山女日記 の商品レビュー
私は登山経験はほぼないが、知り合いの中には何人か山好きが思い浮かぶ。事故も怖いし大変そうだからやってみたいとまでは思わないのだが、きっと楽しいだろうなという想像はできる。本書を読んで、ほんのちょっとだけではあるが登山気分を味わえたのがシンプルに嬉しかった。 登山気分とは。読む...
私は登山経験はほぼないが、知り合いの中には何人か山好きが思い浮かぶ。事故も怖いし大変そうだからやってみたいとまでは思わないのだが、きっと楽しいだろうなという想像はできる。本書を読んで、ほんのちょっとだけではあるが登山気分を味わえたのがシンプルに嬉しかった。 登山気分とは。読む前に想像していたのは、まず体が疲れるということ。それから、そこでしか見られない景色を見て感動すること。……とまあそんな程度であったが、読んでみて知った登山の要素はもっともっと広くて深い。 たとえば、デパートの登山フェアで見た登山靴に一目惚れしたことがきっかけで山に登った女性がいた。いきなり、そんなスタートもありなのかと驚いた。 それから、一緒に山を登る人との時間の過ごし方。「ファイト〜!いっぱ〜つ!」的なクライマックスシーンを期待していたわけではもちろんないが、困難を共に乗り越えて絆が深まるというような単純な話ではなく、特に困難というわけでもない(逆に登山中は常にある程度困難にさらされているともいえる)道中において、どんな話をして、どんな姿を見せあって、何を思うのか。昔、中学校の遠足で山を登った時、たまたま前後になった子と話し続けたのがきっかけで仲良くなったことは、私自身も確かに印象深く覚えている。 そして、ひとりで山に登る人の頭の中。小説だからといってしまえばそれまでだが、人生の来し方行く末をけっこうみんな考えている。また、ひとりで登りたい人、誰かと一緒に登りたい人、旅は道連れと山での出会いを楽しむ人、と「誰と登るのか問題」も人や時によっていろいろあることもわかり、面白かった。 連作短編集で、つながり具合も味わい深かったが、個別エピソードでは、火打山(バブルのお姉さん)、槍ヶ岳(父と登る、待つ母)、金時山(富士山の上から富士山は見えない)、が特に好きだったかな。 湊かなえさんは『贖罪』が読むのつらかったのでそれ以来敬遠気味であったが、ブクログレビューで気になり、手にとって良かった。感謝。
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とってもとってもよかった!!! 年の瀬に読み終えたけど、間違いなく昨年読んだ本の中で1番良かった。 そう感じるのは自分が山登りをするからというのも大きいと思うけど、山登らない人にも是非読んでほしい本だった。 舞台になってる山全部行きたくなっちゃったよ! みんな色んな気持ちで山に登...
とってもとってもよかった!!! 年の瀬に読み終えたけど、間違いなく昨年読んだ本の中で1番良かった。 そう感じるのは自分が山登りをするからというのも大きいと思うけど、山登らない人にも是非読んでほしい本だった。 舞台になってる山全部行きたくなっちゃったよ! みんな色んな気持ちで山に登ってるんだなぁ〜、人それぞれ色んなドラマやストーリーがあるんだよなぁ〜って。 泣ける話もあり、笑えるところもあり。 ミステリーばっか読んでた最近にはあまりない感情になって新鮮だったし、シンプルに楽しかった◎ 続編も読み始めてます!笑
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わたしもまた山に登りたくなった。 これまでの人生とこれからの人生が繋がっていて良いことも悪いことも含めて人生なのだということを、改めて深く考えるきっかけになったような、そんな本だった。 登場人物のこれからの未来に幸あれ。 そして残照の頂もこれから読むの楽しみ。
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この頃、私の周りで山に登る人が増えてきました。その人達は決まって、どんなに楽しくて達成感があるかを力説してきます。そして初めは夫婦だったり親子だったり友達同士と登っていたけれど、今は一人でも行っちゃうよ!という人ばかり。 山ってきっと魅力的なんだな、とボンヤリと感じていたので本書...
