その事件とは、十年前近所で起きた強盗殺人事件で、熱で高校を休んでいた息子が疑われたのだ。家に一人だった息子のアリバイは、隣の奥さんが証明してくれたのだったが・・・ 本当はむすこはどこに行ったのか、隣の奥さんはなぜ嘘の証言をしたのか?やきもきしながら読んでいたが、一気に分かるラストがいい。小さな布石も見事。 「野バラの庭へ」 回顧録のインタビュアとして、毎週鎌倉にある瀟洒な館を訪れることになった『香留』。上品な老婦人が語ったのは、この屋敷から忽然と姿を消した兄の婚約者について。結婚を目前とした彼女の身に何があったのか、真相を聞く前に老婦人が亡くなってしまう。だが、葬儀会場で目にした遺影は、全くの別人だった。 色々な意味でノスタルジックな作品。基本的に老人が痛い目に遭うのはいたたまれない気持ちになるが、まあそれだけのことをしたので仕方がないか。若さゆえに見えなかったことに後で気づくことはある。
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「野バラの庭で」 詳しく書くとネタバレになってしまうので書きませんが、何となく違和感を持ちながら読んでいました。 結末は予想外でしたが、ずっと感じていた違和感は、やっぱりそうだったのかと解消されました。 気づく人は気づくというふうに、作者が計算して書かれたとしたら、脱帽です...
「野バラの庭で」 詳しく書くとネタバレになってしまうので書きませんが、何となく違和感を持ちながら読んでいました。 結末は予想外でしたが、ずっと感じていた違和感は、やっぱりそうだったのかと解消されました。 気づく人は気づくというふうに、作者が計算して書かれたとしたら、脱帽です。
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