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の商品レビュー

3.6

52件のお客様レビュー

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2024/01/18

仕事を辞め、夫の実家の隣に引っ越した私。専業主婦になり、家事以外の時間をもてあます。そんなとき、見たことがない獣が掘った穴にハマる。さらに、いるはずのない義兄が登場し、不思議な物語になっていく。芥川賞受賞の表題作のほか、2作品収録。

Posted byブクログ

2023/11/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

芥川賞受賞作。 3つの短編集。 ■穴 夫の転勤で、義実家の隣の一軒家に住むことになった、あさひ。不便な田舎なので、非正規の仕事を辞めて、専業主婦に。子どもがいないこともあり、仕事を探そうと思うが、バスの便も悪く…ダラダラと過ごす。 田舎の暮らしに戸惑いながら、ある日、義母に頼まれ、コンビニにお金を払い込みに行く。その途中で、変な動物を見かけ、ついていくと、草むらの中で、突然穴に落ちる。すると、義実家の反対隣りに住むという奥さんに助けられる。 その後、全く知らされなかった夫の兄に出会い…中学のころから引きこもりなので、話題にされなかったのではないかと…。しかし、夫や姑などに、義兄の存在を聞くことができないでいた。 ある夜、眠れないでいると、物音に気が付き、外を見ると、義祖父がどこかへ出かけようとしていた。少し認知症気味でもあるので、心配になり、後をつけた。すると、義兄もついてきた。そして、義祖父が穴に落ち、あさひも同じ穴に落ちた。兄に手伝ってもらい、自分も義祖父も穴から出て帰る。その時、寒かったからか、肺炎にかかり、義祖父はまもなく亡くなる。 その葬儀にも、義兄は出席しない。 その後、あさひは、コンビニで働くことになる。 で、終わる。不思議なお話。 義兄の存在も、実在?幽霊? う~ん、何を描いて、何を伝えたいのかわからない。 ■いたちなく 実家の友人:斉木から結婚したと年賀状が届く。40歳を過ぎて、32歳の妻をめとり、築50年の家を買いリフォームして新居にしたと。 主人公は、不妊治療中。 春先に、斉木から電話があり、家にいたちが出て困っていると。そんな話から、妻と一緒に、斉木の家にシシ鍋をご馳走になりに行った。妻は、田舎育ちのため、シシ鍋の美味しさを知っていた。 斉木の家を訪問。シシ鍋をご馳走になる。 そこで、妻が、実家で行われたいたちの退治法を伝授。 その後、いたちは出なくなったらしい。 いたちの退治法は、母いたちを水に沈めて溺れさせる。死ぬ間際の鳴き声が、父いたちや子供いたちに向けて、この家は危ない、このいえにいると、水に沈められて死ぬよ、近づいちゃいけないと、知らせたと。 ここが、「いたちなく」のポイントですね。そして、ぞわっとする感じ…。 ■ゆきの宿 「いたちなく」の続き。 斉木の家の赤ちゃんが生まれ、車でお祝いに行った。 雪が降りだしたが、すぐやむだろうと思っていたが、本降りになって、帰宅困難に。結局、泊まることになった。 赤ちゃんの名前が「ゆきこ(幸子)」。 帰宅できなくなったと聞いて、近所に住むおばあさんが、お米の代わりにおからを入れたお稲荷さんを差し入れてくれる。母乳が良く出ると言う。 泊めてもらった部屋には、水槽がたくさんあり、珍しい魚を飼っていた。僕は、夜中、その魚に襲われる夢を見た。 翌朝、雪は止み、外で、近所のおばあさんに会うと… 妻のお腹に赤ちゃんがいると、予言?される。 まだ、わからないが、ちょっと幸せな気分になったかな。 う~ん。やっぱり、あまりよくわからない物語でした。 ブクログ内で、小説読了219冊。

Posted byブクログ

2023/08/28
  • ネタバレ

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表題作の「穴」だけ読んだ。 このホラー感は何? 小学生の夏休みの不思議な体験の大人版という印象。 読んでいてずっと気持ち悪さがまとわりついてくる感覚がかなり良かったですね。 (追記) 「いたちなく」「ゆきの宿」の二作もかなり良かった。こちらのほうがまだ怖くなくて良かったかな なかなか読み解けていない部分もあるが、面白かったですね

