悪徳小説家 の商品レビュー
ドイツの作家「ザーシャ・アランゴ」の長篇ミステリ作品『悪徳小説家(原題:Die Wahrheit und andere Lugen、英題:The Truth and Other Lies)』を読みました。 「フォルカー・クッチャー」、「ライナー・レフラー」、「シャルロッテ・リンク...
ドイツの作家「ザーシャ・アランゴ」の長篇ミステリ作品『悪徳小説家(原題:Die Wahrheit und andere Lugen、英題:The Truth and Other Lies)』を読みました。 「フォルカー・クッチャー」、「ライナー・レフラー」、「シャルロッテ・リンク」の作品に続き、ドイツミステリです。 -----story------------- ベストセラー作家の「ヘンリー」には、編集者と愛人関係にあること以外にも、決して明かすことのできない秘密があった。 新作が残り20ページまで書き上がったとき、「ヘンリー」は愛人から妊娠したことを告げられる。 待ち合わせ場所に車で赴いた「ヘンリー」は、魔がさして……。 だが帰宅した彼を、驚愕の事実が待ち受けていた! 真実と嘘がちりばめられた、巧緻にして幻惑に満ちた傑作長編。 訳者あとがき=「浅井晶子」 ----------------------- 脚本家「ザーシャ・アランゴ」の小説デビュー作で2014年(平成26年)に刊行された作品… CWA(英国推理作家協会)インターナショナル・ダガー賞の候補作となり、ドイツ語圏を越えて認められた作品です。 世界的ベストセラー作家の「ヘンリー・ハイデン」… 人間の姿を深く描き出した緊迫感のあるスリラーに定評があり、男らしい精悍な外貌から多数の女性ファンに崇められている、、、 愛し合っている妻「マルタ」と愛犬「ポンチョ」とともに海辺の広壮な屋敷に住み、マセラティを乗り回すという、誰もが羨む生活を送る「ヘンリー」は、自分をデビューさせた編集者の「ベティ・ハンゼン」と愛人関係にあった… 新作が残り20ページまで書き上がったとき、「ベティ」から妊娠したことを告げられた「ヘンリー」は、当初、妻に真実を告げて離婚してもらうしかないと考えるが、気が変わり、「ベティ」との関係を清算することに。 待ち合わせ場所である海辺の崖へ向かい、深淵の手前に停まっている「ベティ」の車を見た瞬間、長いあいだ眠っていた「ヘンリー」のなかの悪が目を覚ます―― さらに、帰宅した「ヘンリー」を驚愕の事実が待ち受けていた……。 刻々と変わる状況と相手に応じて「ヘンリー」が組み立てるさまざまな「嘘」、そしてそれらの「嘘」から新たに生まれる「真実」―― 「真実」と「嘘」の境界は、物語が進むにつれてどんどんあいまいになっていく、、、 「ヘンリー」の「真実」と「嘘」は暴かれるのか… もし暴かれるなら、誰によって、どのように? 真実と嘘が散りばめられた展開… 序盤から物語に惹きつけられて、先の読めない展開が愉しめました、、、 「ヘンリー」は、『太陽がいっぱい』の主人公「リプリー」を彷彿させるキャラクターで、影がある悪漢だけど強烈な魅力のある人物として描かれていて、悪い男なんだけど感情移入しちゃいましたね… 『太陽がいっぱい』のように衝撃的な方法で悪事が発覚するのかなー と予想していたのですが、終盤で面白さが失速して、すっきりしない幕切れでした。 終わりが良ければねー もっと面白い作品になったと思うのですが、そこがちょっと残念でしたね。
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主人公は作家として世の中に認識されているが、書いてない。妻(ひきこもり)がタイプライターに向かって毎日何かを入力している。溜まると車庫に移動。それを勝手に持ち出している。浮気して子供出来た。仕方なく修羅場と向かい合う。が妻いなくなる(死亡?)浮気相手もいなくなる(死亡?)たまたま...