この頃、私の周りで山に登る人が増えてきました。その人達は決まって、どんなに楽しくて達成感があるかを力説してきます。そして初めは夫婦だったり親子だったり友達同士と登っていたけれど、今は一人でも行っちゃうよ!という人ばかり。 山ってきっと魅力的なんだな、とボンヤリと感じていたので本書はいつか読んでみたいとずっと思っていました。 本書に登場する女性たちは皆、悩みを抱えています。いや、悩みは誰でも少なからず抱えているもの。でも山に登るということは、疲れても辛くても目的地に辿り着くためには歩き続けなければならないということ。この状況が、黙々と自分自身を振り返り突き詰めていくのにピッタリの時間なのでしょうね。この感じが以前読んだ『うなぎ女子』のようで(うなぎを注文してから提供されるまでの時間に過去を振り返る)とても面白く読めました。 そして、登場人物の女性たちの悩みがとてもリアルで読んでいて、あれ?いつの間にか泣いちゃってた( ; ; )って時もありました。 だけど何よりも心を掴まれたのは、一人で登るか仲間と登るかを悩んでいる場面かなぁ? 一人になりたいから山に登る人もいれば、仲間と助け合うのが目的で登る人もいる。それが山でのことだけでなく、私は協調性がないからダメなのか?とか、一人でいるのを恥ずかしがっているようだからダメなのか?とか‥‥ 登場人物の女性達の声がとてもリアルでした。 続編もぜひ読みたいです♪
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高山植物の描写がたくさんあり、山に登りたくなりました。私は登山をして一度きりになってしまった側ですが、この本を読んでもう一度登山にリベンジしたいと思いました!
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2年前から登山を始め、そこから毎月どこかの山に行くくらい登山にハマった私。 去年の秋、妙高山と火打山の縦走をした際に、メンバーのうちの1人が「山女日記を見てこの山に登りたいと思った」と話していた。 どんな本だろう、と気になっていたところに家族がたまたまこの本を持っていて、それが読...
2年前から登山を始め、そこから毎月どこかの山に行くくらい登山にハマった私。 去年の秋、妙高山と火打山の縦走をした際に、メンバーのうちの1人が「山女日記を見てこの山に登りたいと思った」と話していた。 どんな本だろう、と気になっていたところに家族がたまたまこの本を持っていて、それが読むきっかけになった。 そしてこの本を読んで、友人が「登りたくなった」という理由がとてもよく分かった。 本に紹介されている山はどこも魅力的で、文章から景色の綺麗さや魅力が伝わってくる。 山ごとに主人公が変わるが、どれも女性が主人公。主人公たちはそれぞれ人生の悩みなどを抱えながら登山をする。色々と考えを巡らせながら、色々な感情が生まれてくるが、それら女性なら一度は感じたことのある感情なのではないかと思う。 山好きの人にはもちろんおすすめだが、山に登ったことない、山に登りたくないと思っている人にこそぜひ読んでもらいたい。
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登山したことね〜が、おねえたんにオススメしたら情景が浮かぶのだろうか。想像力ゼロ点わたし。 湊かなえさんの描く女性、本当に自分の周りにいないタイプだ。似ても似つかない。
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後味が悪い読後感のものが多い湊かなえ小説だったが、これは登場人物たちが、きっと幸せになったのだと想像ができる一冊だった。 女性たちの心情描写はさすがの一言。 山を登ると何に悩んでるのか、どうしていけばいいのか、自分と向き合わざるを得ない状況だからこそ頭の中がスッキリすることも、知...
後味が悪い読後感のものが多い湊かなえ小説だったが、これは登場人物たちが、きっと幸せになったのだと想像ができる一冊だった。 女性たちの心情描写はさすがの一言。 山を登ると何に悩んでるのか、どうしていけばいいのか、自分と向き合わざるを得ない状況だからこそ頭の中がスッキリすることも、知っているのでそこも相まって小説に入り込めた。 短編小説だが、登場人物たちがそれぞれの物語に絡んでいるので一気に読めば良かったなと若干の後悔が残った。
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※このレビューにはネタバレを含みます
全話おもしろかった。 山登りを終えて、考え、行動が変わる女性たち。 夫婦仲がよくなったり、結婚したり、結構な変化。 山登りってすごいな。確かに自分も今のパートナーとも山登りを通して仲良くなった。
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湊かなえってサスペンス以外の文書初めて読んだ。表現が面白すぎる。女子ノリを感じる p346 人は大なり小なり荷物を背負っている。その荷物は傍から見ればおろしてしまえばいいのにと思うものでもその人にとっては大切なものだったりする。ゆしろ、かけがえのないものなからこそ降ろすことがで...
湊かなえってサスペンス以外の文書初めて読んだ。表現が面白すぎる。女子ノリを感じる p346 人は大なり小なり荷物を背負っている。その荷物は傍から見ればおろしてしまえばいいのにと思うものでもその人にとっては大切なものだったりする。ゆしろ、かけがえのないものなからこそ降ろすことができない。だから模索する。それを背負ったまま生きていく方法を。吉田くんと私は互いの荷物を自分の解釈でしか捉えることができなかったのだ。 p362 誘ってくれるのを待つ。声をかけられるまで待つ。待っていませんよ、という顔をして。声をかけられたら嬉しいくせに仕方ないな、ときうそぶりをして。そりゃあ、どこの会社も受かるはずがない。結婚だってできるはずがない
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