Posted byブクログ

2023/08/21

暗くて不気味で怖い 登場人物がみんな怪しく感じる描写 でも表立って何も起こらない 気味悪がりながら続きを読んでしまう

Posted byブクログ

2022/11/15
  • ネタバレ

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穴は難しかったです。姑からの振込依頼のお金が足りなかったこと、水を撒き続ける義祖父、黒い獣、義兄や子供たちの存在、そして穴。 色々考察してみたがわからないことが多い、だが一つだけわかるのはコンビニで働き始めてからは日常がもどったことだけだということ。 いたちなくは妻の語りが不気味でラストもよかった。

Posted byブクログ

2022/10/26
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表題作を読み終わって「ああ、土地の人になったんだ……」と腑に落ちた気がした。これまではどこかお客さんのようなぎこちなさや、生活に実感もなく暮らしてる感じだったけど、義祖父の死をきっかけに嫁としてそこに居着いたという感覚。 田舎には田舎のルールがあるとでもいうような通夜の席は異様だったけど、あの場で自覚も出たのかな。そうと決まってからはグズグズ考える頼りなさみたいなものが消えている。役割を得て姑のような人になるんだろう。 義兄の言う事が印象的だったし存在自体も面白かったから、現実に居なかったのはちょっとショックだなぁ。 「いたちなく」と「ゆきの宿」は、夫目線では妻の考えが分からず不気味な人物に映った。これは夫が妻のことを何も分かっていない証拠かもしれない。洋子の前では妻は涙を見せているのである。 「穴」の主人公も夫との意思疎通は出来ていない感じだった。義父と義母の関係もそう。家族ってそういう孤独なものかもしれない。

Posted byブクログ

2022/10/03
  • ネタバレ

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穴しか読んでないのですが、皆さんが書いてるように節々に不穏な空気が漂っていた。 義兄の雰囲気がドストエフスキーの罪と罰で出てくるようなめちゃくちゃ主人公に喋る男の雰囲気に近く感じた。目ぇギラギラしてニタニタしながら喋る雰囲気。 自分が何も知らない、味方もいない状況でこれからずっとここに住むのか。。みたいなちょっとした絶望感に近いものを感じて、怖かった。 自分はなにを求めて何が嫌なのかを考えるし、 結局はその環境で何をするか、何もしないのか。 どうなりたいのか、どうもなりたくないのか。 虚無みたいな感覚が襲ってきた。

Posted byブクログ

2022/09/13

書店で目に留め、小山田浩子の小説を初めて読んだ。 心地よい居心地の悪さのある場所の話。 「穴」に現れるたくさんの他者たち。 座敷童というか、地域童のような、突然現れて理不尽に振る舞い、いなくなるものたち。 「いたちなく」のいたちたちと母いたちも、「ゆきの宿」の赤ちゃんたちも...

書店で目に留め、小山田浩子の小説を初めて読んだ。 心地よい居心地の悪さのある場所の話。 「穴」に現れるたくさんの他者たち。 座敷童というか、地域童のような、突然現れて理不尽に振る舞い、いなくなるものたち。 「いたちなく」のいたちたちと母いたちも、「ゆきの宿」の赤ちゃんたちも、そんなふうにやってくる。 松井哲也『ロボット工学者が考える「嫌なロボット」の作り方』で言われる「他者」との邂逅について考えていたところだったので、この小説に現れる他者たちと出会い、こういうことだなと感じた。 他も読んでみる。

Posted byブクログ

2022/09/06

ある女性が夫の実家のある独特な雰囲気のある田舎に引っ越す。そこでの出来事が描かれるのだが、途中で視点が妻から夫へと切り替わる。不明な点が多く、自分でもこの作品をしっかり評価できているかわからない

Posted byブクログ

2022/08/12

ズボン、ヒューン、ならばアリスの穴だが、この作品ではドスッ、シーン、肩から下が埋まってしまう。 リンチを思い出す草地や土の描写を経て、現実が変異するが、それはもとからそうだっただけのこと。 「工場」の着地は変身だが、「穴」の着地は変態(もしくは成長)。 まずは義兄の存在感だが、 ...

ズボン、ヒューン、ならばアリスの穴だが、この作品ではドスッ、シーン、肩から下が埋まってしまう。 リンチを思い出す草地や土の描写を経て、現実が変異するが、それはもとからそうだっただけのこと。 「工場」の着地は変身だが、「穴」の着地は変態(もしくは成長)。 まずは義兄の存在感だが、 この作者はどこかしら子供を作るということにしこりを感じているらしい(実際はいるけど)。 そこに共感。 だからこそ、(「ディスカス忌」に続く)「いたちなく」「ゆきの宿」の夫婦にも肩入れしてしまう。

Posted byブクログ