主人公は作家として世の中に認識されているが、書いてない。妻(ひきこもり)がタイプライターに向かって毎日何かを入力している。溜まると車庫に移動。それを勝手に持ち出している。浮気して子供出来た。仕方なく修羅場と向かい合う。が妻いなくなる(死亡?)浮気相手もいなくなる(死亡?)たまたま寄宿舎で同室だった男にストーカーされて、執筆してないことがバレる。家燃やす。粗筋書くとバカっぽいなあ。でもいい雰囲気で書けてると思うんだなあ。冒頭から四面楚歌な男がギリギリ綱渡りしてるようで、自分のS気質が十分消化される
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ベストセラー作家のヘンリーには、編集者と愛人関係にあること以外にも、決して明かすことのできない秘密があった。新作が残り20ページまで書き上がったとき、ヘンリーは愛人から妊娠したことを告げられる。待ち合わせ場所に車で赴いたヘンリーは、魔がさして…。だが帰宅した彼を、驚愕の事実が待ち...
ベストセラー作家のヘンリーには、編集者と愛人関係にあること以外にも、決して明かすことのできない秘密があった。新作が残り20ページまで書き上がったとき、ヘンリーは愛人から妊娠したことを告げられる。待ち合わせ場所に車で赴いたヘンリーは、魔がさして…。だが帰宅した彼を、驚愕の事実が待ち受けていた!真実と嘘がちりばめられた、巧緻にして幻惑に満ちた傑作長編。(e-honより)
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ヘンリーの狡猾さ故、 「平凡な事故に見せかけた殺人」事件はありきたりの、 さしてとりとめのない事故として 処理されていこうとする。 ヘンリーが追い詰められていく切迫感は余りなく 何故その事故が、あんなことになるのかで クライマックスを迎えているので それ以降はそのネタバレを期待するが最後まで肩透かし。 ヘンリーが罪を犯した理由や背景を考えれば考えるほど 自己保身しかあり得ない。 得てしてマルタはなぜあのような行動をとらなければ いけなかったのかが結末を見ても理解できない。 愛ゆえにと片付けるのは尚早だし 孤独の物語といわれるとあまりも酷だ。 本当の悪徳小説家はヘンリーの妻マルタだ。
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いやあ、これは面白かった。ピカレスクものになるんだろうけど、型にはまらないユニークな一篇だ。主人公は実に悪いやつなんだが、なぜか共感させられてしまう、その書き方が秀逸。「悪」って一体何なのかと考え込んでしまう。ラストはもう一つスッキリしない感じもするが、まあいいか。
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ある作家を主人公にしたサスペンス小説。巻末の『訳者あとがき』には、映画化もされた『二流小説家』にちらっと言及されているが、『作家が主人公』という設定以外に共通点は無い。 展開のスピーディさ、二転三転するプロットなど、非常に映像的な小説だと思っていたら、著者はドイツの有名なテレビ...
ある作家を主人公にしたサスペンス小説。巻末の『訳者あとがき』には、映画化もされた『二流小説家』にちらっと言及されているが、『作家が主人公』という設定以外に共通点は無い。 展開のスピーディさ、二転三転するプロットなど、非常に映像的な小説だと思っていたら、著者はドイツの有名なテレビ番組の脚本家でもあるとあって納得した。脚本や構成作家といった『尺』のあるメディア出身の作家は、やっぱり構成が上手い。また、それぞれ個性のある……というか、『濃い』キャラの登場人物も魅力的だった。
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確かに、「太陽がいっぱい」と比べたくなる。(主人公の人物造型、××が×から出てくる、あたり。) 結末がちょっとどうなのという感想をちらほら見かけるが、私は嫌いじゃないなー。 この虚無感、殺伐とした感じ、クールな感じが、50年代風に思えて、時々出てくる携帯やカーナビなどの小道具に...
確かに、「太陽がいっぱい」と比べたくなる。(主人公の人物造型、××が×から出てくる、あたり。) 結末がちょっとどうなのという感想をちらほら見かけるが、私は嫌いじゃないなー。 この虚無感、殺伐とした感じ、クールな感じが、50年代風に思えて、時々出てくる携帯やカーナビなどの小道具に、あ、そうか現代だったのか…とハッとする。 好みです。
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